etceterakoの勝手にエトセトラ

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レビュー in KYOTOⅡ

2008年07月24日 | OSK日本歌劇団

 はやいものでもうじき8月・・・。
 わたしが高石行ったのって、6月の頭ですよねえ。に、二ヶ月も経ってしまった。
 記憶も遠のくわ、そりゃあ・・・。

 高石、歌の公演だったんですよね。
 レビューステージじゃなくて、歌謡ショー?(歌謡曲をやるわけじゃないけど・・・)
 OSK得意のダンスが少なかったのは、もったいないと言えばもったいないですが、特に不満もなく普通に楽しかったです。

「まあそう、ダンスダンス言わなくても、充分おもしろいよOSK」

 って思ったんですね。地元のお客さんがた、よろこんでる様子だったし。レビューショーより、こういうののほうが、一般にはわかりやすいかもねえーと思ったりして。
 ダンスよか歌のほうが、今日びの娯楽としては一般的だわなあ、といまさら思った。

 とにかくことりちゃんが可愛かったです!
 桜花さんと組んでファントムかな。ファントムの歌(宝塚でやったんじゃないほうのファントムだった)を歌うときに、最高潮にアドレナリンが出ました。やはりわたしはっ・・・娘役と組む桜花さんが好きだあああ!(叫ぶ)

 しかし京都で、「レビュー公演」を見たら、「あっ。やっぱりレビュー!!なんといってもレビューだああああ!」と思っちゃった。高石の舞台と、松竹でかけるレビューを一緒にしちゃイカンのですが、レビュー公演を基準にしちゃうと、たしかに高石は「ゆるかった」のだなあ・・・。(高石見たときは全く気づかなかったわ。楽しいじゃーんと思ってたもん)

 というわけで、以下、レビューinKYOTOです。

●第一部 源氏千年夢絵巻 輪舞曲(ロンド) 薫と浮舟源氏物語

 すごい題だよなあー・・・。ロンド・・・源氏物語でロンドですよ!?
 ダンナ殿を既に誘ったあとでタイトルを見たわたしは思った。
「や、やばい!!あまりヤバイのは見せたくない・・・。OSKのイイところをガツーンと見せたいんだけど・・・。ぬるーい源氏物語だったらどうしよう!!」
 源氏物語は、ストーリーが長大だし、「京都」「雅」「平安」とキイワードそろうと、綺麗ではあっても、躍動感というか・・・メリハリに乏しい印象があって、わたしは正直、源氏物語の舞台化モノはあまりオススメしないのだ。ただでさえオススメじゃない源氏物語なのに、 ロンドとか言って、混迷を極めたらどうしようっっ。うーん・・・。

 と、心配してましたけど、杞憂でした。

 (見てない方のためにクドクドしく説明入れますが)
 今回のロンド源氏、ゆったり日本モノのストーリー進行のあいだあいだに、突如現代モノのレビューシーンが挿入されまくるんですーっ!
 てゆーか、幕開きがいきなり洋舞の舞踏会シーンなのだ。

 勇気ある挑戦だよねえ。英断と勇気に、心から心から拍手~っ!!
 そして誰が何と言おうが、生意気娘Kはロンド源氏を100%支持します!
 すっごく面白かったし、斬新でイイと思った。

 ロンド源氏ねえ、芝居として見るとヘンなんですよ。でもこれ、わたしは芝居じゃないと思う(真顔) これは源氏物語を題材にしたレビューだと思う(真顔)

 パンフの作者(水口一夫)の言葉読んで、さらに納得。

 今回の上演は、三層の構造になっている。一つは薫、浮舟、匂宮を中心とした源氏物語の世界、二つは王朝の今の世も今も変わらない、(愛するということ)をテーマに、現代を入れ込んだ。これは、王朝ものは、優雅ではあるが、動きがどうしても少なくなる。その緩慢さを救うため、レビューの魅力を活かすための工夫である。いま一つは、紫式部を登場させ、物語の展開を作者の愛情と冷徹な目を持って眺めるという複雑なスタイルである。

