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【労働】池上通信機事件 最三小判昭和63年7月19日

2012年03月25日 | 労働百選

事例演習労働法Unit21関連判例
池上通信機事件 最三小判昭和63年7月19日

http://www.ikegami.co.jp/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E4%B8%8A%E9%80%9A%E4%BF%A1%E6%A9%9F
池上通信機(いけがみつうしんき、Ikegami Tsushinki Co., Ltd. )は、日本の業務用放送機器・通信機器メーカー。東証1部上場。本社は東京都大田区で、1946年(昭和21年)に斎藤公正が創立。

池上通信機株式会社
Ikegami Tsushinki Co., Ltd. 種類 株式会社

 

市場情報 東証1部 6771
 略称 池上、Ikegami
本社所在地 東京都大田区池上五丁目6番16号
創立 昭和23年2月21日個人創業:昭和21年9月10日
業種 電気機器
事業内容 通信機器事
代表者 松原正樹
従業員数 888名(連結957名)*平成23年3月末
資本金 10,022百万円*平成22年3月末
売上高 23,318百万円(連結 24,380百万円)*平成23年3月期
決算期 毎年3月末
主要製品 放送用カメラシステム、放送用モニタ、映像制作・送出システム、映像伝送システム、中継車システム、セキュリティカメラシステム、医用カメラシステム、各種外観検査装置等
取引銀行 三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・横浜銀行
主要株主 東芝 20.0%

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62348&hanreiKbn=02
事件番号 昭和60(行ツ)1
事件名 不当労働行為救済命令取消請求事件
裁判年月日 昭和63年07月19日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 集民 第154号373頁
原審裁判所名 東京高等裁判所
原審事件番号 昭和58(行コ)86
原審裁判年月日 昭和59年08月30日
判示事項 
使用者が労働組合からの従業員食堂の使用申入れを許諾しなかつたこと等が不当労働行為に該当しないとされた事例
裁判要旨 
労働組合が、組合活動のため使用者の施設を自由に使用することができるとの見解のもとに、従業員食堂の使用につき使用者と真摯な協議を尽くさず、使用者の許諾を得ないまま実力を行使してこれを使用し続けてきた場合において、使用者が、労働組合からの従業員食堂の使用申入れを許諾しなかつたこと、また、許諾のないまま従業員食堂において開かれた組合員集会等の中止を命令し、組合幹部に対し警告書を交付したことは不当労働行為に該当しない。

(補足意見がある。)
参照法条 労働組合法7条1号,労働組合法7条3号
全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130525782392.pdf

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人榎本勝則及び上告補助参加人代理人小池貞夫、同安養寺龍彦の各上告
理由について
 所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係及びその説示に照ら
し、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はなく、また、所論引用
の判例は、事案を異にし、本件に適切でない。右違法があることを前提とする所論
違憲の主張は、失当である。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の
認定を非難するか、又は独自の見解に基づき若しくは原審の認定にそわない事実を
前提として原判決を論難するものであつて、採用することができない。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官
伊藤正己の補足意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

 裁判官伊藤正己の補足意見は、次のとおりである。
 私は、法廷意見と本件の結論を同じくするものであるが、被上告人のした本件食
堂の利用の拒否、警告書の交付等が不当労働行為に該当するかどうかに関しては、
労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物的施設を利用して行う組合活
動の正当性の有無が問題となるので、この点についての私の見解を明らかにしたう
え、本件について検討を加えることとしたい。
 さきに、最高裁昭和四九年(オ)第一一八八号同五四年一〇月三〇日第三小法廷
判決・民集三三巻六号六四七頁は、労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理
する物的施設を利用して行う組合活動が正当なものとされるためには、使用者の許
諾を得ること、又は使用者がこれらの者に対し当該施設の利用を許さないことが権
- 1 -
利の濫用と認められるような特段の事情があることが必要である旨を明らかにした
が、法廷意見も右の説示を正当としているものと思われる。
 私も右の判例が一般論として説示するところは賛同できないものではない。けだ
し、使用者が当該施設の利用を許諾するのは、通常、労働組合が使用者と団体交渉
等なんらかの交渉をした結果であろうし、これによつて労働組合又はその組合員が
使用者の所有し管理する物的施設を利用するのが本来の姿といわなければならない
からである。それゆえ、右の物的施設の利用について労使間の合意を形成するため
に、労使双方の誠実な努力が求められることはいうまでもない。しかしながら、労
使間に実際に紛争が生じるのは、右のような使用者の許諾ないし労使間の合意が存
在しない場合であろうし、現に本件においても、被上告人(使用者)が本件食堂の
利用を許諾しなかつたため、労使間に紛争が発生しているのである。このような場
合においても、労働組合又はその組合員が当該施設を利用して行う組合活動が常に
正当性がないということはできず、使用者がこれらの者に対し当該施設の利用を許
諾しないことが権利の濫用と認められるような特段の事情があるときはこれを正当
なものというべきである。そして、右の特段の事情があるかどうかについては、硬
直した態度で判断するのではなく、当該施設の利用に関する合意を形成するための
労使の努力の有無、程度が勘案されなければならないことはもちろんであるが、さ
らに、いわゆる企業内組合にあつては当該企業の物的施設を利用する必要性が大き
い実情を加味し、労働組合側の当該施設を利用する目的(とくにその必要性、代替
性、緊急性)、利用の時間、方法、利用者の範囲、労働組合によつて当該施設が利
用された場合における使用者側の業務上の支障の有無、程度等諸般の事情を総合考
慮して判断されるべきものであると考える。
 本件の場合、被上告人は本件食堂の利用を許諾しなかつたのであるが、そのこと
をもつて直ちに本件組合活動が正当性を欠くと即断することなく、さらに右の特段
- 2 -
の事情の有無を検討する必要があるところ、原審の適法に確定した事実及びこれか
ら推認しうるところによれば、(ア) 本件食堂の利用をめぐる紛争が発生した当
時、上告補助参加人組合は結成されて間もない時期であり、しかもその組合員がD
工場とE工場とに分れていたため、上告補助参加人組合が本件食堂(D工場食堂・
E工場食堂)において集会をもつ必要性は相当高かつたうえ、その使用方法も不当
な態様にならないように配慮されていたばかりでなく、(イ) 上告補助参加人組
合が本件食堂を利用しても、被上告人の業務ないし他の従業員のレクリエーシヨン
活動に格別の支障が生じたことは窺われないにもかかわらず、(ウ) 被上告人は、
上告補助参加人組合の強引な態度に触発された面があることは否定できないものの、
本件食堂の利用に相当強硬な姿勢を示したこともあるというのであるが、その反面、
(エ) 被上告人は、年約四回の定期大会、臨時大会については本件食堂を利用す
ることを許諾し、暫定的に使用料を負担して外部の会場を借り受けるなど一定の譲
歩をし、(オ) 上告補助参加人組合は、昭和四九年三月被上告人の提供した右会
場で臨時大会を開催したのちは、多数回にわたつて無許可で本件食堂を利用し、本
件食堂の利用に関する合意を形成する努力を全くしないうえ、ときには暴力行為に
及ぶなど行き過ぎた行為をした、というのである。
 以上を総合すると、被上告人が上告補助参加人組合ないしその組合員に対し本件
食堂の利用を許諾しないことが権利の濫用であると認められるような特段の事情が
あるとまではいえないのであつて、結局、本件の場合、被上告人のした本件食堂の
利用の拒否、警告書の交付等が不当労働行為に該当するということはできない。原
判決は、その借辞からみて、労働組合又はその組合員が使用者の所有し管理する物
的施設を利用して行う組合活動の正当性の判断について厳格にすぎる感を免れない
けれども、その結論は正当であるから、本件上告はこれを棄却すべきである。
     最高裁判所第三小法廷
- 3 -
         裁判長裁判官    伊   藤   正   己
            裁判官    安   岡   滿   彦
            裁判官    坂   上   義   夫
            裁判官    貞   家   克   己
- 4


刑事訴訟法判例百選[第9版]1事件ー50事件 目次・リンク

2012年03月23日 | 刑事訴訟法百選

1事件 強制処分と任意処分の限界
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51825&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120320284185.pdf

2事件 職務質問のための実力の行使
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50156&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115405326739.pdf

3事件 集会参加者に対する検問

4事件 所持品検査
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50201&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115420499621.pdf

5事件 自動車検問
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51155&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115913485676.pdf

6事件 任意同行と逮捕

7事件 宿泊を伴う取調べ―高輪グリーン・マンション事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50262&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115442322314.pdf

8事件 長時間の取調べ
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50332&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115508770319.pdf

9事件 ビデオ撮影
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=36292&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080417160757.pdf

10事件 テレビカメラによる監視

11事件 秘密録音

12事件 おとり捜査
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50063&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115342700919.pdf

13事件 現行犯逮捕(1)―明白性
参照最決昭和31年10月25日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51534&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120117650232.pdf

14事件 現行犯逮捕(2)―必要性

15事件 準現行犯逮捕―和光大事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50143&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115402039563.pdf

