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歌舞伎見物のお供

歌舞伎、文楽の諸作品の解説です。これ読んで見に行けば、どなたでも混乱なく見られる、はず、です。

釣女 つりおんな

2012年12月28日 | 歌舞伎

狂言由来の作品です。能舞台をイメージした、板壁に大きく松ノ木を描いた舞台で演じられます。
「松羽目もの」というジャンルに入ります。

狂言なので、登場人物は、大名とその家来、太郎冠者(たろうかじゃ)です。
「冠者(かじゃ)」というのは、いろいろな意味があるのですが、
ここでは「太郎さん」程度の軽い呼び名と思っていいです。

「大名」というのは江戸の大名でも戦国大名でもなく、当時非常にたくさんいた「地方豪族」です。
この狂言のお大名は、おそらくそんなに規模の大きい領地ではなく、村いっこくらいです。

セリフで大名が「(私は)このあたりの者なり」と言います。狂言の定番の出だしです。
これは、「このへんに住んでいる者」という意味ではなく、「このあたりを領地として治めて暮らしている」という意味です。

この大名は、この年まで「むさい」です。とセリフで言います。「無妻」です。独身ということです。
なので西ノ宮の神社の恵比寿さまに願掛けに行くことにします。

ここで、太郎冠者が「わたくしも無妻なので、「きびす」さまに願掛けをしよう」と言います。
絵に描いたものは「えびす」で、木に描いたものは「きびす」と言い張ります。
デタラメですが、信じて感心する大名、
ここは本筋には関係ないです。笑うところです。

さらに、都の地理がわからない大名は、太郎冠者は詳しいと信じて観光案内をさせるのですが、
太郎冠者もじつは何も知らず、知ったかぶりをしててきとうな案内をします。
ここも意味わからないかもしれませんが、ああデタラメ言ってるんだな、と思ってニヤニヤしてください。

西ノ宮神社に着きます。お願いをします。
神社の中で「通夜」をすることになります。
いま「お通夜」と言えば、亡くなったかたの前でひと晩すごすことを言いますが、
もともとは、夜通し行う神事や仏事は、全部「通夜」です。
大名は寝てしまい、太郎冠者は番をさせられるのですが、自分も寝たい太郎冠者は、犬が来た鳥が来たと言っては大名を起こし、
めんどくさくなった大名に「寝ていい」と言わせます。

大名は「(神社の)西の門の階段に妻がいる」夢のお告げがあり、大名はよろこんで門に向かいます。
釣竿が落ちています。
これで妻を釣れ、ということらしいです。恵比寿さまだし。
「二本棒にならないように、一本棒をくれたのだ」と太郎冠者が言います。
妻となる女性が、男を二人持たないように、という意味の下ネタです。あははと笑うとこです。

大名は釣りをし、見事に身分の高そうな女性を釣り上げます。被布(かつぎ、頭にかぶった布)を取ると、絶世の美女です。
やった!! 太郎冠者が持っていた竹筒の酒で三々九度をして、お祝いに太郎冠者が舞います。
舞台としては、この舞いのところが見どころになります。

太郎冠者も真似して、はりきって釣り針を投げます。
女性が釣れます。
喜んでプロポーズして結婚を決め、いさんで頭の被布を取ると、
すっごい醜女があらわれます。ぎゃー!!
この役は基本的に立役から出る上に、大げさに恐ろしいメイクをしているのでたいへんなことになっています。

でももう結婚してしまったので遅いです。女性はすっかりラブラブモードです。

幸せいっぱいで引っ込む大名カップル、
一緒に逃げようとして、引き戻される太郎冠者。
バタバタしながら幕です。

太郎冠者はたいへんですが、きっと見慣れて幸せになるのだと思います(笑)
基本的に、神のお告げでよい妻をめとるという筋のおめでたいお話です。

セリフのなかの、細かい笑わせるやりとりをできるだけ聞き取ると、より楽しめると思いますが、
立役の役者さんがやるブサイクな女性の、ブサイクっぷりメイクのインパクトだけでも充分に楽しめます。


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