ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

涼風

2010-08-29 22:05:19 | 日記・エッセイ・コラム

誰も来そうにない静かな昼下がり
冷麦を食べたあと
卑弥呼より届けられたCDを聴く。

永井荷風の『墨東綺譚』の全編である。
大正から昭和初期の玉の井が舞台の小説。
パリに遊び モーパッサンを好み
ボヘミアンネクタイのハイカラ紳士。

小説では東京下町の風景と
おおらかな人情がよく描かれており
現代よりも貧しい時代にありながらも
正直でゆたかな暮らしぶりが
うらやましくも思える。

朗読は俳優の神山繁氏だが
ちょっと早口なのが惜しまれる。

隣りの時計屋さんから
リンゴ酢に漬けた新ショウガを戴いた。
ひとくち齧ると
夏がひしゃげて涼風が体の芯を吹き抜ける。

     鳴きやめてちちろの闇の深まりぬ


遠きに在りて想うもの

2010-08-26 13:48:21 | 日記・エッセイ・コラム

二つ年上の友人が訪ねてきた。
地元の高校を卒業してからすぐに上京し
映画会社に入ったが
アテレコ(声優)や端役であまりパッとしなかった。

その後、音楽の道に進み
作詞と作曲を手掛け
今日は歌手を連れて『塩谷の恋蛍』のPRに
立ち寄ってくれた。

さっそく戴いたCDを聴いてみたが
しんみりと心に伝わるものがあって
好感のもてる曲であった。

初恋の相手、九つで亡くなったぼくの姉(昌子)への
想いをイメージして作ったそうだが
事情があって故郷に帰る家のない彼にとって
まさに 〈 ふるさとは遠きに在りて想うもの 〉 である。

はかなくも美しい人生の哀愁がせつせつと
曲の根底に流れていて
いい歌だと思う。

   がんばれ、Mitio!!

       軒を超えジャックの空へのうぜん花


耳は二つ

2010-08-24 22:55:32 | 日記・エッセイ・コラム

昼はロータリークラブの例会であった。

  双方の言葉を聴くために耳は二つある
  双方のかたちを見るために目は二つある
  口が一つなのは真実は一つであるから。

大むかしの哲学者の言葉を例えにしながら
誤解を受けているある会員の名誉を
少し守ってやることができた。

カレーライスを食べながらの有意義な一時間であった。

夜は断続的に強い雨が降り
三時間ものあいだ雷が鳴りつづき
大田原市・さくら市・矢板市など近隣の町には
大雨洪水雷警報が出されている。

なにやら地球創世記を思わせるような
このごろの気象。

     鶏頭の茎まで赤く秋日和


るつぼ

2010-08-22 01:20:54 | 日記・エッセイ・コラム

猛暑のせいだろうか
急にアラブ・中近東辺りの音楽に興味がわいて
CDなど取り寄せている。

イスラムの伝統的旋律と
現代音楽的なビートに直接魂が共振させられる。
千年以上も戦争が絶えない不思議な地域。
実は魅力ある地域、価値ある地域だからこそ
戦さがつづく。
つまらない地域であったらだれも見向きもしない。

宗教と文明と欲望の「るつぼ」
ベリーダンスが見せるように幻惑的で
西からも東からも常に誰かに狙われている。

小学5年生の学芸会でアリババを演じたが
そのときの女房役は初恋のひとであり
蝶の羽のように薄いひらひらした衣装がとても素敵。
ぼくの想いを先生は知っていて粋な計らいをしたものだ。

ひさしぶりに日光翠苑にて夕食。
料理はどれもボリュームがあるので
店には済まないが一人前を頼んで二人でたべる。
それでも女将さんは嫌な顔をせず
コーンスープとデザートの杏仁豆腐をこっそり
二人分用意してくれる。

夕景の日光、
窓を全開にして走ると
懐かしい秋風が耳たぶをかすめる。

     虫の世へしばし肉体湯に預け


水対策

2010-08-20 11:09:32 | 日記・エッセイ・コラム

水害防止の工事を頼む。
マンホールに3台のポンプを備え
雨水が溜まりしだい自動的に電源が入り
側溝へ放水してくれるというもの。
さらに排水口には逆流ベンを取り付け
増水による逆流を防ぐ。
路面から屋敷の入り口には
なだらかな勾配をつけて
側溝から流れ込んでくるのを防ぐ。

土のうを身近に抱えておかなくても
これで少しは安心できるかも。

無責任な言動で
さんざん世間を混乱させたあげく
政権を投げ出した元総理大臣が節操もなく
復権を画策している。
未来を託して一票投じた者にとっては苦々しく
いいかげん 「恥を知れ!」 と言いたい。

ナツメの木がゆさゆさ揺すられるほど
みんみんぜみが懸命に鳴いている。
雲の峰が柔らかに崩れ
まぶしく光る堰堤では
夏がさよならの準備をしている。

       雄弁はときに悲しく秋の蝉