16事件 逮捕の違法と勾留

17事件 再逮捕・再勾留

18事件 別件逮捕・勾留と余罪取調べ
参照最決昭和52年8月9日(狭山事件)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51822&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120312822127.pdf

19事件 一罪一勾留の原則

20事件 報道機関に対する捜索・差押え
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50393&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115529643905.pdf
20事件参照最大決昭和44年11月26日博多駅事件決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50977&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115814155282.pdf
20事件参照最決平成元年1月30日日テレ事件決定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50382&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115527713522.pdf

21事件 令状による捜索の範囲(1)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50146&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115402747647.pdf

22事件 令状による捜索の範囲(2)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34123&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070213094456.pdf

23事件 令状提示前の立入り
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50051&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115339759874.pdf

24事件 令状による差押え(1)―範囲
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=59978&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319125830028990.pdf

25事件 令状による差押え(2)―フロッピーディスクの差押え
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50009&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115328974180.pdf

26事件 令状による差押え(3)―相当性

27事件 逮捕に伴う捜索・差押え(1)―逮捕の現場
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=20848&hanreiKbn=03
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/25AA03FC041B820549256CFA0007BA13.pdf

28事件 逮捕に伴う捜索・差押え(2)―捜索・差押えの範囲

29事件 逮捕に伴う捜索・差押え(3)―被逮捕者の身体・所持品に対する捜索・差押え
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50143&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115402039563.pdf

30事件 別件捜索・差押え

31事件 強制採尿
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50210&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115422948823.pdf

32事件 採尿令状による連行
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50156&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115405326739.pdf

33事件 梱包内容のエックス線検査
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38022&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091001092308.pdf

34事件 電話検証
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50400&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115531031911.pdf

35事件 捜索・差押え時の写真撮影と準抗告
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56376&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319123240515520.pdf

36事件 接見交通(1)―接見指定の合憲性・要件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52506&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120900777270.pdf

36事件参考判例1 杉山事件 最判昭和53年7月10日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53222&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121417040471.pdf
36事件参考判例2 浅井事件 最判平成3年5月10日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52699&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121108503610.pdf
36事件参考判例3 若松事件 最判平成3年5月31日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62979&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130909871231.pdf

37事件 接見交通(2)―接見指定の内容
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52561&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120933749365.pdf

38事件 任意同行中の弁護人との面会

39事件 起訴後の余罪捜査と接見指定
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51200&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115926540472.pdf
39事件参考判例1 千葉大チフス菌特別抗告審決定 最決昭和41年7月26日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51787&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120228614937.pdf
39事件参考判例2 最決平成13年2月7日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57841&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319125333362851.pdf

40事件 公訴の提起と犯罪の嫌疑
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53226&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121419530018.pdf

41事件 公訴権の濫用
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50200&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115420040323.pdf

42事件 訴因と裁判所の審判の内容
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50036&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115335732953.pdf

43事件 起訴状における余事記載
参照:最判昭和33年5月20日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51286&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115959240069.pdf

参照:最決昭和44年10月2日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50908&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115800179368.pdf

44事件 公訴時効の起算点
45事件 訴因の特定・明示
46事件 訴因変更の要否
47事件 公訴事実の同一性(1)―枉法収賄と贈賄
48事件 公訴事実の同一性(2)―覚せい剤自己使用
49事件 訴因変更の時機
50事件 訴因変更命令の義務


労働百選101事件ー120事件 目次・リンク

2012年03月22日 | 労働百選目次・リンク

101事件 平和義務違反の争議行為―弘南バス事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54966&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122433214131.pdf

102事件 違法争議と損害賠償―書泉事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19043&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/426F1798318C335D49256A57005AEF56.pdf

103事件 賃金カットの範囲―三菱重工長崎造船所事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53270&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121444589606.pdf

104事件 出張・外勤拒否と賃金カット―水道機工事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62861&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130836352064.pdf

105事件 部分スト不参加者の賃金と休業手当―ノース・ウェスト航空事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55183&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122545550462.pdf

106事件 ロックアウトー丸島水門事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51953&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120420804283.pdf

107事件 組合内少数派の活動と「労働組合の行為」―北辰電気製作所事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19451&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/9C92B1189650FF6949256A57005AE5F1.pdf

108事件 査定差別の認定と救済―中労委(オリエンタルモーター)事件

109事件 会社解散―東京書院事件

110事件 組合員の不採用と不当労働行為―JR北海道・JR貨物事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=57043&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319124048787532.pdf

111事件 誠実交渉義務―カール・ツアイス事件

112事件 複数組合の共同交渉―旭ダイヤモンド工業事件

113事件 使用者の言論―プリマハム事件

114事件 施設管理権行使と支配介入―オリエンタルモーター事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=73142&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133117964848.pdf

115事件 使用者の中立保持義務―日産自動車事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52655&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121038209583.pdf

116事件 バックペイと中間収入―第二鳩タクシー事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=56313&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319123204810616.pdf

117事件 救済命令の限界―ネスレ日本(東京・島田)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52499&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120857140588.pdf

118事件 継続する行為―紅屋商事事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52454&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120839479910.pdf

119事件 組合員資格の喪失と救済利益―旭ダイヤモンド工業事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52705&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121111867881.pdf

120事件 団交を求める地位の確認―国鉄事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62990&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130912984315.pdf
原審
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19236&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/BA701AE16FE2069A49256A57005AF764.pdf
原原審
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19264&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/50826892606D969449256A57005AF42E.pdf


労働百選51事件ー100事件 目次・リンク

2012年03月22日 | 労働百選目次・リンク

51事件 業務上損害―大分労基署長(大分放送)事件

52事件 業務上疾病―横浜南労基署長(東京海上横浜支店)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62785&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130808509628.pdf

53事件 通勤災害―国・羽曳野労基署長(通勤災害)事件

54事件 安全配慮義務―陸上自衛隊八戸車両整備工場事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52111&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120509292612.pdf

55事件 過労自殺と使用者の損害賠償責任―電通事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52222&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120605901321.pdf

56事件 社外労働者に対する安全配慮義務―大石塗装・鹿島建設事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53262&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121441912635.pdf

57事件 労災給付と損害賠償の調整―三共自動車事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53249&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121434835785.pdf

58事件 使用者の懲戒権―関西電力事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62229&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130450769813.pdf

59事件 処分後に判明した非違行為の処分理由への追加
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62805&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62805&hanreiKbn=02

60事件 長期期間経過後の懲戒処分―ネスレ日本事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=33623&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061010130337.pdf

61事件 経歴詐称―炭研精工事件

62事件 職場規律違反―目黒電報電話局事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53211&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121401147702.pdf

63事件 内部告発―トナミ運輸事件

64事件 所持品検査―西日本鉄道事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54095&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121933836954.pdf

65事件 私生活上の非行―横浜ゴム事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54158&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121954298545.pdf

66事件 人事考課―マナック事件

67事件 降格―アーク証券(本訴)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18845&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/7513A104825ACBF249256DD60029DC2A.pdf

68事件 配転―東亜ペイント事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62925&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130853098114.pdf

69事件 出向―新日本製鐵(日鐵運輸)事件

70事件 休職―全日本空輸事件

71事件 事業譲渡と労働関係―東京日新学園事件

72事件 親会社による子会社解散と労働関係―第一交通産業(佐野第一交通)事件

73事件 会社分割と労働関係―日本アイ・ビー・エム(会社分割)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=80395&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100705110006.pdf

74事件 退職の意思表示―大隈鐵工所事件

75事件 退職勧奨―下関商業高校事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=64194&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319131225668341.pdf

76事件 予告を欠く解雇―細谷服装事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54823&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122357071921.pdf

77事件 解雇権の濫用―高知放送事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=74499&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133417172744.pdf

78事件 整理解雇―東洋酸素事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19558&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/7CF9CCDF73932E0449256A57005AE78F.pdf

79事件 変更解約告知―スカンジナビア航空事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18959&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/EF089F877BC1179549256A57005AEE53.pdf

80事件 有期契約の更新拒否―日立メディコ事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62868&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130838219690.pdf

81事件 有期契約と試用期間―神戸弘陵学園
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52450&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120837583505.pdf

82事件 解雇期間中の賃金と中間収入―あけぼのタクシー事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=70477&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319132519858527.pdf
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=70479&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319132520498297.pdf

83事件 転職・引抜き―ラクソン事件

84事件 競業避止義務―フォセコ・ジャパン・リミティッド事件

85事件 管理職と労働組合―中労委(セメダイン)事件

86事件 ユニオンショップ協定の効力―三井倉庫港運事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52718&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121118564956.pdf

87事件 脱退の自由―東芝労働組合小向支部・東芝事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34093&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070906131343.pdf

88事件 臨時組合費の納入義務―国労広島地本事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54203&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122012536044.pdf

89事件 チェックオフ―エッソ石油事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=73140&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133110562361.pdf

90事件 組合の分裂と財産帰属―名古屋ダイハツ労組事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=66728&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319131830362660.pdf

91事件 就業時間中の組合活動―大成観光事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54234&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122045078142.pdf

92事件 ビラ貼り―国鉄札幌運転区事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53225&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121418387584.pdf

