ホビット

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にじゅうろくのご

2005-11-15 11:34:23 | 日記・エッセイ・コラム
 影はそういうと立ち上って、コートの雪を手で払い落とした。「まあ、ゆっくり考えろよ。真暗な地下の水脈の中を永遠に彷徨って、気持の悪い魚に屍肉をかじられるのは君にしたところでやりきれないだろうからね」
「君の理論を聞かせてくれないか?」
「俺がこの街に来て、まず最初に感じたことは、ここにあまりにも完璧すぎるってことだった。少なくとも見た目にはね・・・・・・。何もかもがはめ絵みたいに、あまりにもきちんと出来すぎている。だから俺はこう考えた。この街は自然に出来上ったもんじゃない。何かしらの意志によって無理矢理作り上げられたものだってね。もし本当にこの街がそんな何かしらの意志によって作り上げられたものであるとすれば、必ず何処かにほころびはあるはずだ。俺は意志の力などというものは信用しないからね」
 影は言葉を切ると、ぐったりしたように指の先で目をこすった。

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にじゅうろくのヨン

2005-11-14 18:23:24 | 日記・エッセイ・コラム
「これからどうするんだ?」
「泳いで出るのさ」と影は言った。
「どこから?」
「あのたまりからさ」
 僕は茫然としたまま口もきけなかった。
「飛びこんで泳ぐのさ。少し冷たいがね。風邪をひくくらいはこの際我慢してほしいね」
「それが計画なのか?」
「そのとおり」
「本当に抜けられるのか?」
「俺の想像に間違いがなければね」
「想像?」
「でなきゃ理論」と影は言った。「気に入らなきゃそう言い換えてもいい。結局は同じことだ」
「確信のない点ではね」
「そうとも、確信なんてこれっぽちもない。出られると俺は思う、それだけだ。それを信じるか信じないかは君次第だ。だから自分で決めろ。俺は強制しないよ。俺にもプライドはあるし、君を利用したとも思われたくはないからね」

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にじゅうろくのさん

2005-11-09 16:41:15 | 日記・エッセイ・コラム
 影はそれには答えなかった。僕たちは顔を傷だらけにしながら全速力で藪を抜けていった。藪のすきまから時計台が五時を指しているのが見えた。
 やっと藪を抜け、たまりのある草原に出たところで、僕たちは息を切らせて座り込んだ。
「よくやった。君にしちゃ本当によくやった。賞めてやるよ」と影もあえぎながら言った。「ここまでは誰も絶対に追っちゃこないからな。俺たちの勝ちだ」
 暗闇の中をこれまでに見たこともないほどの量の雪が一面に降りしきっていた。あいかわらず風はない。たまりの不気味なばかりに青い水面にも雪は降り注いでいた。

yuyake





14,604's eyes

2005-11-07 21:50:29 | スポーツ
1-1。勝たなければならない試合だった。
勝利を観るためにドームに集ったのだ。それなのに・・・・・・

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前半はチャンスだらけだった。でも決められないのだ。
「それが札幌」と指揮官に言わせてしまった。

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フラッグの下に喜ぶ清野選手が見えた。直後に交替。それから動きが悪くなった。
DFでの横パスが増え、前線は自分で打たない。11番はボールコントロールができないでいる。
そして同点・・・・・・
最後も、FWが打ち切れなかった。

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謝るよりも、勝利の笑顔を下さいな。

それにしても優しいね、本間君。

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もう一度会いたかった

2005-11-07 19:11:04 | 音楽
稀代の歌姫である本田美奈子さんが亡くなった。
まだ38歳という若さだった。
あの歌声にもう心を揺さぶられることが無くなる。
デビューの頃からずっと見続けた者として、やはり美奈子さんは偉大だったと思う。
アイドルらしくない声の張り。ミュージカルに挑戦してからは一層磨きがかかった。
手に入れることができるなら、「ジャンクション」を聴いて欲しい。鳥肌が立つ声とはこれだと思う。
どんな曲でも歌いこなせる彼女の魅力が詰まっている。
DVDの中の彼女は生きる喜びにあふれている。
だからこそ、早すぎる人生が悔しくてたまらない。
アマゾンで彼女のアルバムがランキング・トップに立った。
美奈子!君は輝いていたんだ!