武弘・Takehiroの部屋

“裏金議員”は全員 落選しろ! 当選させるな!
旧統一教会に関係した議員も全員 落選しろ!

青春流転(9)

2024年08月14日 03時46分19秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
そんなある日、行雄の一年先輩で、大学の国文科に籍を置く笹塚健一が「君とぜひ話しをしたい」と誘ってきた。 笹塚も全学連の運動に参加していたから、行雄は高等学院の頃から彼とは顔見知りだった。  笹塚はこれまで二、三度、話しをしたいと誘ってきたことがあるが、行雄は気乗りがせず、多忙を理由にして断ってきた。彼との話し合いが嫌だったのである。 本当の理由は、笹塚の評判がマル学同の中で芳しいものでなかったか . . . 本文を読む
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青春流転(8)

2024年08月14日 03時45分32秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
8)安保闘争  一九六〇年の元旦を迎えた時、行雄は、この年が自分にとって計り知れないほど、意義深い年になるだろうと予感した。 満十八歳になっていた彼は、大いなる希望と期待感に満ちあふれていた。  日米安保条約改定については、これを粉砕できるかどうか自信はなかった。 しかし、今後盛り上がっていくであろう安保闘争を通じて、全学連をはじめ自分達の進めている運動が、必ず大きく広がっていくという自信はあ . . . 本文を読む
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青春流転(7)

2024年08月14日 03時44分51秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
7)全学連  十一月に入ると、行雄の決意と行動はますます明確なものになっていった。 その月の中旬には、高等学院三年生の修学旅行が予定されていたが、彼はこれをまったく意味のないものと考え、旅行を拒否することにした。  大川にも自分の考えを明かすと、彼も行雄に同調して修学旅行をボイコットすることになった。二人で旅行ボイコットの文書を作成すると、行雄がそれを持って担任の船山教師に提出した。 船山教師 . . . 本文を読む
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青春流転(6)

2024年08月14日 03時43分54秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
6)初めてのデモ 翌日以降も連日、行雄は大川から教えられたマルクス主義の文献を読んでいった。 彼はみるみるうちに、自分が確固としたマルキストになっていくのを自覚した。 そして、十月三十日の全学連統一行動が近づくにつれて、行雄はみずからアジビラやポスターを書くことを思いつき、わら半紙やノート用紙に全学連のデモに結集するよう、激しい調子の文章を書き込んでいった。  行雄はまるで不滅の信仰に目覚めた . . . 本文を読む
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青春流転(5)

2024年08月14日 03時42分58秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
5)マルクス主義  敦子がアメリカへ行ってから、行雄は虚脱したような毎日を送っていた。 夏休みも終りに近づき、行雄は不承不承、学校の宿題を片づけるようになったが、その合間をみて向井の家に遊びに行ったり、自転車に乗って荒川べりにくつろぎに出かけたりした。  土手の草むらに寝転がって青空に浮かぶ雲を見ていると、その中から敦子の白い顔が幻となって現われてくる。 彼女は今頃、もうシカゴに着いているかも . . . 本文を読む
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青春流転(4)

2024年08月14日 03時42分10秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
4)愛、そして別れ  敦子がアメリカへ出発する日も、あと数日に迫ってきた。 行雄が書いた詩は敦子を非常に感動させ、彼女はそれを大切にとっておくと言った。彼の熱烈で、ひたむきな思慕の情が敦子の心を打ったのだ。 彼女はお返しに、この前見せてくれた自分の新しい写真を十数枚も行雄にくれた。彼は敦子の写真を無性に欲しがっていたので、大喜びでそれらを受け取った。  敦子の写真は以前、長瀞で撮ったものなど十 . . . 本文を読む
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青春流転(3)

2024年08月14日 03時40分49秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
3)「若草物語」  翌朝、行雄は遅い食事をすませると、すぐ敦子に電話をかけた。 「行雄ちゃん、昨日はどうしてあんなに不機嫌だったのですか? 私と一緒にいるのが嫌でしたら、正直にそう言って下さい。 私は貴方と一緒にいることが嬉しいんです。でも貴方が嫌でしたら、考え直さなくてはなりません」 敦子が不満をぶつけてきたが、それを聞いて逆に行雄は胸をなで下ろした。 「敦子ちゃん、ごめん。 昨日は本当に僕 . . . 本文を読む
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青春流転(2)

2024年08月14日 03時39分40秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
2)長瀞  その日から行雄は、敦子の幻を朝から晩まで追い求める陶酔の日々を送るようになった。 おかしなもので、敦子への愛に焦がれる自分を知ってから、行雄は気楽に森戸の家へ行く気持になれなくなった。 今度彼女に会ったら何を話し何をしようかと、いろいろ思いあぐねるようになってしまった。  敦子が横浜港から船でアメリカへ出発するのは、三週間ほど後の八月中旬である。 それまでに自分の思いを告白して、一 . . . 本文を読む
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青春流転(1)

2024年08月14日 03時37分30秒 | 小説・『青春流転』と『青春の苦しみ』
〈前書き〉・・・この小説の時代背景は、1959年(昭和34年)から1964年(昭和39年)となっている。 当時、高校から大学にかけての私自身をモデルにした、自伝的小説である。小説である限り、勿論これはフィクションである。 第一部では恋と革命、第二部『青春の苦しみ』では欲情(リビドー)と煩悩がモチーフとなる。  第一部 1)恋の芽生え  敦子の白い二の腕が、月の光でおぼろに浮かび上が . . . 本文を読む
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『私は貝になりたい』

2024年08月14日 03時34分57秒 | 映画・芸能・音楽
〈以下の記事を復刻します。〉 CSテレビで映画『私は貝になりたい』(2008年)を見たが、実に良かった。主演の中居正広、仲間由紀恵も素晴らしかった。この物語はあまりにも有名だが、何度見ても涙がこぼれてくる。昔、フランキー堺主演のテレビドラマが最初だったが、ドラマ史上で画期的なものだった。あれからテレビそのものが認知されたのではないか。  「生まれ変わるなら人間にはなりたくない。牛や馬にもなりた . . . 本文を読む
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