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新潟市にある山田コンサルティング事務所

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損益分岐点売上高を考える(2)

2012年12月03日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

今年の2月13日に損益分岐点売上高を考えるという記事をアップし、損益分岐点売上高の算出方法を説明しました。

起業セミナーなどで、ビジネスプランをつくりましょう!というと、とくに数字の部分で悩む方が大勢いらっしゃいます。「どれくらい売れるかなんて、わからないです。」というのがその理由。

ちょっと待って!
どれくらい売れるかではなくて、どれくらい売らなければ商売を続けることができないかです。ビジネスのルールは、とってもシンプル。売上-費用(仕入+経費)=利益という式があり、ゼロやマイナスが続けば退場しなければならないというものです。

ですから、まずは損益分岐点売上高を算出し、最低限、それだけは売らなければならないのだと考えましょう。ただし、前回の記事で説明したように、損益分岐点売上高は「利益がゼロになる売上高」ですので、実際にはこの売上高では足りません。そこで、目標利益を加えた必要売上高を算出します。

■必要売上高 =(販売費および一般管理費 +目標利益)÷(1-変動費率)

前回と同じ条件で、(月額)家賃20万円、人件費60万円、その他経費50万円とし、これに目標利益20万円を加え、原価率を35%(飲食店の例)とした場合、必要売上高は約230万円になります。

商売を続けるには毎月230万円売り上げなければならないという数字が出ました。さあ、どうですか? 売れそうですか? この数字からいろいろ考えてみましょう。

◆1日いくら売ればいいか?
月230万円ということは、週1日定休日があるとして営業日数を26日とすれば、230万円÷26日≒8.8万円。つまり、1日あたり8.8万円売らなければなりません。

◆1日何人のお客さんが来てくれればいいか?
昼はランチ:客単価850円×22人、夜は居酒屋:客単価3,500円×20人で、合計88,700円になります。

◆さらにいろいろ考えましょう!
お店の広さと営業時間から考えて対応可能ですか? 冷蔵庫のキャパシティ、人員配置などはどうでしょう? 駐車場は足りますか?
また、これは平均ですので、混むときと暇なとき。曜日によって、給料日前か後か、忘新年会や暑気払いなどの書き入れ時はどうなるか。
そして、そもそもこれだけのお客さんに来ていただけるだけの目途(自信、計画、作戦)は?

数字が肌身に染みるまで、いろいろ考えてみてください。

著作権:山田まり子

決算書の数字から見えるもの

2012年11月05日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

あるブティックの経営診断をしたときの話です。決算書の数字から何か見えないかということで、売上を月別に折れ線グラフで表示しました。そして、同じように広告宣伝費も月別に折れ線グラフにし、重ねました。

婦人服を売っているお店です。こういうお店は売上の山と谷がハッキリしていて、四季に合わせて商品が売れます。

グラフをじーっと眺めていると、あることに気づきました。売上の山のあとに、少し遅れて広告宣伝費の山ができているのです。「これは?」と思い確認すると、季節ごとに商品は売れるけれど、必ず売れ残りが出るので、それを売り切るために広告を打っているとのこと。

う~ん。わかるんだけど…。

でもね。それって、つまりは、売れ残って安く売る商品のために広告費を投じているということですよね。

同じ広告費を投入するなら、売上の山ができる前のタイミングに広告を出して、正規の値段で少しでも多く買ってもらうことを考えたほうがいいのではないでしょうか。

お店の方は、いつもそうしているから気がつかなかったようですが、数字から見えたこんなことをお伝えすると、とても納得されて、どのようなタイミングで、どのような広告を打ったらいいかを考え始めてくださいます。

毎年、確定申告のために決算書をつくっていることと思いますが、税金を納めるためだけに、あんなに面倒くさい作業をするのって、もったいないと思いませんか?

数字はいろいろなことを教えてくれます。
苦手意識を捨てて、数字を見てみませんか?

