※以下の記事は2010年4月4日に訂正を実施しています。
訂正内容は文末を参照願います。
先日導入したコンデジ
「フジフィルム・FINEPIX F200EXR」
先週購入し、通勤途上での試し撮りを経て、
この週末に旅行を兼ねて初撮りを楽しんできました。
結論から申しますと、F200EXRは
「撮影者が条件を整えることで非常に満足な結果を得られるカメラ」
「コンデジでありながら、感度400でもA4プリントに耐えられるカメラ」
…と申し上げます。
マニュアル操作を積極的に行い、画像劣化を伴う動作モードを
キャンセルすることで、
価格やサイズの常識から大きく離れた良い撮影結果を
得ることが出来ます。
逆に言えば、フルオートモード任せで良い絵を簡単に得られるカメラでは
ないと思います。
以下、ここまでの使った感想と使いこなしのための
私なりの手法を説明します。
ヘタッピ+アマチュアの私の言うことですので
あまりあてにならないかも知れませんが
参考程度に聞いていただければありがたいです。
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★EXRモードの正体とは
よくCMやカタログで書かれているEXRの3つのモードとは
・HR=高解像度モード
1200万画素をフルに使う、一番解像度の高いモード
シャープネスをいくらか強めて鮮明感強調
・SN=ノイズ低減モード
画素をコンバインしてセンサー受光量を上げる形にして低ノイズを謳うモード
ノイズリダクション強め
・DR=ダイナミックレンジ拡張モード
画素の感度性能切り替え、必要に応じてコンバインして
実質的なダイナミックレンジを拡大する
それに加えて上記3つを自動で切り替えるEXRオートモードがあります。
これらはまるで違う性能をセンサー自身が切り替え対応して
複数の性能を実現するように思われていますが
どうやらそうではないようです。
スーパーハニカムCCD・EXRは必要に応じて画素をコンバインして
感度耐性やダイナミックレンジを選択するシステムで
画素コンバインによる感度UPと解像度の切り替えをするだけと
考えた方が扱う上では考えやすくなると思います。
センサーの容量が光量に対して追いついている場合は
1200万画素を普通に使います。
これがHRモードで、要は標準のセンサー使用状態になります。
特別なことがなされている訳ではありません。
(追記:シャープネスは標準より強めのようです)
光量が足らない場合や、逆に光量が多すぎて輝度差が大きくなる場合は
受光素子を結合して、集める光の量を増やしてセンシングにおける
ノイズの発生を低減したり、感度をおそらく複数に振り分けて
一個のセンサーが出した高D/Rの撮像結果として
出力するのだと思います。
(実際に、DRモードにするとLサイズ=フルピクセルの設定ができなくなります)
つまりEXRにおける特殊モードは一部を高感度状態にして
暗部を捕まえることで高感度画質やD/Rを補完しているモードで、
それはそのまま画質について苦しいモードということになります。
EXRオートモードでストロボをオミットして撮影を行うと
暗くなって輝度差や有効な露出が得にくい条件になった途端に
高感度を多用することになり、画質がみるみる劣化します。
暗所でのEXR/SNモードのデフォルトセット状態では
ストロボが無いと感度1600を常用して、ザラザラの絵になってしまいます。
DR拡張モードでも同じことが起こり、デイタイムであっても
何故かザラザラの写真を量産してしまいます。
もちろん撮影範囲を広げるという意味では
高感度設定は有効ですし、サムネイルやWeb上での画像…
640×480くらいならば十分鑑賞に堪える画像を出すことはできます。
ただ、私の場合は最低でもA4プリントで美しく鑑賞に堪える画質が
欲しいと思っているので、
最初にEXRオートで使った時の落胆は大きく、
買ったことは失敗だったかなと思ったほどでした。
ただし…
逆に撮影画像を劣化させるものをマニュアル操作で排除することで
スーパーCCDハニカムセンサーが持つ高画質性能を
発揮させてやることが可能になる!