 そうなんだよねえー。源氏物語はどーーーしても「ゆるーい」雰囲気になるから、どう動きをつけるかがね・・・。半端につけると、浮くしねえ。わたし、源氏物語の舞台って「朗読」あたりが一番向いてると思う。二次元の娯楽だもん、これ。評価が高すぎる&古典すぎて、あんまり無茶ないじり方できないし。

 作者の言葉読むと、納得納得でしたよ。作者の言葉で語ってる意図と作品、ズレてない。
・浮舟のメインストーリー(王朝モノ)
・イメージ部分(現代モノ)
・紫式部が狂言回し

 っていう三層がある、と。
 それが絡み合って、ひとつのものを表現って面白いと思うし、そういう試みの類としては、コレはメリハリもあってよくできた例だったと思います。こういうのは失敗すると目も当てられないからね。ロンド源氏は、「好きか嫌いか」「アリかナシか」を論じる余地があるだけ、よくできてると思うよ??ホントの失敗作は、二択にする余地がないもん。

 ミュージカルってさ、感情がたかぶったり、何かを説明するのに、おもむろに歌が入るじゃないですか。あれの、「歌」が「ダンス」に置き換わっただけだよね。ダンスで進行を説明しつつ、感情を盛り上げるんですね。ダンスに対する意味の置き方も、具体的で的確だし。

・華やかさ→舞踏会
・お仕事→サラリーマンダンス
・結婚→結婚行列サンバ

 ものすごいわかりやすさだ。斬新だ~。
 ちなみに「ロンド」は、

 「輪舞曲」のタイトルは、「源氏物語」の底に流れる輪廻、因果応報という仏教思想を、舞踏会で、次々とパートナーを変えて踊るロンドに置き換えたものだ。

 とのこと。
 面白いじゃないですか、発想が。
 アホらしい作品のようだけど、幾重にも意味が折り重ねてあって、ちょっと前衛的。いいじゃんいいじゃん。面白いと思うよ?

 もしあのダンスシーンが、日本モノだったら、「OK」だったのかなあ??
 まあ、そっちのほうがわかりやすいだろうけど。
 わたしは現代モノへの変換、アリだと思いますね。
 だって「意味」は変わってないもん。結婚とか仕事とか、誤解しようのない具体的な事象の表現っていう意味は、現代だろーが日本モノだろーが同じじゃん。視覚効果が変化するだけじゃんね。現代モノにしたおかげで、ちょーっと前衛的で実験的になって、とても面白いじゃないですか~。

 なんか、源氏物語のレビュー化としては、初の成功作品って感じさえするぞ。(昔の作品は知らないけど。)わたしがいままで見た源氏モノの中では、とりあえず一番好きです。大好きな中川昌アレンジだし。

 あ、そうそう。
 作者の意図、だいたいストレートに作品に出てますけど、
>紫式部を登場させ、物語の展開を作者の愛情と冷徹な目を
 これだけはムリでしたね(笑)
 元・宝塚トップ娘役(紫式部役は元タカラヅカの上原まり様)では、冷徹はムリだ(笑)
 タカラヅカって冷徹とか冷静に見るモノじゃないもん(笑) 演じ手も観客も、冷静さを失ってナンボですからね(笑)

 今回、キャスティングばっちりだったよね!
 わたしが見たのは千秋楽近くだったからなのか、芝居もみんなすっごく良かった~!
 桜花さんの報われない恋って、なんて素敵なんだろうと思った。
 桜花さん、今後はぜひこの路線でーっ!!(←?)
 最後、浮舟に裏切られるくだりの桜花さん、すっごく素敵だった(うっとり)
 そんでまた匂宮の高世さんが!!なんであんなに悪役が似合うの!?本当にミツバチトミー(古い話だ・・・)と同じ人なんだろーかっっ。すごい色気でしたねえ~。
 桐生さんは、「死神の怖さ」がふつうに出ている。やっぱ上手い人ですよね。セリ上がってくるところ、桐生さんのまとっている空気からして怖い!ぞっとするよー。
 か弱い姉の大君が折原さんで、ちゃっかり妹の中の君がことりちゃん。惑う女(?)の浮舟が櫻子ちゃん。女性陣キャストも、とっても合ってましたねえ。櫻子ちゃんの葛藤→入水の場面、すごく感動してしまった。まー、言っちゃえば浮舟が浮気するから悪いんだけど、櫻子ちゃんの浮舟は、無邪気にふたまたかけちゃって、を「ハッと我にかえって自分の所業におびえている」、っていう風情が、なんだか説得力あったな。「女の愚かさ」って、やり過ぎるとフテブテしくなっちゃうと思うのよ。「泣いたところでおまえが悪いんだろっっ」みたいな。櫻子ちゃんの、消え入りそうな線の細い浮舟、「ああ、確信犯じゃないんだ・・・。(天然なんだな)」って、素直に思えて、とても良かったです。

