何度も言うけれど、
触れあうことはとても大切だ。
たとえば明け方の夢を思い出せばいい。
皮膚感覚がともなう夢は、
それが夢であったなどとはとても思えないほどだろう。
そのとき人は「もう一つの現実」さえ生きている。
夢と現実を脳は必死でたて別けようと努力するが、
それでも目覚めた後に残るもの。
それが生々しい皮膚感覚だ。
夢は「見る」ものだが、
「聞く」ものでも、「嗅ぐ」ものでも、「味わう」ものでも、
「触れる」ものでもある。
そして、この「触れる」という感覚が、
もっとも夢を生々しくさせる要因だ。
今日のコミュニケーションは実に多様化している。
だがメールよりも電話が、
電話よりもさらに実際に会うことがもっと大切だ。
かりに将来、
バーチャルに立体視し、聞き、嗅ぎ、味わうとこが可能になっても、
触れる感覚さえ擬似体験できるようになっても、
それはすべて「電子」という単一の媒介を通じて行われるものであり、
当然のこととして時間差が生まれ、
「擬似」以上のものを求めることはできない。
まず会うことだ。
まず触れあうことだ。
それこそが生命体同士にとって最重要の交流だ。
それがゆいいつ、
人類を人類として、人間を人間として保つ、
根本的な要素なのだ。
そうぼくは確信する。