93事件 書面性を欠く労使合意と労働協約―都南自動車教習所事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52291&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120653557934.pdf

94事件 解雇協議条項―洋書センター事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19253&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/657CC5F8D6A5420349256A57005AF3B3.pdf

95事件 労働協約による労働条件の不利益変更―朝日火災海上保険(石堂)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=63052&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130930844548.pdf

96事件 一般的拘束力―朝日火災海上保険(高田)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=55878&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319123006489385.pdf

97事件 労働協約の終了と労働条件―鈴蘭交通事件

98事件 政治スト―三菱重工長崎造船所事件

99事件 ピケッティング―御國ハイヤー事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=65296&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319131442515714.pdf

100事件 指名スト―新興サービス事件


労働百選1事件ー50事件 目次・リンク

2012年03月22日 | 労働百選目次・リンク

1事件 個別的労働関係における労働者―横浜南労基署長(旭紙業)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62788&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130809741946.pdf

3事件 集団的労働関係における労働者―CBC管弦楽団労組事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53232&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121423798333.pdf

4事件 集団的労働関係における使用者 ―朝日放送事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52526&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120908331009.pdf

5事件 労働基本権の制限―全農林警職法事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=50906&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319115747561765.pdf

6事件 国際的労働関係と労働法規の適用 ―ルフトハンザドイツ航空事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18905&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/E6A60F9F6168DE3A49256A57005AEEA4.pdf

7事件 人材スカウトと職業紹介 ―東京エグゼクティブ・サーチ事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18986&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/43C2F437C553A40E49256A57005AF15A.pdf

9事件 労働者派遣―いよぎんスタッフサービス事件

参照判例:松下プラズマディスプレイ(パスコ)事件(最判平成21年12月18日)
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=38281&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20091218155652.pdf
原審大阪高判平成20年4月25日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=37805&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090707153405.pdf

10事件 契約締結上の過失 ―日新火災海上保険事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18832&hanreiKbn=06http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/55A81AB3E4382DBF49256DD60029DC2F.pdf

11・13事件 採用の自由・試用期間 三菱樹脂事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51931&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120410223227.pdf

12事件 採用内定 大日本印刷事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52138&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120517339508.pdf

15事件 公民権の保障―十和田観光事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53746&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121738678564.pdf

17事件 男女同一賃金ー岩手銀行事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=19052&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/F46F22102C91CF3749256A57005AEF33.pdf

労働18事件 男女の昇格差別とその救済 ―野村證券事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18705&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/4EB2213F343683DB49256DD60029DC74.pdf

19 正規・非正規労働者の賃金格差―丸子警報器事件

21事件 就業規則の法的性質 ―秋北バス事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54992&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122445463892.pdf

22事件 就業規則の効力と周知―フジ興産事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62496&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130622093000.pdf

23事件 就業規則の不利益変更と労働条件―第四銀行事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18916&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120858321355.pdf

24事件 業務命令―国鉄鹿児島自動車営業所事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=63011&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130917295182.pdf

25事件 勤労請求権―読売新聞社事件

26事件 私傷病と労働受領拒否―片山組事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62769&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130800581536.pdf

28事件 人格権の尊重―関西電力事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=73145&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133119343257.pdf

30事件 労働者に対する損害賠償請求―茨城石炭商事事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54209&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122016142947.pdf

31事件 労使慣行の効力―商大八戸ノ里ドライビングスクール事件

32事件 職務発明―オリンパス光化学工業事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52324&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120712615686.pdf

33事件 全額払いの原則と調整的相殺―福島県教組事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51878&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120345479226.pdf

34事件 全額払いの原則と賃金請求権の放棄―シンガー・ソーイング・メシーン事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51945&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120417252816.pdf

35事件 全額払いの原則と合意による相殺―日新製鋼事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52759&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121140019357.pdf

37事件 賞与の在籍日支給―大和銀行事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=70434&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319132510152510.pdf

38事件 退職金の減額―小田急電鉄(退職金請求)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18545&hanreiKbn=04
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/2E3A9AEB35842709492570DE00063F3F.pdf

39事件 退職年金の減額―松下電気産業(年金減額)事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34515&hanreiKbn=04
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070412115323.pdf

40事件 労働時間の概念―三菱重工長崎造船所事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62775&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130804314050.pdf

41事件 仮眠時間と休憩時間―大星ビル管理事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52614&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121016623513.pdf

42事件 変形労働時間制の就業規則による特定―JR西日本(広島支社)事件

43事件 時間外労働義務―日立製作所武蔵工場事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52731&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121130618600.pdf

44事件 過半数代表者―トーコロ事件

東京高判平成9年11月17日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18899&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/81C47082A2F95F8249256A57005AF215.pdf
東京地判平成6年10月25日
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=18975&hanreiKbn=06
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/F7302C1B132278F749256A57005AEE19.pdf

45事件 時間外労働手当―高知県観光事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62698&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130738568354.pdf

46事件 労働時間規制の適用除外―神代学園ミューズ音楽院事件

47事件 年次有給休暇権の法的性質―白石営林署事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51891&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120350936021.pdf

48事件 年休の争議行為利用―津田沼電車区事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52467&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120844838080.pdf

49事件 長期休暇と時季変更権―時事通信社事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52772&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121149886458.pdf

50事件 産前産後休業と出勤率算定―東朋学園事件
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62492&hanreiKbn=02
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130618340352.pdf

 

 

 

 


 


刑訴1事件 強制処分と任意処分の限界

2012年03月19日 | 刑事訴訟法百選

刑訴1事件 強制処分と任意処分の限界
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=51825&hanreiKbn=02
事件番号 昭和50(あ)146
事件名 道路交通法違反、公務執行妨害
裁判年月日 昭和51年03月16日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 決定
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 刑集 第30巻2号187頁
原審裁判所名 名古屋高等裁判所
原審事件番号 
原審裁判年月日 昭和49年12月19日
判示事項 
一 任意捜査において許容される有形力の行使の限度

二 任意捜査において許容される限度内の有形力の行使と認められた事例
裁判要旨 一 任意捜査における有形力の行使は、強制手段、すなわち個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段にわたらない限り、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認められる限度において、許容される。

二 警察官が、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被疑者をその同意を得て警察署に任意同行し、同人の父を呼び呼気検査に応じるよう説得を続けるうちに、母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたので、連絡を被疑者の父に依頼して母の来署を待つていたところ、被疑者が急に退室しようとしたため、その左斜め前に立ち、両手でその左手首を掴んだ行為(判文参照)は、任意捜査において許容される限度内の有形力の行使である。
参照法条 刑法95条1項,刑訴法197条1項
全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319120320284185.pdf

