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残業代単価の減額

2012年12月25日 | 法律
おはようございます、社会保険労務士の山田透です。
割増賃金(以下「残業代または残業」という。)の計算方法は、労働基準法で定められています。月給制の従業員の場合は、残業代の単価の基本は次のようになっています。

【単価となる賃金】
1時間あたりの賃金は、「月額賃金÷年間平均の1か月あたりの所定労働時間数」が残業1時間あたりの単価となります。例えば、月給が17万円で、年間平均の1か月所定労働時間数が170時間の場合は、「17万円÷170時間=1,000円」になります。

残業代単価を減額するためには、【単価となる賃金】の、月額賃金所定労働時間数で割って計算されるのが1時間あたりの賃金額ですので、分子にあたる月額賃金を少なくするか、分母である所定労働時間数を多くすれば、単価は小さくなります。

【月額賃金を減額する方法】…手当の内容を見直す
労働基準法施行規則第21条により残業代の単価から除くことが出来る手当は次のように決められています。ただし、手当は名称に関わらず、実態によって判断されますので注意が必要です。例えば、家族の人数に関係なく、従業員に家族手当を支給している場合、住宅手当や通勤手当などを実費額によらず、一律の金額を支払っている場合には、単価計算から除外することは出来ません。
●除外できる手当
・家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金(結婚祝金等)・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

従って、基本給の一部を家族手当に振り替えるなど、除外できる手当の比率を大きくすれば、単価は小さくなります。

【所定労働時間数を多くする方法】
年間平均の1か月あたりの所定労働時間数は、「1年間の所定労働日数×1日の所定労働時間÷12か月」で計算します。
1年間の所定労働日数は、所定休日の日数の合計を1年(365日または366日)から引けばでます。所定休日とは、就業規則で休日(土曜、日曜だけでなく、祝日や年末年始、お盆、などの休日のことです。)としている日にちのことです。
ただし、平均所定労働時間は、これ以上の労働時間は労働基準法に触れるという上限があり、次のようなっています。
「40時間×365日÷7日÷12か月=約173.8時間」
1週44時間の労働が認められる特例事業場は除きます。
現在の1か月平均所定労働時間が173.8時間に満たないのであれば、労働時間を増加させることで、単価を低減させることが可能です。

所定の労働時間を増やしつつ、実働時間は増やさない様にするためには、休日(ゴールデンウィーク・年末年始・お盆)を減らし、その休日を年次有給休暇の計画的付与の対象日とする方法や、1年単位の変形労働時間制を導入するなどが考えられます。

ただし、現状より賃金額を少なくすることや労働時間を多くするという方法は、従業員にとって労働条件の不利益な変更となりますので、同意を得ず一方的に行なうことはできません。その場合は、変更自体が無効と主張されたり、計算される残業代の差額請求といった労使トラブルに発展する恐れがありますので、ご注意ください。

著作権:山田 透


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