沖縄島うるま市石川に東山ゴルフ場があった。約20haの面積だといわれている。住宅街から沖縄高速を挟んだ北隣だ。東西に約370m、南北に約750mの範囲であり、標高は50m-100m(単純計算だと27haになってしまうが、でこぼこあり)。ここに防衛省は訓練場を造るという。那覇基地から部隊が来るとしたら、沖縄高速を石川インターでおり、そこから1km余りの距離だ(防衛省は2月11日に行なった住民説明会で、出入りの基本ルートすら答えていない)。
防衛省は当初、ここで夜間訓練や空砲を使い、ヘリも飛ばすと言っていた。2024年2月11日の説明会では、話しを一転させた。空砲も照明弾も、使わない、ヘリは緊急時だけだと、譲歩した形だ。しかし私が既に紹介したように、ここは石川火力発電所から高圧線が4方に張り巡らされており、そのど真ん中にヘリをとばすなど、もってのほかだ。脇に住宅街があるのだ。もっとも米軍基地の脇の住宅街は、ここ沖縄島では珍しくも何でもないが…(それじたいがおかしい!)。
防衛省は、譲歩したかに見せかけて、ここに執着している。何故だろう。繰り返すが、那覇基地だけで十分なはずだし、これまでもキャンプ・ハンセンや北部訓練場を共同使用しているじゃないか。米軍はグアム移転で、米軍海兵隊は沖縄島から半減していく。自衛隊にとっては好都合でしょう。ケチなところに拘るな!
というのは、素人考えなのだろう。この場所を使いたいこの国(軍)の思惑は?
①ここからキャンプ・ハンセンまで近い。高速で約8km(石川インターから金武インター)であり、約10分で至る。金武インターからハンセン演習場にダイレクトに入れる。またキャンプ・ハンセンまで直線距離で約3kmだ。ハンセンまでの夜間行軍訓練も山間をぬってできるだろう。弾は入っていないにしても武装した兵隊が部隊でそこらを歩くことは必至である。また、ハンセンで実弾射撃演習を行なった部隊が移動してこよう。自衛隊は弾の管理を徹底していると言っているが、忘れたり、落としたりの事案が後を絶たない。2023年6月14日に岐阜の演習場で、同僚自衛隊員への銃撃殺傷事件さえ起こしているではないか。
➁何よりも私が危惧しているのは以下のことだ。第15旅団に、第15高射特科連隊があり、4つの中隊がある。ここから西南西約5.5kmに第3中隊白川分屯地の高射教育訓練場がある(ビオスの丘の西側1km足らずの位置)。また南東に約16km先に同第2中隊の勝連分屯地がある。第3中隊の教育訓練場の高さは標高約200m、第2中隊の高さは約120mであり、ここ東山に通信(アンテナ)車両を置けば、第2中隊、第3中隊の対空ミサイル部隊の演習は強化され、実戦的になるだろう。また両中隊の連携も強化されるだろう。対空ミサイル部隊は車両での移動が基本であり、1点に留まることはないが、平時の演習には、大型車両が安定して停車できる設備を設置すれば、好都合ではないか。
なお、第1中隊は南城市にある知念高射教育訓練場であり、第4中隊は糸満市と八重瀬町の境にある南与座高射教育訓練場だ。なお、特科連隊本部は八重瀬町にある八重洲分屯地だ。4つの中隊の一連の動きもより一層リンクされて行くに違いないし、石垣島、宮古島、奄美大島の対空ミサイル部隊とも同一の指揮下に入っていくはずだ。
陸自の対空ミサイル部隊は、これまで日米両軍の基地の防衛に当たってきたが、勝連分屯地に対艦ミサイル部隊がいよいよ機能し始めようとしている(来る3月に、新たな対艦ミサイルが搬入されると本日報道されている)。こちらは迎撃にあらず、攻撃ミサイルだ。攻撃能力を強化すれば、当然防衛能力を強化することになる。琉球諸島、沖縄島全体を火の海にしていきかねないことが、現在進行形なのだ。
事は石川という地域の問題に留まらない。多くの皆さんが、そこまで目を見開いて欲しいと私は切望している。