         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人大野悦男の上告趣意のうち、憲法三三条違反をいう点は、実質は単なる法
令違反の主張に過ぎず、その余の点は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、
すべて刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。
 なお、所論にかんがみ職権により判断すると、原判決が公務執行妨害罪の成立を
認めたのは、次の理由により、これを正当として支持することができる。
一 原判決が認定した公務執行妨害の事実は、公訴事実と同一であつて、「被告人
は、昭和四八年八月三一日午前六時ころ、岐阜市a町b丁目c番地岐阜中警察署通
信指令室において、岐阜県警察本部広域機動警察隊中濃方面隊勤務巡査A(当時三
一年)、同B(当時三一年)の両名から、道路交通法違反の被疑者として取調べを
受けていたところ、酒酔い運転についての呼気検査を求められた際、職務遂行中の
右A巡査の左肩や制服の襟首を右手で掴んで引つ張り、左肩章を引きちぎつたうえ、
右手拳で同巡査の顔面を一回殴打するなどの暴行を加え、もつて同巡査の職務の執
行を妨害したものである。」というにある。
二 原判決が認定した事件の経過は、(一) 被告人は、昭和四八年八月三一日午
前四時一〇分ころ、岐阜市d町b丁目e番地先路上で、酒酔い運転のうえ、道路端
に置かれたコンクリート製のごみ箱などに自車を衝突させる物損事故を起し、間も
なくパトロールカーで事故現場に到着したA、Bの両巡査から、運転免許証の提示
とアルコール保有量検査のための風船への呼気の吹き込みを求められたが、いずれ
も拒否したので、両巡査は、道路交通法違反の被疑者として取調べるために被告人
をパトロールカーで岐阜中警察署へ任意同行し、午前四時三〇分ころ同署に到着し
た、(二)被告人は、当日午前一時ころから午前四時ころまでの間にビール大びん
- 1 -
一本、日本酒五合ないし六合位を飲酒した後、軽四輪自動車を運転して帰宅の途中
に事故を起したもので、その際顔は赤くて酒のにおいが強く、身体がふらつき、言
葉も乱暴で、外見上酒に酔つていることがうかがわれた、(三)被告人は、両巡査
から警察署内の通信指令室で取調べを受け、運転免許証の提示要求にはすぐに応じ
たが、呼気検査については、道路交通法の規定に基づくものであることを告げられ
たうえ再三説得されてもこれに応じず、午前五時三〇分ころ被告人の父が両巡査の
要請で来署して説得したものの聞き入れず、かえつて反抗的態度に出たため、父は、
説得をあきらめ、母が来れば警察の要求に従う旨の被告人の返答を得て、自宅に呼
びにもどつた、(四)両巡査は、なおも説得をしながら、被告人の母の到着を待つ
ていたが、午前六時ころになり、被告人からマツチを貸してほしいといわれて断わ
つたとき、被告人が「マツチを取つてくる。」といいながら急に椅子から立ち上が
つて出入口の方へ小走りに行きかけたので、A巡査は、被告人が逃げ去るのではな
いかと思い、被告人の左斜め前に近寄り、「風船をやつてからでいいではないか。」
といつて両手で被告人の左手首を掴んだところ、被告人は、すぐさま同巡査の両手
を振り払い、その左肩や制服の襟首を右手で掴んで引つ張り、左肩章を引きちぎつ
たうえ、右手拳で顔面を一回殴打し、同巡査は、その間、両手を前に出して止めよ
うとしていたが、被告人がなおも暴れるので、これを制止しながら、B巡査と二人
でこれを元の椅子に腰かけさせ、その直後公務執行妨害罪の現行犯人として逮捕し
た、(五)被告人がA巡査の両手を振り払つた後に加えた一連の暴行は、同巡査か
ら手首を掴まれたことに対する反撃というよりは、新たな攻撃というべきものであ
つた、(六)被告人が頑強に呼気検査を拒否したのは、過去二回にわたり同種事犯
で取調べを受けた際の経験などから、時間を引き延して体内に残留するアルコール
量の減少を図るためであつた、というのである。
三 第一審判決は、A巡査による右の制止行為は、任意捜査の限界を超え、実質上
- 2 -
被告人を逮捕するのと同様の効果を得ようとする強制力の行使であつて、違法であ
るから、公務執行妨害罪にいう公務にあたらないうえ、被告人にとつては急迫不正
の侵害であるから、これに対し被告人が右の暴行を加えたことは、行動の自由を実
現するためにしたやむをえないものというべきであり、正当防衛として暴行罪も成
立しない、と判示した。原判決は、これを誤りとし、A巡査が被告人の左斜め前に
立ち、両手でその左手首を掴んだ行為は、その程度もさほど強いものではなかつた
から、本件による捜査の必要性、緊急性に照らすときは、呼気検査の拒否に対し翻
意を促すための説得手段として客観的に相当と認められる実力行使というべきであ
り、また、その直後にA巡査がとつた行動は、被告人の粗暴な振舞を制止するため
のものと認められるので、同巡査のこれらの行動は、被告人を逮捕するのと同様の
効果を得ようとする強制力の行使にあたるということはできず、かつ、被告人が同
巡査の両手を振り払つた後に加えた暴行は、反撃ではなくて新たな攻撃と認めるべ
きであるから、被告人の暴行はすべてこれを正当防衛と評価することができない、
と判示した。
四 原判決の事実認定のもとにおいて法律上問題となるのは、出入口の方へ向つた
被告人の左斜め前に立ち、両手でその左手首を掴んだA巡査の行為が、任意捜査に
おいて許容されるものかどうか、である。
 捜査において強制手段を用いることは、法律の根拠規定がある場合に限り許容さ
れるものである。しかしながら、ここにいう強制手段とは、有形力の行使を伴う手
段を意味するものではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加
えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許容するこ
とが相当でない手段を意味するものであつて、右の程度に至らない有形力の行使は、
任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ、強制手
段にあたらない有形力の行使であつても、何らかの法益を侵害し又は侵害するおそ
- 3 -
れがあるのであるから、状況のいかんを問わず常に許容されるものと解するのは相
当でなく、必要性、緊急性などをも考慮したうえ、具体的状況のもとで相当と認め
られる限度において許容されるものと解すべきである。

 これを本件についてみると、A巡査の前記行為は、呼気検査に応じるよう被告人
を説得するために行われたものであり、その程度もさほど強いものではないという
のであるから、これをもつて性質上当然に逮捕その他の強制手段にあたるものと判
断することはできない。また、右の行為は、酒酔い運転の罪の疑いが濃厚な被告人
をその同意を得て警察署に任意同行して、被告人の父を呼び呼気検査に応じるよう
説得をつづけるうちに、被告人の母が警察署に来ればこれに応じる旨を述べたので
その連絡を被告人の父に依頼して母の来署を待つていたところ、被告人が急に退室
しようとしたため、さらに説得のためにとられた抑制の措置であつて、その程度も
さほど強いものではないというのであるから、これをもつて捜査活動として許容さ
れる範囲を超えた不相当な行為ということはできず、公務の適法性を否定すること
ができない。したがつて、原判決が、右の行為を含めてA巡査の公務の適法性を肯
定し、被告人につき公務執行妨害罪の成立を認めたのは、正当というべきである。
 よつて、刑訴法四一四条、三八六条一項三号により、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり決定する。
  昭和五一年三月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    坂   本   吉   勝
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    服   部   高   顯
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行政42事件 情報公開-大阪市食糧費支出関係文書その2