そう考えております。
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★F200EXRの中にある画質劣化条件
画質を劣化する条件を排除する、もしくは最低限に抑えることで
F200はコンパクト+実売価格が低いカメラでありながらも
高性能デジタル一眼を所有するオーナーであっても満足させ得る
高画質な写真を出すことができます。
以下は画質を下げるものです。
1.センサーサイズに不相応な高感度設定での使用
2.DRを無駄に引き上げての撮影
3.無駄に長時間電源を入れたまま放置すること
4.センサーに熱を無駄に持たせる駆動条件
1.ですが、
これはいかに新開発センサーとは言え、
どこまでもノイズレスという訳ではなく、あるラインまでのノイズを
抑えただけであるはずです。
(これこそ喝采されるべき技術進歩である訳ですが)
映像エンジンで極端な細工をしない限りは、光が少ない条件で
明るい条件と同じ安定した出力は得られる筈はありません。
つまりはセンサーの限度を越えた感度での使用は
あまり賢い使い方であるとは言えないようです。
私が使用した限りでは、感度400になると若干ノイズが目立ち始め
800を超えると等倍での表示では明らかにカラーノイズが出てきます。
デティールも喪失し質感を得られず、大きいサイズでの印刷は厳しくなります。
A4サイズでのプリントを考えた場合、私は400までを許容します。
もちろんWeb上での使用の場合や、画質劣化を覚悟で記録する事を優先した場合は
それ以上の使用も有りと考えます。
若干の解像感の低下を許容できるなら、感度800での使用でも
十分な撮影結果は得ることができます。
EXRオートモードでは感度を指定することは出来ませんが
モードを指定して使用することで、感度に「縛り」を入れることが出来ます。
またP(プログラム)やM(マニュアル)を使うことで
感度UPによる画質劣化を回避することもできます。
2.についてはケースバイケースで考える必要が出てきます。
明るい場合はDR拡大のための感度UPがそもそも抑えられるので
基本感度を抑えた上でDR拡大も有効です。
しかし暗い場合や輝度差の下端があまり低い場合は
DR拡大を諦める必要が出てきます。
無理にDR拡大をすると、DR拡大の恩恵よりノイズ増加の弊害が大きくなり
結果として画質を落としてしまいます。
そもそもこのカメラのセンサーのD/Rは最初から大きくありません。
私が持つ古いデジカメ「パワーショットG3」の方が同条件では
明らかにDRが広いのです。
つまりはDR拡大に頼るより、最低限のDRに抑えた上で
露出を極力適正化し、暗部ツブレを抑える方向で
撮影した方が賢明かと思います。
そして3と4ですが…
そもそもデジタルカメラはセンサーを連続使用して熱を持った場合、
自身の熱でセンサーが熱暴走気味になり、
ノイズが増加する傾向があります。
これはこのF200に限ったことではありませんが…。
これぞ一発という撮影を考えている時は
起動時間を最低限に抑えて、クーリングを十分にさせる必要があります。
それに加えてF200の場合は自身のセットアップの中に
センサーに負担をかけてしまうものがあります。
「モニター/AFのパフォーマンスアップ」がそれにあたります。
同梱のCDに入っているPDFマニュアル88ページに書いてありますが
上記の機能がセンサーに負担をかけ、熱による画質劣化が起こることが
書かれています。
モニターパフォーマンスは「節電モード」にセットしてください。
これだけでもノイズは明らかに減ります。
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★撮影における私なりの対処と、それによる評価
※私は基本的に、Pモードを絞り優先に設定し、
それに露出補正を組み合わせて撮影するのがベターだと思っています。
このF200は絞りがNDフィルターによって行われますが、
その機構上、絞り値の設定はかなり大雑把です。
ただしシャッター速度は電子シャッターの恩恵なのか
かなり細かく変化させられるようです。
結果として露出制御は思ったより細かく行うことが出来るようです。
この撮影モードで得た撮影結果をベースに、
