もう意味わからないとは言わせない。「勧進帳」全訳1
まず、最低限必要な説明を書きます。
詳しくは=「勧進帳」解説=をご覧ください。
・基本設定は、源平の戦の直後です。
平家制圧に多大な貢献をした源義経(みなもとの よしつね)は、政権掌握の野心を疑われて兄の頼朝に命を狙われます。
義経は、武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい)をはじめとする家来たちとともに山伏(やまぶし)に化けて、奥州平泉(おうしゅ . . . 本文を読む
「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしき つきのあまがさ)」 というのがもともとのタイトルです。
このお芝居の中の、魚屋の宗五郎を中心とした部分のみを今は出すので、「魚屋宗五郎」というタイトルのほうが有名になってしまっています。
宗五郎は町の棒手振り(ぼてふり)の魚屋さんでした。
天秤棒で魚の桶を担いで街中を売り歩く商売ですから、あまり安定した職業ではありません。
大酒飲みなので貧乏で、借金もあります。 . . . 本文を読む
1967年ビクター発行のレコード版「勧進帳」のセリフを元にしています。
明らかに一般的な舞台上演と違う部分を、岩波文庫の「勧進帳」を参考に補っています。
現行上演のセリフよりも文法的にも正確ですし、レコード版のほうが上だと思います。
とりあえず、セリフです。
=内容解説=
=全訳1=
=全訳2=
=全訳3=
富樫: かやうに、候ふ者は、加賀の国の住人、富樫の左衛門(とがしの さえもん)にて . . . 本文を読む
「逆櫓」さかろ(「ひらかな盛衰記」)
急ぐとき用の3分あらすじは=こちら=になります。
「ひらかな盛衰記(ひらかな せいすいき)」の三段目の後半部分にあたります。
このタイトルは古典の「源平盛衰記」から取られており、
源氏と平家の戦の時代が舞台になっています。
源氏の一族である「木曽義仲(きそ よしなか)」が都に攻め入り、平家は都を捨てて九州、四国方面に逃げます。
うまいこと都を掌握した木曽義 . . . 本文を読む
「極付播随長兵衛」 きわめつき ばんずいちょうべい
冒頭に「公平法問諍」きんぴらほうもんあらそい という劇中劇が付きます。これが大変おもしろいです。
江戸初期の庶民のヒーローである「幡随院長兵衛(ばんずいいん ちょうべえ)」は人気者でしたから、彼が登場する歌舞伎作品はいくつもあります。
「極(きわめ)」というのは、鑑定書のことです。「極札(きわめふだ)」「極書(きわめがき)」というように使い . . . 本文を読む
「毛谷村」は、けやむら、と読みます。重箱読みですが、実在の地名なのでしかたありません。
「彦山権現誓助剣」ひこさんごんげん ちかいのすけだち というお芝居の九段目にあたります。
というわけでこれも、とても長いお芝居の一部です。
もとは文楽の作品です。お人形芝居です。
文楽作品なのですが、上演時に細かい事情があるので下に書きました。
ここ以外の部分はまず出ませんが、ストーリーそのものはかなりメリ . . . 本文を読む
「吃又(どもまた)」という通称で有名です。
「吃又」は「「吃り又平(どもり またべい)」の略です。
主人公の「浮世又平(うきよ またべい)」が、吃音、どもりなのでこの通称があります。
歌舞伎なので放送禁止用語をガンガン使っても平気です。
時代は足利時代ですが、時代設定はあまり気にしなくていいです。江戸風俗です。
・「土佐将監」閑居(とさのしょうげん かんきょ)の場
「閑居」というのは隠居所 . . . 本文を読む
「菅原伝授手習鑑」(すがわらでんじゅ てならいかがみ)という長いお芝居の一部です。
もともとは文楽の作品です。
