歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

三人形 みつにんぎょう

2008年06月05日 | 歌舞伎
「三人形」 みつにんぎょう
出だし、役者さんがお人形のように動かないでポーズをとっている状態からはじまります。
いちおう「お人形が踊り出す」という設定なのです。

とはいえ、とくに踊りの内容に「人形」が生かされているわけではありません。
ふつうに
「大夫(いちばん位の高い花魁)」
「若衆」
「若衆のお供の奴さん」が
それぞれのキャラクターを生かして踊る、だけです。
とくにストーリーはありません。

「若衆」(わかしゅ)といえば、一般的には「前髪のある(元服前の)美少年」みたいなイメージですが、
この踊りの「若衆」はそんなにかわいらしくなく、むしろ「若侍」というかんじです。
「丹前振り」という元禄の頃とても流行った風俗の真似をします。
「丹前振り」は、名前の詳しい由来は割愛、元禄(江戸前半期)のまだ乱暴な雰囲気の時代、
派手なかっこうをして悪ぶっていた、まさに「かぶきもの」と呼ばれた旗本の遊び人の若者たちの風俗です。
「丹前六法(たんぜんろっぽう)という独特の動き(歩き方)をしますが、まあ細かいことは気にしなくていいです。
キレイな衣装でいろいろやってるなあ、となんとなく楽しめば充分ですよ。
奴さんの踊りが動きがあって楽しいです。

あと、踊りに関係ないのですが、「かぶきもの」という表現、
派手で変わったかっこうをする、エキセントリックな若者風俗、みたいにとらえられていますが、
「かぶき」の語源は「かたぶき」なようです。
漢字で書くと「傾き」。
これは暗に「傾城(けいせい、城を傾ける程の美女、転じて高級遊女)」を意味します。
「かぶきもの」は、少なくとも当初の意味においては男、女、双方に人気のある色男をさしたと思います。売色のニュアンスまで見え隠れしますよ。デンジャラス。


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