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ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

そして悲しくうたふもの

2008-08-01 13:30:06 | 日記・エッセイ・コラム

きょうから8月、花火の季節。
地方のあちこち 夏の夜空に大輪の花が咲く。
併せてお盆の行事をむかえ、
亡くなったひとたちを偲ぶ季節でもある。

今日8月1日は室生犀星の生まれた日。
1889年(明治22年)、金沢市は犀川の近くで生まれたのを由来して
筆名を犀星とした。
21歳のとき文人を志して上京したが
現実は貧困のどん底であり
その心情を詠んだものに次のような作品がある。
始めのフレーズは誰もが一度は青春時代に口ずさんだもの。

   「 ふるさとは遠きにありて思ふもの
      そして悲しくうたふもの
     よしや
     うらぶれて異土の乞食となるとても
     帰るところにあるまじや
     ひとり都のゆうぐれに
     ふるさとおもひ涙ぐむ
       そのこころもて
     遠きみやこにかえらばや
     遠きみやこにかえらばや  」

その他、自伝的小説『杏っ子』があるが
私生児だった犀星にとって、この小説を書いているときだけは
見えない母に逢うことができたという。

道の端でカンナの花は真っ赤に燃えているが
アブラゼミからミンミンゼミに代わり
酷暑の中にも ふと、夏の終りが近づいてくるのを感じる。

    
八月は悲しそれからにぎやかし