著作権:山田まり子

季節指数(5)

2012年10月09日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

前回に引き続き、季節指数です。今回は、売上が悪いとわかっているなら、いっそのこと「何もしない」という手もあるぞ!というお話です。

業種特有の繁閑には理由があります。
もっとも極端なケースは、焼き芋屋さんは夏に商売をしません(最近は通年で焼き芋を売っているスーパーもありますが)。浜茶屋(海の家)は、夏しか商売になりません。

また、一般消費者を相手にする「お店屋さん」という商売は、たいがい毎月25日(給料日)の直前1週間は売上が良くないことが多いです。

そして、1週間のなかでみれば、繁華街に立地しており土日が忙しいお店と、オフィス街に立地しており平日が忙しいお店があります。

さらに、1日のなかでみれば、飲食店は午後2時~5時は売上が良くないですね。その間、閉めてしまうお店も少なくありません。逆に、スーパーマーケットはお昼時は暇です。さすがにお店を閉めてしまうことはありませんが、従業員さんは品出しに精を出しています。

以前、このブログに「ピークタイムとアイドルタイム」というタイトルで記事を書いたことがありますが、アイドルタイム、つまり、売れない時間帯(時期)に売上をつくるのはとても大変です。それよりも売れる時間帯(時期)の売上を上げるほうが、ずっといい。

前回の文末でご紹介した、売上の悪い9月は「何もしない」ことに決定したお店ですが、ここの店主さんとは3~4年前から「売上の山(ピーク)をつくりましょう。」と、さまざまな販促活動を展開してきました。そして、それが実りつつあったのです。

ですから、売上の悪い9月は、取れる売上を取りこぼさないよう気をつけることはしますが、販売促進策を実施するのはやめて、じーっくりと今後1年間の計画を立てることにしたのです。つまり、「考える時間」です。それに、いろいろなところに出かけて、世間でどんなことが流行っているのかを見るのも大事です。

著作権:山田まり子

季節指数(4)

2012年09月24日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

前回に引き続き、季節指数です。

悪いと思っていた2月よりも、さらに売上が悪いのが9月とわかり、どうにかせねば!の店主さん。2月と同じようにイベントを開催するか、それとも売上を上げるための方策を実施するか、悩みどころです。

もちろんイベントでも売上は上がりますが、1ヵ月の合計でみた場合たいした金額にはなりませんし、手間ひまを考えれば利益は出ていないも同然です。それでもイベントを開くのは、ヒマだからといって店舗や人員を遊ばせているよりは、日頃ご利用いただいているお客さまに対して「ありがとうございます」と「忘れないでね」「また来てね」を表現するほうがずっといいということ。そして、それは忙しいときにはできないからです。

さて、もう一度、季節指数の一覧表を眺めてみます。良い月があり、悪い月がある。12月は1年間で1番売上の良い月であることが多いです。このお店もそうでした。忘年会やクリスマスといった行事の多い月であること、ボーナス月であること、そして、和食系のお店だと「おせち料理」の販売が売上を押し上げていることも多いです。また、自家製の魚の味噌漬けがあるお店ではお歳暮が売上に寄与します。

「行事」とか「贈答」というのは、売上をつくるうえで重要になってきます。これを9月で考えてみましょう。9月で「おせち」っぽいことは、できないでしょうか? 1つには敬老の日がありますね。ただ、残暑が厳しい場合は食中毒の心配があります。ですからご来店いただくためのキャンペーンを考えたほうがいいかもしれません。また、最近では「お月見」を打ち出して9月下旬にお弁当を売り出すお店もありますね。9月も下旬になれば食中毒の心配も減りますから。他にも、考えればいろいろできそうです。

イベント開催と売上増加策。どちらを選ぶかは店主さんの考え方次第です。そして、実はもう1つ選択肢があります。別のお店で、ここ3~4年ほど売上向上や販売促進を一緒に考えているお店があるのですが、このお店も、やはり、9月の売上が悪い。それで、どうするかを店主さんと相談した結果、「何もしない」ことに決定しました。

えっ! そんなのアリ? 今までさんざん売上をつくれといっておいて、それはないでしょう。…と思ったみなさん、ごめんなさい。<(_ _)>

もちろん、「何もしない」といっても、本当に何もしないわけではありません。では、何をするのでしょうか。続きは次回へ。

著作権:山田まり子

季節指数(3)

2012年09月10日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

前回、これからは「売上はつくるもの」と意識を変える必要があるとお話ししました。では、どのようにして売上をつくっていけばいいでしょうか。今回はその考え方をお話ししたいと思います。

1回目でお話しした季節指数ですが、算出できましたでしょうか。算出した季節指数を眺めてみて、気づいたことはありませんか?
当然のことながら、0.86とか0.91など、指数が1を切っている月と、逆に1を上回っている月があると思います。1番低い月は何月ですか?そして、1番高い月は?