2012年03月17日 | 行政百選

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主文
1 別紙一覧表整理番号24の文書の(1)の部分,同38の文書及び同40から同
43までの文書におけるいずれも同表の「相手方の氏名」欄及び「相手方の役職
名」欄に対応する記載に関する各部分につき,原判決を破棄し,本件を大阪高等
裁判所に差し戻す。
2 別紙一覧表整理番号3の文書,同7の文書,同9の文書,同15の文書,同
24の文書の(4)から(6)まで及び(8)の部分,同26の文書,同27の文書,同3
0の文書,同31の文書,同37の文書並びに同39の文書の(1),(2)及び(5)か
ら(14)までの部分におけるいずれも同表の「相手方の氏名」欄及び「相手方の役
職名」欄に対応する記載に関する各部分につき,原判決を破棄し,第1審判決を
取り消し,被上告人らの請求を棄却する。
3 上告人のその余の上告を棄却する。
4 第1審判決別紙文書目録一記載の文書中の同目録二の1(一)のうち相手方の
団体名(審議会の名称等を含む。),(二),2(一),(三)及び3(二)に関する部分
につき,第1審判決を取り消し,被上告人らの訴えを却下する。
5 第2項及び前項に関する訴訟の総費用は被上告人らの負担とし,第3項に関
する上告費用は上告人の負担とする。
理由
第1 上告代理人布施裕,同千保一廣,同江里口龍輔の上告受理申立て理由に
ついて
1 本件は,被上告人らが,平成4年6月15日,大阪市公文書公開条例(昭
和63年大阪市条例第11号。以下「本件条例」という。)に基づき,本件条例所
定の実施機関である上告人に対し,昭和63年7月から平成4年3月までの間の
大阪市財政局財務部財務課に係る食糧費の支出関係文書の公開を請求したところ,
- 2 -
上告人が,同請求に係る公文書の件名を上記期間における同課の食糧費支出に係
る支出決議書,支出命令書及び歳出予算差引簿と特定した上,上記各文書を全部
非公開とする決定(以下「本件処分」という。)をしたため,被上告人らがその取
消しを請求する事案である。上告人は,第1審係属中に本件処分の一部を取り消
し,上告人の補助職員の氏名を含む一部の記載を公開したが,原審係属中に本件
処分の一部を更に取り消し,上記各文書につき第1審判決別紙文書目録二の1(一)
のうち相手方の団体名(審議会の名称等を含む。),(二),2(一),(三)及び3(二)
に関する部分を公開した。論旨は,同目録一記載の支出決議書中の同目録二の1
(一)のうち相手方の氏名及び役職名に関する部分,同目録一記載の歳出予算差引
簿中の同目録二の3(一)に関する部分に係る原審の判断に法令の解釈適用の誤り
があるというのである。
2 原審の確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 第1審判決別紙文書目録一記載の支出決議書で,同目録二の1(一)のうち
相手方の氏名又は役職名の記載のあるもの(以下「本件支出決議書」という。)は,
具体的には,別紙一覧表(原判決別紙一覧表に整理番号を付したもの)整理番号
1から39までのとおりである。また,同目録一記載の歳出予算差引簿で,同目
録二の3(一)の記載のあるもの(以下「本件歳出予算差引簿」という。)は,具体
的には,別紙一覧表整理番号40から43までのとおりである。本件支出決議書
には,会議等の実施日,会議名(目的),実施場所,支出金額,その内訳,支出先,
出席予定者の氏名,団体名,役職名等が記載されている。また,本件歳出予算差
引簿には,件名(使用目的)及び人名(支出先)が記載されている摘要欄等が設
けられている。本件支出決議書に記載されている会議,懇談会の出席予定者中上
告人の補助職員以外の者(以下「相手方出席者」という。)でその氏名及び役職名
が非公開とされたものは,① 予算等の財政問題についての大阪市の財政局長,
- 3 -
財務部長らとの協議会等に出席した大阪市議会議員,② 指定都市財政担当局長
・課長会議に出席した地方公務員,③ 京阪神財政担当課長会議に出席した地方
公務員,④ 大阪市特別職報酬等審議会に出席した同審議会委員,⑤ 上告人が
開催する安全衛生講習会に関する打合せに出席した講師である医療関係者,⑥
大阪市財政局財務部財務課の所管事項に関する懇談会等に出席した各省庁所属の
国家公務員,地方公務員,学識経験者又は銀行,報道機関その他各種団体所属の
者,⑦ 大阪市の財政の現状等についての懇談会に出席した大学教授及び学生,
⑧ 大阪市の財政の現状等について協議,懇談等に訪れた上海市の財政視察団,
上海市財政局,D共済会,E投資信託公司所属の者である。
( 2) 本件条例6条は,「実施機関は,次の各号のいずれかに該当する情報が記
録されている公文書については,公文書の公開をしないことができる。」と定めて
おり,その2号には,「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情
報を除く。)で,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの。ただし,次に掲
げる情報を除く。ア法令等の規定により,何人も閲覧することができるとされ
ている情報イ本市の機関が作成し,又は取得した情報で,公表を目的とする
ものウ法令等の規定に基づく許可,免許,届出等の際に本市の機関が作成し,
又は取得した情報で,公開することが公益上必要であると認められるもの」と規
定されている。
3 原審は,次のとおり述べて,本件支出決議書及び本件歳出予算差引簿に記
載されている会議等への相手方出席者の出席に関する情報は,いずれも本件条例
6条2号の非公開情報に該当するとはいえないと判断した。
個人に関する情報とされている情報であっても,プライバシーに関係しないこ
とが明らかな情報については,非公開とすることは許されない。本件支出決議書
及び本件歳出予算差引簿に記載されているのは,大阪市の事務事業に直接関係の
- 4 -
ある会議等に相手方出席者が出席することに関する情報である。相手方出席者が
個人としての資格を離れ,公務あるいは所属する団体の職務として上記会議等に
出席する限りは,私的な領域の問題とはいえないところ,上記情報はいずれも相
手方出席者が職務として行った行為についての情報であるから,上記情報は,相
手方出席者のプライバシーに関係しないものとして,同号の非公開情報には当た
らない。そうすると,個人識別情報である相手方出席者の氏名及び役職名も同号
の非公開情報に当たらない。
4 しかしながら,原審の上記判断のうち,別紙一覧表整理番号1の文書,同
2の文書,同4から同6までの文書,同8の文書,同10から同14までの文書,
同16から同23までの文書,同24の文書の(2),(3),(7)及び(9)から(12)ま
での部分,同25の文書,同28の文書,同29の文書,同32から同36まで
の文書並びに同39の文書の(3)及び(4)の部分(以下「整理番号1の文書等」と
いう。)におけるいずれも同表の「相手方の氏名」欄及び「相手方の役職名」欄に
対応する記載を含む情報が,本件条例6条2号の非公開情報に当たらないとした
部分は,是認することができるが,その余の部分は是認することができない。そ
の理由は,次のとおりである。
(1) 本件条例6条2号は,「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に
関する情報を除く。)」であって,特定の個人が識別され,又は識別され得るもの
については,同号ただし書所定の除外事由に当たるものを除き,これが記録され
ている公文書を公開しないことができると規定している。同号にいう「個人に関
する情報」については,「事業を営む個人の当該事業に関する情報」が除外されて
いる以外には文言上何ら限定されていないから,個人の思想,信条,健康状態,
所得,学歴,家族構成,住所等の私事に関する情報に限定されるものではなく,
個人にかかわりのある情報であれば,原則として同号にいう「個人に関する情報」
- 5 -
に当たると解するのが相当である。そして,法人その他の団体の従業員が職務と
して行った行為に関する情報は,職務の遂行に関する情報ではあっても,当該行
為者個人にとっては自己の社会的活動としての側面を有し,個人にかかわりのあ
るものであることは否定することができない。そうすると,【要旨1】上記の職務
の遂行に関する情報も,原則として,同号にいう「個人に関する情報」に含まれ
るというべきである。
もっとも,同条は,2号において「個人に関する情報」から「事業を営む個人
の当該事業に関する情報」を除外した上で,3号において「法人その他の団体(国
及び地方公共団体を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む
個人の当該事業に関する情報」と定めて,個人に関する情報と法人等に関する情
報とをそれぞれ異なる類型の情報として非公開事由を規定している。これらの規
定に照らせば,本件条例においては,法人等を代表する者が職務として行う行為
等当該法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報については,専ら法
人等に関する情報としての非公開事由が規定されているものと解するのが相当で
ある。したがって,【要旨2】法人等の行為そのものと評価される行為に関する情
報は,同条2号の非公開情報に当たらないと解すべきである。そして,このよう
な情報には,法人等の代表者又はこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務
として行う行為に関する情報のほか,その他の者の行為に関する情報であっても,
権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報が含まれると
解するのが相当である。
次に,【要旨3】国及び地方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報は,公
務員個人の社会的活動としての側面を有するが,公務員個人の私事に関する情報
が含まれる場合を除き,公務員個人が同条2号にいう「個人」に当たることを理
由に同号の非公開情報に当たるとはいえないものと解するのが相当である。その
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理由は,次のとおりである。本件条例は,市民の市政参加を推進し,市政に対す
る市民の理解と信頼の確保を図ることを目的とし,そのために市民に公文書の公
開を求める権利を保障することとしており(1条),実施機関に対し,「個人に関
する情報」の保護について最大限の配慮をしつつも,公文書の公開を請求する市
民の権利を十分尊重して本件条例を解釈適用する責務を負わせている(3条)。こ
のように,本件条例は,大阪市の市政に関する情報を広く市民に公開することを
目的として定められたものであるところ,同市の市政に関する情報の大部分は,
同市の公務員(特別職を含む。)の職務の遂行に関する情報ということができる。
そうすると,本件条例が,同市の公務員の職務の遂行に関する情報が記録された
公文書について,公務員個人の社会的活動としての側面があることを理由に,こ
れをすべて非公開とすることができるものとしているとは解し難いというべきで
ある。そして,国又は他の地方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報につ
いても,国又は当該地方公共団体において同様の責務を負うべき関係にあること
から,同市の市政に関する情報を広く市民に公開することにより市政に対する市
民の理解と信頼の確保を図ろうとする目的を達成するため,同市の公務員の職務
の遂行に関する情報と同様に公開されてしかるべきものと取り扱うというのが本
件条例の趣旨であると解される。したがって,国及び地方公共団体の公務員の職
務の遂行に関する情報については,前記のとおりに解するのが相当である。
(2) これを本件についてみるに,本件支出決議書のうち,別紙一覧表整理番号
3の文書,同7の文書,同9の文書,同15の文書,同24の文書の(4)から(6)
まで及び(8)の部分,同26の文書,同27の文書,同30の文書,同31の文書,
同37の文書並びに同39の文書の(1),(2)及び(5)から(14)までの部分(以下「整
理番号3の文書等」という。)における同表の「相手方の氏名」欄及び「相手方の
役職名」欄に対応する記載を含む情報については,いずれも国及び地方公共団体
- 7 -
の公務員以外の者が会議等に出席したことに関する情報であることが原審によっ
て確定されており,その者の社会的活動にかかわる情報であって,その氏名及び
役職名により特定の個人が識別され,又は識別され得るものである。そして,上
記情報は,2(1)で述べたとおりであって,会議の名称及びこれから推知される会
議の目的,相手方出席者の所属団体等に照らすと,事務打合せや,非公式の協議,
懇談に関する情報であり,法人等の代表者又はこれに準ずる地位にある者が当該
法人等の職務としてそのような会合に出席したとはいい難く,その他の者が権限
に基づいて当該法人等のために契約の締結等をしたということもできないから,
本件条例6条2号本文にいう「個人に関する情報」に該当するというべきであり,
また,同号ただし書に該当する事実は確定されていない。そうすると,整理番号
3の文書等について,同号により非公開とした本件処分は適法である。
別紙一覧表整理番号38の文書は,「大阪市特別職報酬等審議会に係る会議経費
の振替支出について」と題する支出決議書であり,当該審議会の委員は大阪市の
地方公務員法3条3項2号所定の特別職の公務員である可能性がある。同24の
文書の(1)の部分についても同様の可能性がある。そうであるとすれば,上記文書
等に記録された情報は,大阪市の公務員の職務の遂行に関する情報として本件条
例6条2号の非公開情報に当たらないと解する余地がある。したがって,上記の
点を確定しないまま上記文書に記録された情報が同号の適用を受けるかどうかに
ついて判断することはできないものというべきである。
次に,本件歳出予算差引簿(別紙一覧表整理番号40から同43までの文書)
に記録された情報は,会議等に関する情報であり,別紙一覧表の「相手方の氏名」
及び「相手方の役職名」が非公開とされたものであるところ,これらの相手方と
されている者が,国又は地方公共団体の公務員であるかどうか,また,法人等の
代表者又はこれに準ずる地位にある者等であるかどうかなどについて,原審は何
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も確定していないが,上記の相手方とされている者に国及び地方公共団体の公務
員以外の者であり,上記の代表者等に該当しない者が含まれている蓋然性がある。
そうであるとすれば,上記文書に記載された情報は,本件条例6条2号の非公開
情報に当たると解する余地があるから,これらの点を確定しないまま同号の適用
の有無について判断することはできないものというべきである。
(3) 論旨は,以上と同旨をいう限度で理由がある。これと異なる原審の前記判
断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を
免れない。そして,被上告人らの本訴請求中,別紙一覧表整理番号24の文書の(1)
の部分,同38の文書及び同40から同43までの文書におけるいずれも別紙一
覧表の「相手方の氏名」欄及び「相手方の役職名」欄に対応する記載に関する各
部分については,前記の点を更に審理させるため,本件を原審に差し戻すべきで
ある。また,被上告人らの本訴請求中,整理番号3の文書等における同表の「相
手方の氏名」欄及び「相手方の役職名」欄に対応する記載に関する部分は理由が
ないから,これを認容した第1審判決を取り消し,被上告人らの請求を棄却すべ
きである。
(4) 原審が適法に確定した事実関係によれば,整理番号1の文書等に記録され
た情報は,国又は地方公共団体の公務員がその職務として会議等に出席したこと
に関する情報であり,公務員個人の私事に関する情報を含むものでないことが原
審によって確定されているのであるから,上記文書における別紙一覧表の「相手
方の氏名」欄及び「相手方の役職名」欄に対応する記載を含む情報は,国及び地
方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報であり,本件条例6条2号の非公
開情報に当たらないというべきである。したがって,上記文書における同表の「相
手方の氏名」欄及び「相手方の役職名」欄に対応する記載に関する部分について
は,本件上告を棄却すべきである。
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第2 職権による検討
【要旨】原審が適法に確定した事実関係によれば,上告人は,第1審判決に対
して控訴した後,第1審判決別紙文書目録一記載の文書中の同目録二の1(一)の
うち相手方の団体名(審議会の名称等を含む。),(二),2(一),(三)及び3(二)
に関する部分につき,本件処分を取り消し,被上告人らに対して同部分を開示し
たというのであるから,同部分については,被上告人らにおいて本件処分の取消
しを求める訴えの利益は失われたものというべきである。本件訴訟は,上告人が
した控訴により,同部分を含めて原審に移審していたところ,訴えの利益の消長
は職権調査事項であるから,原審は,民訴法304条にかかわらず,同部分につ
き職権で第1審判決を取り消して被上告人らの訴えを却下すべきであった。しか
るに,原審は,上記の措置を執ることなく,上告人が第1審判決の取消しを求め
た限度で控訴を棄却するにとどめている。そこで,同部分につき第1審判決を取
り消した上,被上告人らの訴えを却下すべきである。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三裁判官藤田
宙靖)
- 10 -
一覧表
整理文書の書証開示された相手方の相手方の団体名相手方の役職名
番号番号(乙) 文書の書証氏名
番号(乙)
昭和63年支出決議書
1 16-21 44-21 記載なし開示(議会) 非開示(議員)
2 16-22 44-22 記載なし開示(議会) 非開示(議員)
平成元年度支出決議書
3 17-20 45-20 非開示開示非開示(外国から
の来賓)
4 17-21 45-21 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
5 17-25 45-25 記載なし開示(議会) 非開示(議員)
平成2年度支出決議書
6 18-1 46-1 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
7 18-2 46-2 非開示開示(審議会) 非開示(私人,学
識経験者)
8 18-8 46-8 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
- 11 -
9 18-9 46-9 非開示開示(各種団体)非開示(私人)
10 18-10 46-10 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
11 18-11 46-11 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
12 18-12 46-12 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
13 18-13 46-13 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
14 18-14 46-14 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
15 18-15 46-15 非開示開示(医療関係) 非開示(私人)
16 18-16 46-16 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
17 18-17 46-17 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
18 18-18 46-18 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
19 18-22 46-22 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
20 18-23 46-23 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
21 18-24 46-24 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
22 18-25 46-25 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
23 18-26 46-26 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
24(1) 18-27茶1 46-27茶1 非開示記載なし非開示(委員)
(2) 茶2 茶2 非開示記載なし非開示(議員)
(3) 茶4 茶4 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
(4) 茶5 茶5 非開示記載なし記載なし(私人,
講師)
(5) 茶6 茶6 非開示記載なし記載なし(私人,
講師)
(6) 茶7 茶7 非開示開示(大学関係)記載なし(私人,
教授)
- 12 -
(7) 茶8 茶8 非開示開示(議会) 非開示(議員)
(8) 茶9 茶9 非開示開示非開示(外国から
の来賓)
(9) 茶10 茶10 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
(10) 茶11 茶11 非開示開示(省庁) 記載なし
(11) 茶12 茶12 非開示開示(省庁) 記載なし
(12) 茶13 茶13 非開示開示(自治体) 記載なし
平成3年度支出決議書
25 19-1 47-1 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
26 19-2 47-2 非開示開示(審議会) 非開示(私人,学
識経験者)
27 19-3 47-3 非開示開示非開示(外国から
の来賓)
28 19-7 47-7 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
29 19-8 47-8 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
30 19-9 47-9 非開示開示(大学関係)非開示(私人,学
識経験者)
31 19-10 47-10 非開示開示(大学関係)非開示(私人,学
識経験者)
32 19-11 47-11 非開示開示(議会) 非開示(議員)
33 19-12 47-12 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
34 19-13 47-13 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
- 13 -
35 19-14 47-14 非開示開示(省庁) 非開示(公務員)
36 19-15 47-15 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
37 19-19 47-19 非開示開示非開示(外国から
の来賓)
38 19-20 47-20 非開示開示(審議会) 非開示(審議会委
員)
39(1) 19-21茶1 47-21茶1 非開示開示(銀行) 非開示(私人)
(2) 茶2 茶2 非開示開示(報道機関)記載なし
(3) 茶3 茶3 非開示開示(議会) 非開示(議員)
(4) 茶4 茶4 非開示開示(自治体) 非開示(公務員)
(5) 茶5 茶5 非開示開示(報道機関)記載なし
(6) 茶6 茶6 非開示開示(大学関係)非開示(私人,学
識経験者)
(7) 茶7 茶7 非開示開示(議会) 非開示(私人)
(8) 茶8 茶8 非開示開示(大学関係)非開示(私人,学
識経験者)
(9) 茶9 茶9 非開示開示(大学関係)非開示(私人,学
識経験者)
(10) 茶10 茶10 非開示開示(報道機関)非開示(私人)
(11) 茶11 茶11 非開示開示(報道機関)非開示(私人)
(12) 茶12 茶12 非開示開示(報道機関)記載なし(私人)
(13) 茶13 茶13 非開示開示非開示(外国からの
来賓)
(14) 茶14 茶14 非開示開示(報道機関)記載なし(私人)
- 14 -
予算差引簿
40 24 52 非開示開示非開示
41 25 53 非開示開示非開示
42 26 54 非開示開示非開示
43 27 55 非開示開示非開


