君の足は、なぜついているのか。
前に進むためだ。
君の手は、なぜついているのか。
何かをつかみ取るためだ。
君の目は、なぜ顔面にあるのか。
前を見つめるためだ。
君よ。
後退とは、きわめて意思的な行為だ。
ライオンは、獲物を見定めるために、ほんのわずか後退する。
それは、いまいちど状況をしっかり確かめて、
間違えなく捕まえるためだ。
かりに退却があったとしても、
それは、困難にぶち当たったとき、
一時的に逃れ、体力を蓄えるためにすぎない。
そうして、ぼくらは獲物をつかみ取る。
そのために手がある。
目もまたしかり。
獲物を捉え、見定めるためだ。
さて、獲物とは、人間においては
未来のことだ。
幸福のことだ。
人間とは、本質的に、本能的に、未来に向かう存在だ。
君の体が、それを見事に証明している。
未来は、幸福は、
必ず存在する。
でなければ、君は、手足や目を持っているはずがない。
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