 上原まり様は、さすが元トップ。華やか~。紫式部って、ひとりとか二人とか、人数が少ない場面ばかりなんだけど、パッと真ん中で視線を集めるよね。「まちがいなくこの場面ではこの人が芯なんだなあー」って芝居しますよね。スランプ?に悩んでみせるとこ、(それなりの年令とキャリアの方にすこし失礼な言い方かもだけど)すごく可愛らしくて、微笑ましかったですねー。
 
●第二部 ミレニアムドリーム

 二部の洋舞は、なんと山村若せんせいが演出。日舞じゃないんだよ!?バリバリの洋舞レビューを若せんせいがっっ!

 わたくしは期待してました。若せんせいの演出や振付、ものすごーーーく好みなのだ。

 いやー。ちょっと帰ってから春のおどりのドリーム・ステップをエンドレス再生しまくったせいで、じつはかなり記憶があいまいに・・・。ううう。ドリーム・ステップに記憶が塗り替えられていくううう!
(一回しか見てないしね・・・。ドリームステップは生で四回見たんだもん。)

 すんごい粗っぽい感想になるけども。

 まず、想定の範囲内だったのは、チェリーガールズの使い方がイマイチ
 いや、想定の範囲内でしょ、これはー。山村若せんせーの感性で、短いスカートで溌剌可愛らしく健康的な色気を持ったチェリーガールズがイキイキ踊る場面があったら、そっちのほうがビックリするわっ。ああいう「踊る女のコ☆」っていうモダンな感性、どう考えても若せんせいの感覚にないでしょー。若せんせいはもっと、日本人のノリに合う、醤油っぽい展開(を洋風くさくやる)が長所だもんね。
 何事も適性とゆーもんがありますからね。若せんせいにチェリーガールズは期待してません、わたしは。適性にあったことやるのが一番いいよ。
 しかし・・・してみると、春のおどりの一徳せんせいは、チェリーガールズうまく使ったよねえ。チェリーガールズを使いこなすのって、けっこう難しいよね。(特に宝塚の人にはね)

 想定の範囲外だったのは、思いのほか宝塚っぽい・・・と、わたしは思ったのだけど・・・どうでしょう??
 一徳せんせいのドリーム・ステップのほのかな宝塚の香り~は、全然気にならなかったんですよ。なぜなら想定の範囲内だから。宝塚の演出の現場で修行した人なんだから、そりゃー、多少香りはあるだろう、みたいな。若せんせいは、レビュー業界ではドコにも属さない人だから、もっと「こんなのは見たことがない」っていうのを期待していたんですけども、意外に「宝塚っぽい・・・」と、わたしは感じましたよ。

 特に思ったのが、ゴスペル??を歌いあげるところ。
 ああいう場面って、語弊のある言い方だけども、感動を強要する場面なんですよね。グワーッと歌い上げて、どうだあ!参ったかあ!という。いや、感動するんだけど、するんだけど・・・。ああやって意図的に観客から「感動」を引きだそうとするのが、なんだか宝塚っぽいと感じてしまった。

 宝塚って、感動しに行くところなんですよ。舞台も演者も観客も、「最後は感動する!」っていうお約束に向かって動いてますから、感動系の場面は、何はともあれクライマックスだし、宝塚の醍醐味なのよね。わたしも宝塚に行くと感動します。だってそういう娯楽だもん。

