ベンベエの詩的つぶやき

世の中をちょっと斜めに見て・・・

昼下がりの秋

2011-09-29 16:13:00 | 日記・エッセイ・コラム

コンバインがゆっくりと往来を行き
辛夷の赤い実が庭にこぼれ散り
軒先にはケイトウの花が燃え
西日が光と陰のコントラストを濃くしている。

食卓に食べ残しのぶどう
ひとつ摘まんでは姫たちの頭を撫で
心身に満ちてくる充足感
・・・・・・・・・秋である。

なにかいい読み物がよみたくなり
本棚を探す。
買ったまま開いてない本が随分あって
勉強嫌いを今更ながら悔いる。

秋は人の心を清明にさせる。
秋は人の心を素直にさせる。

何か善いことをしてみたい衝動に駆られ
秋は人を善人にさせるようだ。

      逢ひにゆく小道の奥の曼珠紗華


ポエム

2011-09-28 16:36:19 | 日記・エッセイ・コラム

           蟷螂

     草いきれに
     おぼれる身体を
     かなしみの電流が奔り
     その瞬間
     伴侶の貌を噛み砕いている

     恍惚と
     瞳の奥を白雲がながれ
     首をかしげ
     また首をかしげ
     自分が何をしているのかわからない
        *        *
     風に吹かれながら
     やっとたどり着いた軒明かり
     にぎわった虫の闇は
     冷たい星のしずくに濡れ
     膨れた腹の重たさは
     食いころしたオスの怨みか
     昨日がとおく
     寂々と月が欠ける

     みどりの瞳 いつまでも
          


転ぶ

2011-09-25 16:36:49 | 日記・エッセイ・コラム

家の中で転ぶ。
おはぎを両手にもって
敷居を跨いだとたん転んだ。
幸い頭は打たなかったが起き上がれない。
おはぎはとんでもない方向へ・・・・
両膝の関節が外れてしまったような
ガクガクして力が入らない。

右へ左へ体をごろごろさせても何としても
起き上がれない。
一時間ほど悪戦苦闘の末
ようやく椅子に座ることができた。

夜は2階への階段が上がれず
離れで寝ることとなった。
喜んだのは姫たち、
女房と広い私のベッドをひとり占め。

わが家は古いのであちこちに段差があって危ない。
膝サポーターと5つほど踏み台を買ってきて貰い備える。

治ってくれないと何処にも出かけられない。

     金木犀の匂い連れ来る見舞い客


台風15号

2011-09-21 22:16:19 | 日記・エッセイ・コラム

わが栃木県をめがけて
真っ直ぐにやってくる台風15号。

20時、直撃風雨烈し。
わが家の前の道路に水があふれ
川と変貌する。

備え付けの三台のポンプをフル稼働し
浸水してくる水を汲みだす。
13年前、那須集中豪雨の時は
このポンプが間に合わず床上まで浸水した。

道路より低いのがわが家の宿命。
土台を引き上げる方法もあるようだが
造りが古いので上げたら数年でガタガタになるという。

それにしても、最近の災害の大きさには
なにやら近未来への更なる大災害を予感し
不安になる。
3・11の大災害がまた何処かで・・・・

とうとう天災は
何らかの意思を身に付けてしまったか。
 これでもか! これでもか!
人間に襲いかかる。

     
台風の目の中ちちろ鳴きゐたる


月下美人

2011-09-18 00:18:22 | 日記・エッセイ・コラム

           獣性   

     楊貴妃へ
      時をさかのぼる
      妖艶な芳香と純白の気品

     今夜8時ころには咲くからと
      届けてくれた鉢植えの月下美人

     約束どおり
      大きな蕾は鎌首をもたげ
         開花した

     コウモリをおびきよせ
      受粉させるという官能の罠
     花はその奥に獣性を秘め
      情交のときを窺っている

     「儚い恋」「快楽」「艶やかな美人」の
      花ことばも明け方には消えてしまう

     ならば萎むまで見つめていようか
     
 それともたべてしまおうか
       わたしの中にいつまでも

        やはらかく秋蛾を闇へ放りけり