雨もまた悪くない。
小雨の中で、しっとりと包まれながら、
ぼくは思う。
君はいないけど。
空を見上げる君。
まぶしくもないのに、手をかざしながら。
怒ってもいないのに、しかめっ面をして。
でもすぐに、まっいいか、なんて笑ってる。
水たまりの波紋を見て、眼を丸くしている。
いやがるぼくの手を引っぱって、雨に中に飛び出そうとする。
そんな君を思いながら、
懐かしさで胸は震えるけれど、
君の体温を、こんなにも感じているから。
雨もまた悪くはない。
君の体温はぼくに移り、
ぼくはまた誰かの心を温かくする。
ちっちゃな君。
どんなに会いたくても会えない君。
こんな日は心も濡れるけれど。
君は笑っているかい?
うん。きっと笑っているよね。
雨の神戸。
ぼくは、ひとり、手をかざして見上げてる。
さあ。今日も働こう。