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ナビゲーターは魂だ

宗基元               寒 波

2011-04-15 | 
「奴らが やってくるぞ」


あの 狂った 旋風と  凍てついた 息づかいから


まず、 子供たちを かくせ。


命よりも 大切なものは  いっそのこと 腹のなかに 呑みこめ。


女房には 松明(たいまつ)を 持たせ、


お前は 野火を もやせ。


年とった父、母が ついてきたら


先頭に 立たすのだ。


今こそ 生きねばならな時だ。


これ以上 奪われては ならない時なのだ。










金栄錫             証人

2011-04-14 | 
ひと言の 証言は

どこででも 花を咲かせることがない

私たち みんなが 証人なので

ただ 真実は

日常の 騒がしい 沈黙のなかに、  あるいは

自然の 光りに 遮(さえぎ)られたまま

地中ふかく 水となって しみこみ

暗闇の 細根を ひたしているだけ


鳥は 鳥の声で さえずり

犬は 犬たちで ワンワン 吠えているだけ


すっかり 晴れあがった 天地に

証人は 一人も さがし出せない


もっと多くの 沈黙が 必要だ


今はまだ もっと 多くの

雑草のように 強靭で いきいきとした

水溶性の 虚偽が 必要だ。

三好 達治             空琴

2011-04-12 | 

 いかなれば  のらす  そらごと

 いのちをも  みをも  をしめと


 いのちをも  みをも  をしみて

 かへるべき  かたや  いづかた


 ゆくへなき  あすを  をしめと

 さるをなほ  のらす  そらごと


 はるかぜに  とらるる さへや

 ただ をしむ  きみが  おんそで

 星野 富弘          日日草 

2011-04-05 | 
 
 今日も 一つ  悲しいことがあった


 今日も また一つ  うれしいことがあった


 笑ったり  泣いたり 


 望んだり  あきらめたり


 にくんだり  愛したり・・・・・・・



 そして これらの 一つ一つを


 柔らかく 包んでくれた


 数え切れないほど 沢山の


 平凡なことが あった



伯牙       古今奇観より

2011-04-03 | 箏のこと

  琴 というものには  「六忌」  「七不弾」  「八絶」  があります。



「六忌」とは なにかといいますと、

1つには 大寒 を忌み、   二つには 大暑 を忌み、   三つには 大風 を忌み、

四つには 大雨 を忌み、   五つには 迅雷 を忌み、   六つには 大雪 を忌みます。



 「七不弾」とは、

喪を 聞けば 弾ぜず、    他に 楽 あれば 弾ぜず、    煩わしきこと あれば 弾ぜず、

身を 清めざれば 弾ぜず、   衣冠 整わざれば 弾ぜず、    香を 焚かざれば 弾ぜず、

知音(ちいん) に 遭わざれば 弾ぜず     の 七つです。



 「八絶」というのは、

要するに  清  奇  幽  雅  悲  壮  悠  長     の 八つです。




 琴 というものは、 奏でて 至美至善 のところへ 達すれば、  嘯虎(しょうこ)も 聞いて 吼えるのを やめ、

 哀猿 も 耳 かたむけて 啼くのを やめます。


 これが 正しい 楽 の すぐれた ところです。 ―――

 
                                                駒田 信二訳


三好 達治      ことのねたつな

2011-04-02 | 箏のこと
いとけなき   なれがをゆびに


かいならす   
        ねは  つたなけれ


そらに みつ  
         やまとことうた


ひとふしの   しらべは さやけ


  つまづきつ  とだえつ するを



おいらくの  ちちは  ききつつ


いはれなき  なみだを おぼゆ




かかるひの  あさな あさなや


もののふは  よもの いくさを


たたかはす  ときとは いえど


そらに みつ   やまとの くにに


をとめらの  ことの ね たつな 

アルフレッド・D・スーザ         愛せ、一度も傷ついたことのないように 

2011-04-01 | 

 踊れ、 誰も 見ていない かのように。


 愛せ、 一度も 傷ついたことが ないかのように。


 歌え 、誰も 聞いてない かのように。


 働け、 金が 必要ではない かのように。


 生きろ、 今日が 最後の日で あるかのように。