飲食店の場合、一般的に2月と9月が悪いといわれています。昔はニッパチといって2月と8月だったのですが、夏休みに人が動くようになり変わってきたようです。良いようでいてそれほどでもないのが5月です。季節もよく、ゴールデンウィークもあるので忙しい気分があり、売上も上がっているように思いがちですが、1ヵ月の合計でみると思ったほど売り上げていません。

ある飲食店で季節指数を算出し、さあ、これからどうしましょう?という相談をしました。この飲食店は広いお座敷のあるお料理屋さんです。今まで春には花見のイベントを行っていましたが、昨年は東日本大震災の影響で中止しました。そこで、例年より早めになるけれど、2月に「タラをたらふく食べる会」というイベントをすることに。知り合いを通じて落語家を招くこととし、落語を楽しんだあとにタラ鍋を味わっていただくというものです。

このイベント自体は季節指数を算出する前から計画されていたものですが、季節指数を算出してみて気がついたことなどを店主さんと話し合いました。店主さんいわく、今までは、桜の木があるので桜の季節に花見のイベントをしていたけれど、季節指数でいえば4月は売上が悪いわけではないですね。まあ、せっかく桜の木があるわけだし、恒例行事として続けるとして、それとは別に、2月はやはりイベントが必要ですね。

また、イベントなので、日頃のご愛顧に感謝しての価格設定(かなりリーズナブル)だったので、この点を質問すると、この時期、タラは旬の終わりで、仕入価格が相当下がっているから、大丈夫!ということでした。それに、鍋なら材料さえ用意しておけば、あとは客さま自身がしてくださるので、提供(接客)サービスの手間がグッと減りますね。

そして、1月から12月の季節指数を眺め、確かに2月は悪いけれど(それを肌で感じていたこともあって、イベントを計画したそうです)、もっと悪いのが9月だとわかり、ショックを受けているご様子。これは9月も何とかしないといけませんね。

・・・ということで、ちょっと長くなりそうです。続きは次回に。

著作権:山田まり子

季節指数(2)

2012年08月13日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

前回は季節指数の出し方を説明しました。今回は、これを使ってどんなことができるかを考えます。

●季節指数の活用例
まずは目標売上高の算出に使ってみませんか。
よく「事業計画を立てましょう!」と言われますが、具体的に目標売上高を設定しているお店はあまり多くないというのが私の実感です。お店の方に聞いてみると、「計画とか目標とか、ちゃんと立てたほうがいいのだろうが、やり方がよくわからない。」とおっしゃいます。そんなとき私は、季節指数を使って目標売上高を算出することをお勧めしています。

年間の目標売上高が決まっていれば、それを月別に落とし込むときに季節指数を活用します。年間目標売上高を12で割って1ヵ月あたりの平均目標売上高を算出します。そして、この数字に季節指数を掛ける。たったそれだけです。

えっ? でも、年間の目標売上高って? と思われましたか。では、年間の目標売上高を考えましょう。

個人事業主でも法人でも、毎年、確定申告(税務申告)をしているはずですから、過去の実績(年間売上高)はわかりますね? まずは、この数値を過去10年分くらい書き出します。業歴が10年なければ開業からの分で結構です。これを眺めてみて、さて、来年はいくらくらい売り上げたいですか? または、売り上げられそうですか? あるいは、売り上げなければマズイですか?

営業利益が黒字になって、借入金(&利息)が返せて、納税できて、お店の設備の修理や什器の買い換えのお金を確保できる。そのためには、いくら売り上げる必要がありますか?