行政42事件 情報公開-大阪市食糧費支出関係文書

2012年03月17日 | 行政百選

行政42事件 情報公開-大阪市食糧費支出関係文書
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=52253&hanreiKbn=02
事件番号 平成10(行ヒ)54
事件名 公文書非公開決定処分取消請求事件
裁判年月日 平成15年11月11日
法廷名 最高裁判所第三小法廷
裁判種別 判決 結果 その他
判例集等巻・号・頁 民集 第57巻10号1387頁
原審裁判所名 大阪高等裁判所
原審事件番号 平成9(行コ)17
原審裁判年月日 平成10年06月17日
判示事項 
1 法人等の従業員の職務の遂行に関する情報の大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」該当性
2 法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報の大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」該当性
3 公務員の職務の遂行に関する情報の大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」該当性
4 本案判決に対して控訴がされた後に不服申立ての対象とされなかった部分につき訴えの利益が損なわれた場合における控訴審の判決主文
裁判要旨 
1 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者に準ずる地位にある者以外の従業員の職務の遂行に関する情報は,その者の権限に基づく当該法人等のための契約の締結等に関する情報を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。
2 法人その他の団体(国及び地方公共団体を除く。)の代表者若しくはこれに準ずる地位にある者が当該法人等の職務として行う行為に関する情報又はその他の者が権限に基づいて当該法人等のために行う契約の締結等に関する情報その他の法人等の行為そのものと評価される行為に関する情報は,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。
3 国及び地方公共団体の公務員の職務の遂行に関する情報は,公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号にいう「個人に関する情報」に当たらない。
4 本案判決に対して控訴がされた後に,不服申立ての対象とされなかった部分につき訴えの利益が損なわれた場合には,控訴審は,同部分につき職権で第1審判決を取り消して訴えを却下すべきである。
参照法条 大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条2号,大阪市公文書公開条例(昭和63年大阪市条例第11号)6条3号
全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20100909101322.pdf


労働40事件 労働時間の概念―三菱重工長崎造船所事件

2012年03月13日 | 労働百選

労働40事件 労働時間の概念―三菱重工長崎造船所事件

http://www.mhi.co.jp/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E6%A5%AD
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E8%8F%B1%E9%87%8D%E5%B7%A5%E6%A5%AD%E9%95%B7%E5%B4%8E%E9%80%A0%E8%88%B9%E6%89%80
三菱重工業株式会社(みつびしじゅうこうぎょう、英: Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.)は、日本の企業。
三菱重工業株式会社
Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. 

