田園調布の山荘

「和を以て貴しとなす」・・ 日本人の気質はこの言葉[平和愛好]に象徴されていると思われる。この観点から現代を透視したい。

ライフスタイルの変化に立ちすくむ大企業

2009年01月12日 09時01分15秒 | 時評
090112価値観の変化に立ちすくむ大企業
今度の不況は早くから予想されていた。
資本主義経済は、世界のあちらこちらでバブルを起こし、その力学でその大きな図体を維持してきた。しかし、今やその力学は通用せず、地球環境の危機で絶滅寸前の立ちすくむ恐竜のような姿を見せ始めている。
まず、金融があんなに暴走していればこれがはじけて信用の収縮が起こるのは当たり前である。しかしバブルは持続するという妙な神話が横溢していた。第二にアメリカだけが世界をリードするというパックスアメリカーナの終焉である。経済も政治も世界の動きは多極化していて経済、政治のモデルも新しいものに入れ替わろうとしている。第三が、地球環境危機。経済は地球から無限の資源を引き出せるという神話で運転されてきたが、そのしわ寄せは経済の基本単位である家計が成り立つ現場に現れた。農林漁業が世界的に生産力を失ってきたことなどがあげられる。第四に、家計を守ろうとする人々の動きとその元にある価値感の大幅な変動。家計を守ろうとする動きは、子供を産まないようにする動きと一体化し、安い品物に群がるという動きを加速させるが、この2つの動きは行き着くところまで行くと反転して別の価値観に大きく変換する。今その価値観が大きく拡がり始めている。

経済の基本は生産であり、流通、消費、投資というサイクルを経て再生産が起こるのだが、今再生産の構造が著しく傷付き、小手先では治癒出来ない事態になっている。その原因は先の4つにまとめた事象の中にある。

人々の価値観の内面を特徴づけるものは何か?これは不足に対する渇仰であると見る。では何が不足しているのだろうか?もっとも奥底にあるものはコミュニーケーションである。現代社会のもっとも大きな欠陥はマスコミの発達とインターネットの発達に反比例して情報が品質と信用を落としたことにある。その情報はつまらないお化粧がなされブランドを作った。その内実は欺瞞や恫喝がひそみ醜いものになってきた。食品の偽装が叫ばれて久しいが、食品に限らず現代社会の商品は大なり小なり同種の偽装が施されている。消費者は、デモ効果に惑わされるという根拠のない学説が語られて久しいが、消費は幻想であるといったE・Hフロムの言葉を引用するまでもなく、消費者は消費について冷めた目を持つようになり、偽装されない情報に強い関心を抱くようになった。その行き着くところは、商品の中にある情報力(情報の確かさ、品質、双方向のコミュニケーション力)への評価である。
今後、経済を活気に導くためには、従来のビジネスモデルを廃棄し、商品の中に心理的な明るさ、健康、コミュニケーションを埋め込むようにしなければならない。

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