 「OSKには感動がないと言うのっ!?」
 って詰め寄られてしまいそうですが、いやいや待って待って・・・そういう話じゃなくって。OSKには「感動を強要する」っていうのが、どうも似合わない、いや、似合わないワケじゃないけど、結果的に感動することはあっても、必要以上に過剰に「感動を演出する」よりは、何でもなさそーな顔して、裏ではじつはスゴイんだ、っていうクールさに観客が勝手に感動するほうが似合う気がして。宝塚のほうが、そういう意味では裏表がないんだよね、芸風に。スゴイ技術はスゴそうにやるし、がんばってる時はがんばってる表情するし、ファンはそれに打たれて帰宅するんだもん。

 ゴスペルの「よし、ここでいっちょう感動してもらいましょ!盛り上げるぞう!!」という過剰さが、なんだかわたしのなかで引っかかったんですよ。いえ、イイ場面なんだけど。若せんせい、意外に宝塚的だなーと思う決定打になりました。
 マリリンとプレスリーの笑える場面(ここの桐生さんは名演だった。蒼音くんのマリリン、インパクトあって最高だった!蒼音くん、いいキャラだなあ・・・。大好きだよ。)も、とても面白いんだけど、OSK的・・・まあ、わたしの考える、ですよ??近鉄時代知りませんからね・・・OSK的な「笑いのつけかた」より、だいぶ強引さがあるよね。桐生さんが冬のソナタやったギャグとか、もっとさりげないじゃないですか。観客が「気づいて」勝手に笑うところですけど、桐生さんのプレスリーは、盆がまわって高いセリの上にマイクが一本。コテコテのプレスリーが出てきて・・・って、「ここは笑うところだ!!」ってハッキリ決められちゃってるんですよね。
 そう。感情の流れがね、ハッキリ舞台のうえで決められちゃってるんだよね~。それに沿って感情を流さないといけないのが、なんか宝塚っぽい。わたしのなかで、OSKはもっと自由に見ているイメージなんだけど。

 全体には、レビュー寄りの「ショー」って感じでしたね。バラエティショーだよね。技術的にはレビューだけど、構成は「ショー」じゃないですか??
 わたしはレビュー作りのノウハウなんか知らないから、感覚で言ってますけども。

 一徳せんせーのドリーム・ステップは、「レビューそのもののおもしろさ」(躍動感とかね)を見せる作品だから、スターのキャラが立たないんですよね。そこがね、一徳レビューの弱みだよね。(だから宝塚であまり人気がかんばしくないのだと思うんだけど)
 若先生のミレニアム・ドリームは、ちゃんとふつうにスターを中心に据えた作品でしたね。まあ、歌劇かいわいではコレが標準だよねえ。しみじみと一徳せんせいは個性派レビュー作家だよねー。

 まるで難癖つけてるようですが、若先生のショー、とっても面白かったです。後半の群舞、曲のアレンジ(「なんちゃってチック・コリア」みたいな箇所とか)も良かった。
 洋舞レビュー処女作でこれだけできたら充分すぎますよね。

 山村若先生!!ファンです!!
 これからもレビュー作家の道を邁進してくださーーーい(ハートマーク)

 *****余談*****

 今回、レビュー初体験のダンナ殿をつれていった。
 感想をたずねたところ、

・源氏物語なのに、なぜサラリーマンが踊るのだ?(真顔)
・真ん中の人(桜花さん)はポジションでわかるが、それ以外の顔の区別がつかない。
・最後が傘回しじゃないので「?」と思ったが、あれはアンコールでやるのか。
(↑わたしがDVD見せつつしつこく「桜咲く国」をアピールしたので、傘回しは知っている)

 というわけで、とりあえずスターの顔の区別がついていないぃぃ(泣)
 男役、女役の区別も、「ん?ズボンはいてるほうが男役だろ」って、ええっ、衣装でしかわかんないの!?最初ってそんなんだっけ!?