Mitsubishi heavy industries building konan minato tokyo.JPG
品川グランドコモンズの一角にある三菱重工ビル(本社)
種類 株式会社
市場情報 東証1部 7011 1950年5月29日上場
大証1部 7011 1950年5月29日上場
名証1部 7011 1950年8月上場
福証 7011 1952年1月上場
札証 7011 1950年6月上場
 
略称 三菱重工・重工・MHI
本社所在地  日本
〒108-8215
東京都港区港南二丁目16番5号
設立 1950年(昭和25年)1月11日
(中日本重工業株式会社)
業種 重工業、航空宇宙産業、軍需産業
事業内容 機械、建設機械、航空機、船舶、防衛機器の製造・販売
代表者 大宮 英明(代表取締役社長)
資本金 2656億0878万1千円
発行済株式総数 33億7364万7813株
売上高 連結:2兆9038億円
単独:2兆1885億円
営業利益 連結:1012億円
単独:627億円
純利益 連結:301億円
単独:106億円
純資産 連結:1兆3127億円
単独:1兆1283億円
総資産 連結:3兆9890億円
単独:3兆4547億円
従業員数 単独:34,139人
決算期 3月31日
主要株主 野村信託銀行(退職給付信託三菱東京UFJ銀行口)3.72%
明治安田生命保険2.3%
東京海上日動火災保険1.4%
主要子会社 三菱農機(株) 85.8%
三菱日立製鉄機械(株) 65.7%

 


http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=62775&hanreiKbn=02
事件番号 平成7(オ)2030
事件名 賃金請求事件
裁判年月日 平成12年03月09日
法廷名 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判例集等巻・号・頁 集民 第197号75頁
原審裁判所名 福岡高等裁判所
原審事件番号 平成1(ネ)193
原審裁判年月日 平成7年04月20日
判示事項 
一 労働者が始業時刻前及び終業時刻後の事業場の入退場門と更衣所等との間の移動に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当しないとされた事例
二 労働者が終業時刻後の洗身等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当しないとされた事例
三 労働者が休憩時間中の作業服及び保護具等の一部の着脱等に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当しないとされた事例
裁判要旨 
一 労働者が、就業規則により、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、終業後に更衣等を行うものとされ、また、使用者から、実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられ、右装着を事業所内の所定の更衣所等において行うものとされていた造船所において、始業時刻前に入退場門から事業所内に入って更衣所等まで異動し、終業時刻後に更衣所等から右入退場門まで移動して事業所外に退出した場合、右各異動は、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができず、労働者が右各移動に要した時間は、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当しない。
二 労働者が、就業規則により、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、終業後に更衣等を行うものとされ、また、使用者から、実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられていた造船所において、終業時刻後に手洗い、洗面、洗身、入浴を行い、洗身、入浴後に通勤服を着用した場合、右労働者が、使用者から、実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難であるとまではいえなかったという事実関係の下においては、右洗身等は、これに引き続いてされた通勤服の着用を含めて、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができず、労働者が右洗身等に要した時間は、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当しない。
三 労働者が、就業規則により、始業に間に合うよう更衣等を完了して作業場に到着し、所定の始業時刻に作業場において実作業を開始し、午前の終業については所定の終業時刻に実作業を中止し、午後の始業に間に合うよう作業場に到着し、所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うものとされ、また、使用者から、実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられていた造船所において、午前の終業時刻後に作業場等から食堂等まで移動し、現場控所等において作業服及び保護具等の一部を脱離するなどし、午後の始業時刻前に食堂等から作業場等まで移動し、脱離した作業服及び保護具等を再び装着した場合、労働者が休憩時間中の右各行為に要した時間は、労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時間に該当しない。
参照法条 労働基準法(昭和62年法律第99号による改正前のもの)32条
全文 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319130804314050.pdf

           主    文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。    
            理    由
 上告代理人松本建男、同在間秀和、同竹下政行、同中島光孝、同鈴木宏一、同仙
谷由人、同有馬毅、同美奈川成章の上告理由第一について
 一 労働基準法(昭和六二年法律第九九号による改正前のもの)三二条の労働時
間(以下「労働基準法上の労働時間」という。)とは、労働者が使用者の指揮命令
下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が
使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に
定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定
されるべきものではないと解するのが相当である。
 二 原審の確定したところによれば、(一) 昭和四八年六月当時、上告人ら(
上告人A1の関係においては、以下、同上告人訴訟被承継人A2のことを上告人と
いう。)は、被上告人に雇用され、L造船所において就業していた、(二)右当時、
被上告人のL造船所の就業規則は、上告人らの所属する一般部門の労働時間を午前
八時から正午まで及び午後一時から午後五時まで、休憩時間を正午から午後一時ま
でと定めるとともに、始終業基準として、始業に間に合うよう更衣等を完了して作
業場に到着し、所定の始業時刻に作業場において実作業を開始し、午前の終業につ
いては所定の終業時刻に実作業を中止し、午後の始業に間に合うよう作業場に到着
し、所定の終業時刻に実作業を終了し、終業後に更衣等を行うものと定め、さらに、
始終業の勤怠把握基準として、始終業の勤怠は、更衣を済ませ始業時に体操をすべ
く所定の場所にいるか否か、終業時に作業場にいるか否かを基準として判断する旨
定めていた、(三) 右当時、上告人らは、被上告人から、実作業に当たり、作業
- 1 -
服のほか所定の保護具、工具等(以下「保護具等」という。)の装着を義務付けら
れ、右装着を所定の更衣所又は控所等(以下「更衣所等」という。)において行う
ものとされており、これを怠ると、就業規則に定められた懲戒処分を受けたり就業
を拒否されたりし、また、成績考課に反映されて賃金の減収にもつながる場合があ
った、(四) 上告人らは、昭和四八年六月一日から同月三〇日までの間、(1)
 午前の始業時刻前に、① 所定の入退場門から事業所内に入って更衣所等まで移
動し、② 更衣所等において作業服及び保護具等を装着して準備体操場まで移動し、
(2) 午前の終業時刻後に作業場又は実施基準線(被上告人が屋外造船現場作業
者に対し他の作業者との均衡を図るべく終業時刻にその線を通過することを認めて
いた線)から食堂等まで移動し、また、現場控所等において作業服及び保護具等の
一部を脱離するなどし、(3) 午後の始業時刻前に食堂等から作業場又は準備体
操場まで移動し、また、脱離した作業服及び保護具等を再び装着し、(4) 午後
の終業時刻後に、① 作業場又は実施基準線から更衣所等まで移動して作業服及び
保護具等を脱離し、② 手洗い、洗面、洗身、入浴を行い、また、洗身、入浴後に
通勤服を着用し、③ 更衣所等から右入退場門まで移動して事業所外に退出した、
(五) 上告人らは、被上告人から、実作業の終了後に事業所内の施設において洗
身を行うことを義務付けられてはおらず、また、特に洗身をしなければ通勤が著し
く困難であるとまではいえなかった、というのであり、右事実認定は、原判決挙示
の証拠関係に照らして首肯するに足りる。
 三 【要旨一】右事実関係によれば、右二(四)(1)①及び(4)③の各移動
は、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができないから、各上告
人が右各移動に要した時間は、いずれも労働基準法上の労働時間に該当しない。ま
た、上告人らは、被上告人から、実作業の終了後に事業所内の施設において洗身等
を行うことを義務付けられてはおらず、特に洗身等をしなければ通勤が著しく困難
- 2 -
であるとまではいえなかったというのであるから、上告人らの洗身等は、これに引
き続いてされた通勤服の着用を含めて、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評
価することができず、各上告人が右二(四)(4)②の洗身等に要した時間は、労
働基準法上の労働時間に該当しないというべきである。他方、上告人らは、被上告
人から、実作業に当たり、作業服及び保護具等の装着を義務付けられていたなどと
いうのであるから、右二(四)(1)②及び(4)①の作業服及び保護具等の着脱
等は、被上告人の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、右着脱等に要
する時間は、それが社会通念上必要と認められる限り、労働基準法上の労働時間に
該当するというべきである。しかしながら、【要旨二】上告人らの休憩時間中にお
ける作業服及び保護具等の一部の着脱等については、使用者は、休憩時間中、労働
者を就業を命じた業務から解放して社会通念上休憩時間を自由に利用できる状態に
置けば足りるものと解されるから、右着脱等に要する時間は、特段の事情のない限
り、労働基準法上の労働時間に該当するとはいえず、各上告人が右二(四)(2)
及び(3)の各行為に要した時間は、労働基準法上の労働時間に該当するとはいえ
ない。以上と同旨の原審の判断は、是認するに足りる。論旨は、違憲をいう点を含
め、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見
解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用することができない。
 同第二について
 所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯する
に足り、右事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は、正当として
是認することができる。原判決に所論の違法はなく、所論引用の各判例は、事案を
異にし本件に適切でない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認
定を非難するか、又は独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、採用す
ることができない。
- 3 -
 よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 遠藤光男 裁判官 小野幹雄 裁判官 井嶋一友 裁判官 藤井
正雄 裁判官 大出峻郎)
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労働39事件 退職年金の減額ー松下電器産業(年金減額)事件その3

