「われら新鮮な旅人」といったのは、
長田弘だった。
その最初の詩集で。
ぼくは今、ようやく
その意味を感じることができる。
ああ、そうだ。
ぼくは新鮮な旅人だ。
今も、このときも。
この悲しみや苦しみに、
まっすぐに向きあい、
投げ出すことをせず、
そうしてこの峰を越えていく。
なんて新鮮な世界が、
そこにあることか。
今ぼくは、
新鮮な旅人そのものだ。
風景は新しく変転し、
風は心地よく吹き、
行く手には光が見える。
ぼくは一人だが、
いつか「ぼくら」といおう。
そのような人に出あうだろう。
世界は美しい。
とりわけこの5月の日々は。