成り行き経営では1年が終わったときに「今年は○○○円の売上だった。去年より上がった・下がった。」で、おしまいです。これでは手の打ちようがありません。まずは年間に売り上げる必要のある金額を算出し、それを季節指数で各月に落とし込む。そして、その売上を「つくり上げる」必要があります。私はそれを「つくる売上」と呼んでいます。

成り行き経営の売上は「売れた売上」であり、経済が右肩上がりの成長を続けていたときには、それでもよかったかも知れませんが、今は「売上はつくるもの」と意識を変えなければ生き残っていけません。次回は、売上のつくり方を考えます。これにも季節指数が役に立ちます。

著作権:山田まり子

季節指数(1)

2012年07月30日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

私の得意分野である飲食・サービス・小売業は、月によって売上がかなり変動します。この変動を指数化したものを『季節指数』といいますが、あなたは自分のお店の季節指数を知っていますか?

日々、ご商売をしていらっしゃる店主のみなさんは、「○月は売上が悪い。」とか、「△月は売上がいいからアルバイトを増やさなきゃ。」など、経験的にはわかっていらっしゃると思います。そこで、これを一歩進めて、数値で把握してみましょう。いろいろなことが見えてきますよ!

●季節指数の出し方
季節指数の出し方は何種類かありますが、私がいつもコンサルティングで使っているのは以下のようなものです。

1.各月ごとに、売上実績を3年分合計します。
2.これを3で割り、月別の平均売上高を算出します。
3.各月の平均売上高を合計し、12で割って1ヵ月あたりの平均売上高を算出します。
4.2で算出した月別の平均売上高を、3で算出した1ヵ月あたりの平均売上高で割ります。

算出できましたか?
1.2とか、0.8とかの数値になると思います。これがその月ごとの季節指数です。すべて(12ヵ月分)を足すと12になるはずです。100を掛ければパーセント表示になり、合計は1200%になります。

いかがですか?
売上高の多い・少ないは、自分が思っていたとおりでしたでしょうか。「○月は悪いとは思っていたけど、ここまで落ち込んでいるとは思わなかった。」とか、「△月は忙しいからアルバイトを増やしていたけど、売上の伸びからすると人件費を使いすぎていたみたいだ。」といったようなことは、ありませんか。

数値と自分の感覚とを照らし合わせてみてください。何か気がつくことがあるはずです。次回は、気がついたことからの具体的な活用例をご紹介したいと思います。

著作権:山田まり子

損益分岐点売上高を考える

2012年02月13日 | 経営の数字
おはようございます! (^O^)/
中小企業診断士の山田まり子です。

「損益分岐点」という言葉は聞いたことがあると思います。でも、それが意味することや、自社(自店)の場合どうなるか。また、どのように考えて使えばいいかなどは、案外、見過ごされているように思います。そこで、きょうは損益分岐点売上高について考えてみましょう。

損益分岐点売上高は、「利益がゼロになる売上高」をいいます。
計算式は
■損益分岐点売上高 = 固定費 ÷(1-変動費率)

売上高、費用、利益の関係を計算式で表すと「売上高=費用+利益」になることはOKですよね? そして、利益がゼロになる売上高イコール損益分岐点売上高ということは「損益分岐点売上高=費用」ということになります。

さて、この費用ですが、変動費と固定費に分けることができます。つまり、「損益分岐点売上高=変動費+固定費」です。変動費は売上高の増減に応じて増減する費用であり、逆に、固定費は売上高の増減とは関係なく固定的に発生する費用のこと。

飲食店を例にとると、原材料費(売上原価)が変動費にあたります。よく「原価率は○%」などと言われますが、売上高100%に対して材料費が何%になるかということです。

一方、固定費にあたるのが、家賃や人件費、水道光熱費などの、いわゆる「販売費および一般管理費」です。人件費や水道光熱費は売上高の増減で変わるのでは?と思った方もいらっしゃるでしょうが、それは微々たるものなので無視します。

これを前述の計算式にあてはめると
◆損益分岐点売上高 = 販売費および一般管理費 ÷(1-原価率)

仮に月額で、家賃20万円、人件費60万円、その他経費50万円とし、原価率を35%とした場合、損益分岐点売上高(月額)は200万円になります。

損益分岐点売上高の計算方法はおわかりいただけましたでしょうか。次回以降、この計算式の意味するところや、具体的にどのように活用するといいのかを考えていきたいと思います。

著作権:山田まり子

損益分岐点売上高を考える(2)