マニュアルで撮影するのも有効です。
感度はPやMではオート設定がありません。
逐一感度を選ぶ必要が出てきますが、通常は400にセットで
良いと思います。
感度400の画質はかなり優秀かと思いますので
露出オーバーが出て初めて下げるのでも
良いと思います。
※条件が良い時はEXRモードで各モードを任意選択して
感度を上限縛りのオートで撮影するのも手だと思います。
露出補正は効きませんが(訂正:可能です)
条件が良い時であればDRの心配もさほどないので、
簡便且つ高解像の写真を得られると思います。
EXRオートモードを解除すると、各EXRモードで
詳細な設定が可能になります。
感度を400までに縛り、各設定を好みに設定すれば
簡便かつかなり幅の広い撮影ができます。
露出補正も、全てのフィルムシミュレーションモードも使えますので、
かなり撮影者の好みを生かせるはずです。
以下、各モードの特性と使用ロケーションを書いておきます。
『HR』
解像”感”優先でシャープネス向上(ただし過度ではない)
=風景や精細感が上がりにほしい場合に使用
特性上画像サイズを小さくする時には効果が大きい
→そこまでシャープネスを求めない/Lサイズ使用時はP/Mモードへ
『NR』
ノイズ処理優先
=暗い場所でのストロボ無し撮影などで発生するノイズを
下げたい場合に使用
ただしノイズリダクションはP/Mモードより強めであり、
若干細部が損なわれる(個人的には800まで許容)
→ノイズリダクションを弱めたい時などはP/Mモードへ
『DR』
ダイナミックレンジ拡大
=画素コンバインでダイナミックレンジ向上させる
輝度差が大きい場合に使用。
ただし400%以上は動作できない条件あり
※感度を低感度に割り振れないゾーンは救済できない
これがAEの白とび救済優先/黒つぶれ傾向の原因と考える
また400%以上はノイズ増大のため、個人的には使用せず。
画像サイズもMサイズが上限となる。
→P/MモードでもDR設定は選べるが、800%が選択できない
上記のようにPおよびMモードでもDRは任意設定できます。
ただし、800%は画質面でも心配が多いですし、
極めて特殊な条件でのみ使える隠しコマンドのような設定ですので、
無視していただいて結構かとも思います。
画像LサイズではDR100%しか使えません。(←誤記訂正しました)
(これは別記したようにフルピクセルを使い切ってしまうためです)
しかし、Mサイズにすると100~400%が使えます。
Mサイズでも600万画素で、十分に精細な画像ですので、
DR設定自由度から考えても、Mサイズをデフォルトにしても良いと思います。
暗部つぶれの傾向はかなり多くみられます。
DRを拡大していても、被写体に大きい輝度差があると
暗部を救済しきれないようです。
デフォルトのマルチ測光では明るい部位に引っ張られる傾向が
あるのかもしれません。
また感度の下限が100であり、白とびを抑える能力の方に
早く限度が来るため、ハイライト側に露出が寄るのかと考えています。
そういう特性からか、幸いにして白とびについては結構頑張りが利くので
暗部を救う意味でも補正補正をかけられるモードはお勧めです。
AFはパフォーマンスアップをせずとも十分な速度を持っていると考えます。
顔検出も上手く機能しています。
通常でのAFは古典的な中央一点です。
シャッター半押しのAE/AFロックを使うことが多くなります。
いい加減なレリーズについては対応し切れませんので
撮影前の対処が全てになります。
いい加減に使うことを前提にしていると厳しいですが
考えて待ち伏せることが出来れば問題ありません。
オートホワイトバランスはかなり優秀かと思います。
若干青に転ぶ傾向があるようですが、フジのフィルムでも似た傾向があるので
転んでいるというより、それがフジの狙うところなのかも知れません。
だから空の描写などは本当に素晴らしいです。
色転びとして気になるなら、レタッチソフトでカラーバランスを
ちょっといじってやれば解消できる軽微なものです。
(私はほとんどAWBのまま使用しています)
ストロボ使用時はむしろEXRモード使用で良いと思います。
感度UPのデメリットを心配せずに済むストロボ使用撮影では
