山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座65

2015-05-26 21:20:58 | 観天望気

今回は今日の雲についてです。今朝も八ヶ岳では朝から雲が多い天気でした。これは悪天の前触れでしょうか?

 

今日も羊雲が見られますが、昨日より雲の塊が大きく、一部は高度が低い積雲に変わってきています。雲の底もより黒に近い灰色です。

天気図を見てみると・・・。

北海道の東海上から日本海、東シナ海と高気圧が連なっており、梅雨前線上の低気圧も関東の南東海上に抜けて梅雨前線は大きく南に下がっています。一見、なんでこんな雲が多いの?と不思議になってしまう天気図です。地上天気図からは雲が多い原因がわからないので、またまた高層天気図を見てみましょう。500hPa天気図を見ると

昨日、山陰沖の日本海にあった低気圧は不明瞭になりましたが、9時の時点で気圧の谷が東日本から北日本を通過しています。また、-15℃以下の寒気が東北南部を通過中です。これらの気圧の谷と寒気の影響で、上空の大気が乱れて、塊状の雲が広がってたのです。

それでは、日中は雲がどんどん発達していくのでしょうか?ふつう、もくもくした雲は午後から発達していきますよね?

ところが、上の写真のように午後になると、羊雲は消え、積雲は残っていますが、もくもくと入道雲に発達することはなく、夕方には消えていきました。なんで~???

上の2つの天気図は15時の500hPa高度と気温予想図です。午後になると、マイナス15℃線は津軽海峡付近まで北上し、上層の谷も東北の沖合から関東沖に抜けています。つまり、雲を発生させた2つの要因がいずれもいなくなっちゃった訳です。ということで、このようなときは、朝から雲が沢山出ていても大丈夫!ということになります。やはり観天望気だけで判断するのは難しい。天気図も併せて利用しましょう。

※地上天気図は気象庁提供、ほかは、「山の天気予報」専門天気図より。

※図、文章、写真の無断転載、転用、複写は禁じる。

文責:猪熊隆之

 


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