いちおう全段解説書いたので、もくじにリンク貼っておきます。
=こちら=です
「車引(くるまびき)」という舞台は、文楽では短い「つなぎ」の場面だったものを、歌舞伎でひたすら派手にショーアップしたものなので、
ここだけ見ると筋らしい筋はありません。
というわけでここまでのお話を理解しておか . . . 本文を読む
狂言由来の作品です。能舞台をイメージした、板壁に大きく松ノ木を描いた舞台で演じられます。
「松羽目もの」というジャンルに入ります。
狂言なので、登場人物は、大名とその家来、太郎冠者(たろうかじゃ)です。
「冠者(かじゃ)」というのは、いろいろな意味があるのですが、
ここでは「太郎さん」程度の軽い呼び名と思っていいです。
「大名」というのは江戸の大名でも戦国大名でもなく、当時非常にたくさんいた . . . 本文を読む
「京鹿子娘道成寺(きょうがのこ むすめどうじょうじ)」のバリエーション作品のひとつです。
「京鹿子娘道成寺」は、有名な安珍(あんちん)と清姫(きよひめ)の道成寺伝説を下敷きにした踊りです。
といいつつ、もとネタ知らないひともいそうなのでざっくり書くと、
三河の地方豪族の娘であった清姫が、旅の修行僧の安珍に恋をします。
仏門に入った身なので安珍は清姫の相手はできません。
すぐに気が変わるだろうと . . . 本文を読む
松羽目ものと呼ばれる、能由来の作品群のひとつです。
能舞台風にしつらえた一面白木の羽目板の床の後ろに、能舞台を模して大きい松の木の絵が描いてあるセットの様子から、
「松羽目もの」と呼ばれます。
江戸時代、能や狂言は歌舞伎で真似してはいけなかったので、
これも明治以降の「新作」です。
内容は、タイトル通り、義経と弁慶が出るものがたりです。
源平の戦が終わった後、兄の頼朝に疑われて追われて逃げる . . . 本文を読む
江戸吉原という華やかな遊女街を舞台にした、「縁切り狂言」のひとつです。
「縁切り狂言」というのは、
遊女が、公認の恋仲であるはずの主人公に対して、お座敷などで、大勢の関係者がいる場で「あんたなんか実は大嫌い」と言いって振る、という場面があるお芝居を言います。
人生最大の屈辱です。どうする主人公。というのがテーマになります。
普通は、遊女は実は主人公が好きなんだけど諸事情でしかたなく縁切りをする、 . . . 本文を読む
「芋洗いの弁慶(いもあらいの べんけい)」の別名で知られます。
有名な、歌舞伎十八番の「勧進帳」の成立は江戸末期、七代目団十郎のころです。
衣装や演出が今の形になったのは、明治以降、九代目団十郎のときです。
「御攝勧進帳」は、それ以前にずっと上演され、愛されていた、当時の江戸庶民にとっての「勧進帳」です。
より「歌舞伎らしい」舞台です。
通し上演台本が残っていますが、今出るのは「安宅の関」の場だ . . . 本文を読む
急ぐとき用の3分あらすじは=こちら=になります。
「双蝶々曲輪日記」ふたつちょうちょう くるわのにっき という長いお芝居の一部です。
通しで出すに足る名作ですが、今は二段目「角力場(すもうば)」と八段目の「引窓(ひきまど)」を、
独立してそれぞれ出す事が多いです。
というわけでここでは「引窓」に付いて書きます。
八段目ですので、少しここまでの事情がわかりにくいかもしれません。
まあ、すご . . . 本文を読む
「御所桜堀川夜討(ごしょざくら ほりかわようち)」の三段目にあたります。
「御所三(ごしょさん)」とも呼ばれます。
源平の戦の直後のものがたり、頼朝と義経が不仲になりはじめたころを舞台にしたお話です。
頼朝に謀反を疑われたた義経が、誤解を解こうといろいろ努力するのですがダメで、結局住んでいた堀川御所に攻め込まれ、撃退するところまでが全段通したストーリーです。
全五段ですが、五段目は縁起物っぽ . . . 本文を読む