信じがたいほど優秀なストロボ調光を見ることができます。
至近距離の被写体に、光量をごくわずかに抑えて発光する姿は
このカメラがいい加減な設計ではないことを感じさせてくれます。
手振れ補正は強力なようですが、そもそも軽量且つファインダーを持たないので
ラフな操作にはどうしても厳しい面があります。
何かにもたれかかったり、壁や柱に押さえつけたり…。
シャッター速度が1/20程度までなら上記対策で
普通の撮影者であれば問題なく撮れる筈です。
また一脚やミニ3脚を使うのも有効でしょう。
それらが使えない場合は2秒セルフタイマーを利用するのも手です。
これでレリーズによる手振れはほぼ解消できます。
2秒セルフの搭載はありがたいです。
レンズは悪くない…というか、サイズ考えれば極めて優秀な写りです。
広角端から望遠端まで画質は破綻しません。
どちらかで破綻するレンズが中上位機にも平然と存在する中で
これは立派だと言えます。
どの撮影レンジでもレンズはOKでしょう。
広角端の歪みの少なさは美点です。
もしかしたらデジタルで補正しているのかもしれませんが
知る由はありません。
ただ、価格を考えたら無いと考えるのが自然かと(笑)
逆光にも強いです。
フレアは多少は出ますが、太陽を画面に入れても
ヌケの良さはしっかり保たれます。
ムービーはかなり頑張っています。
何故かムービー時は逆光に弱くなってしまいますが(汗)
ピント合わせや露出はかなり頑張って調整してきます。
真っ暗になった時にゲインUPして、トンネルの中でも
トンネル内壁をしっかり撮影者に視認させるところを見ると
高感度設定幅の広さもあながち馬鹿にできないと思います。
バッテリーは長持ちする方とは言えません。
200ショット+ムービー5分でアラートが出ました。
しかし容量を考えれば頑張っていると言えるでしょう。
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以下自分の基本セットアップをまとめます。
モードダイヤル=Pモード変更の絞り優先設定
(AEが厳しい場合は撮影結果を元にMモード)
画像サイズ=Mサイズ(必要に応じてLサイズ)
感度設定=デイタイムは200、夕方以降や室内では400に設定
ダイナミックレンジ設定=100~200%
カラーモード=アスティア/ベルビア
露出補正=基本的には無し、暗部つぶれにあわせて+補正
パフォーマンス設定=節電
通常のスナップ時はEXRモードをHRにして
感度を400上限に設定しています。
これでも十分に楽しめます。
上記はより良いセットアップが見つかった時点で更新します。
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F200はかなり癖があるカメラだと思います。
ダイナミックレンジはかなり狭く、高感度も言われているほど得意ではありません。
商品説明で謳われている得意項目が実は苦手項目で、
その苦手項目を如何にカバーするか…
これこそがF200の使いこなしの肝であると思います。
コンパクトデジカメ…という機種の性格を考えれば
簡便な使用で高画質を得るのが難しいというのは
はっきり言って大減点です。
簡便さを求めるお客様に進められるカメラではないでしょう。
しかしその欠点をもってしても、これを使う魅力はあると思います。
決まった時はドカンとくるカメラ、私はむしろ好きです。
一芸に秀でるカメラは、そのまま撮り手のイメージする力の適応力を
試すカメラであるとも思います。
クルマもカメラもオートモードに飼いならされた今の人間にとっては
かなり高いハードルではあると思いますが…。
私もいつの間にか飼い慣らされていたようです。
自分を鍛える意味でも、このF200とじっくり付き合ってみたいと思います。
■補記・訂正とお詫び■
露出補正について誤記がありましたので、訂正しお詫びします。
補記・誤記訂正は以下になります。
・EXRモードマニュアル設定時の露出補正は可能です。
ずいぶん前に気付いていたのですが、記事反映が遅れて申し訳ないです。
・各解説を追加・補記
その他項目についても随時訂正・補記します。
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