KOBE Diary

神戸から、愛する人たちへ。

人生の深遠

2008-06-28 | Weblog

このように人生が流転するなどと、誰が予想できただろう。

母子家庭の貧乏な生活を送りながらも、

勉強が嫌いで、教師には反発してばかりで、

おまけに高校も中退し、

名もないブルーカラーとして社会に出た一人の痩せた男が、

やがてものを書くようになり、世界を知り、

ときに贅を尽くし、ときに欲望に囚われながら、

本を出し、多くの知己を得、

邸を持ち、邸を潰し、

借財に追われるようにして、

裏切られ、精神を病み、

それらを決死で乗り越えて、希望をつかみ取り、

今再びこの神戸に一人生きる。

ああ、人生は、だが、

まだはじまったばかりだという気がしてならない。


そうだとも。

ぼくには、まだまだ成さねばならないことが山のようにある。

ぼくには、まだまだ切り拓くべき地平が待ち構えている。

ぼくには、ぼくの人生は大勝利したと示さなければならない義務がある。

ぼくには、愛する人を幸福にする義務がある。

ぼくには、世界を知りたいという欲求がある。

ぼくには、人類千年先の行末を見つめたいという欲求がある。

ぼくには…、

まだまだ語り足りない思いがあふれるほどにある。

我が道は、洋々と開けている。


人生は深遠だ。

その思いはますます深くなる。

生命の究極にたどり着くまで、

それは夢かもしれないが、

ぼくは生きて生きなければならないと、

ぼく自身が叫んでいる。