2012年03月13日 | 労働百選

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件契約の申込みをする時点において本件規程の存在を認識していたのであり,
被控訴人ら会社を退職する前であっても,その後であっても,本件規程の内容を容易に知ることができたところ,控訴人らは,それまでの好景気,不況等という社会経済面での経験を有していたことからすると,既受給者である控訴人らにとって本件給付利率改定の予測可能性がなかったということはできない。③についても,上記のとおり,同文言が一義的に明確であるとまではいえないが,「将来,経済情勢もしくは社会保障制度に大幅な変動があった場合は,」と厳格な要件を規定していること,本件改廃規定による本件給付利率改定の要件を事前に一律に決定することは不可能であり,本件改廃規定による本件給付利率の改定をするにあたっては,本件給付利率の改定をする必要性と改定後の本件給付利率の相当性という要件が要求され,双方の要件が満たされるのであれば,本件利率改定は有効と評価されると解するのが相当であるから,この点をもって,本件改廃規定による本件給付利率の改定が信義則等に反するということはできない。④については,控訴人らとしては,本件契約を締結するに当たり,退職金を自分で運用するか本件制度を利用するかについて,その自由な選択によってこれを決定できたのであるから,その時点において被控訴人が優越的地位を有していたということはできない。また,本件改廃規定が存在するからといって,上記のとおり,被控訴人が何らの制限を受けることもなく自由に本件規程の内容を変更することが許されないことは当然のことであるから,本件改廃規定の存在が被控訴人の優越的地位を根拠づけるものではないというべきである。よって,この点に関する控訴人らの主張には理由がない。7以上のとおりであるから,本件改廃規定によって既受給者との間においても,本件給付利率の改定をすることは許されるというべきである。なお,控訴人らは,本件利率改定に先立ち,被控訴人が既受給者の個別同意を求め,当初の回答期間を延長してまで,既受給者の個別同意を得ようと

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していたことからしても,本件改廃規定による本件利率改定が許されないも
のであることは,被控訴人自身認識していたと主張する。そして,乙38ないし乙41によると,控訴人らの主張する上記事実が認められるのであるが,法律的には既受給者の個別同意なくして契約内容を変更できる場合であっても,紛争となることを回避するために契約相手方の個別同意を求めるということは,何ら不自然なことではないのであるから,被控訴人が上記のとおり既受給者の個別同意を求めたからといって,被控訴人自身,既受給者の個別同意がなければ本件利率改定ができないと認識していたと認めることはできない(甲15によると,被控訴人の労政グループが平成13年8月に作成した「雇用構造改革の推進にあたって」と題する文書には,本件福祉年金が被控訴人と個人との個別契約であり,既受給者の年金額を減額できるかどうかには法的疑義があって慎重な検討が必要である旨の記載があるが,この記載も,既受給者の個別同意がない限り本件利率改定ができないと被控訴人が認識していたことを示すものでないことは,その表現自体から明らかである。)。また,平成8年4月1日の労使合意により,平成9年3月21日以降の退職者につき本件給付利率を低くした際に,既受給者の本件給付利率を低くしなかったことは上記のとおりであるが,これも,上記と同様,既受給者との紛争を回避して,できるだけ穏便に本件制度の維持を図ろうとしたことによるものであると考えられるのであるから,この事実をもってしても,既受給者の個別同意がない限り本件利率改定ができないと被控訴人が認識していたと認めることはできない。Ⅲ本件利率改定が本件改廃規定の定める要件を満たすか否かについて1経済情勢,社会保障制度の大幅な変動について(1)括弧内に記載の書証及び弁論の全趣旨によると以下の事実が認められる。ア本件給付利率本件制度が開始された昭和41年から本件利率改定が行われた平成1

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4年までの約36年間についてみると,本件給付利率は,昭和41年か
ら平成9年3月20日までに本件契約を締結した者については年10%のままであり,平成9年3月21日以降の退職者は年9.5%,平成10年3月21日以降の退職者は年8.5%,平成11年3月21日以降の退職者は年7.5%とされたことは上記のとおりである。イ市場金利(運用利回り)の推移上記の間についてみると,貸付信託(5年)の年率は,昭和41年が7.32%であり,昭和48年までは7%台であったが,昭和49年から昭和51年までは8%台となり,いったん利率が低くなった後,昭和55年に8.4%となり,その後は,ほぼ一貫して利率が低下し続け,平成7年に1%台となり,平成8年には1%を割って,平成14年には0.05%となった。定期預金(1年)の年率は,昭和41年が5.5%であり,昭和49年,昭和50年は7%台となったが,昭和51年には6.75%となり,その後は,ほぼ一貫して利率が低下し続け,平成6年に1%台となり,平成8年に1%を割って,平成14年には0.04%となった。新発10年国債の年率は,昭和47年が6.91%であり,昭和49年から昭和59年まではほぼ7%台又は8%台であったが,昭和60年以降は,ほぼ一貫して利率が低下し続け,平成14年には1.27%となった。(乙31,乙49)ウ貸出金利の推移上記の間についてみると,長期プライムレート(銀行が最優良の企業に貸し付ける長期資金の金利)の利率は,昭和41年が8.4%であり,昭和48年までは概ね8%台であったが,昭和49年から昭和51年までは9%台となり,いったん利率が低くなった後,昭和55年に9.16%となり,その後は,ほぼ一貫して利率が低下し続け,平成13年に1%台となり,平成14年には1.94%となった。公定歩合は,昭和

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41年が5.48%であり,昭和48年までは4%台後半から6%台前
半の間で推移していたが,昭和49年に9%となり,その後は,昭和55年,平成2年ころに一時的に高くなったものの,低下し続け,平成6年に1%台となり,平成8年に1%を割って,平成14年には0.1%となった。(乙31,乙49)エ年金資産の運用利回りの推移上記の間についてみると,被控訴人厚生年金基金の運用利回りは,昭和53年が10.12%であり,昭和62年までは概ね9%から10%の間で推移していたが,昭和63年に8.65%となり,その後は,ほぼ一貫して利率が低下し続け,平成11年に一時的に14.82%まで上昇したが,平成12年にはマイナス10.6%まで低下し,その後はマイナスのまま推移し,平成14年にはマイナス12.3%となった。年金資金運用基金(公的年金)の運用利回りは,昭和61年が17.07%であり,その後は概ね0%から10%の間で推移していたが,平成11年に10.94%となった後,平成12年にはマイナス5.72%まで低下し,その後はマイナスのまま推移し,平成14年にはマイナス8.46%となった。厚生年金基金連合会の運用利回りは,昭和61年が11.11%であり,その後は一時的な上昇はあったものの概ね0%から10%の間で推移していたが,平成11年に11.29%となった後,平成12年にはマイナス9.83%まで低下し,その後はマイナスのまま推移し,平成14年にはマイナス12.5%となった。(乙34)オ利率引下げ,解散をする厚生年金基金の急増平成9年ころから給付利率の引下げや解散をする厚生年金基金が増え始め,平成12年ころからは急増している。解散数についてみると,平成7年ころまでは毎年1件あるかないかくらいであったのが,平成13

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年には59基金,平成14年には73基金,平成15年には92基金が
解散している。(乙36の1ないし4,乙37,乙49,乙50)カ現役従業員と既受給者との間の格差年金原資1330万円(受給者平均額),20年保証,85歳(60歳平均余命男女平均)まで受給するとの前提条件で,キャッシュバランスプランの下での現役従業員について,60歳から80歳(確定年金のため)までの間に受給する年金総額を試算すると1860万円となり,年金原資を超えて受給する金額(すなわち,本件基本年金の利息相当分と本件終身年金の合計額)は530万円にすぎない。これに対し,同一の前提条件で,本件制度下(本件利率改定前)の既受給者について,60歳から85歳までの間に受給する年金総額を試算すると,①本件給付利率が10%の者の場合には3800万円となり,年金原資を超えて2470万円を受給することができることになり,本件利率改定後(8%)でも,年金総額は3325万円となり,年金原資を超えて1995万円を受給することができることになり,②本件給付利率が7.5%の者の場合は3200万円となり,年金原資を超えて1870万円を受給することができることになり,また,本件利率改定後(5.5%)でも,年金総額は2750万円となり,年金原資を超えて1420万円を受給することができることになる。(乙48)キ本件基本年金の利息,本件終身年金にあたるものとして被控訴人が受給者に支給した額本件福祉年金として被控訴人が受給者に支給した年金額のうち,当該受給者の拠出した原資額を超える部分は,昭和55年に6億4000万円を計上し,その後は一貫して増額を続け,平成8年には76億5000万円,平成10年には101億2000万円,平成12年には117億6000万円,平成13年には128億8000万円となった。(乙

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13,乙44)
ク被控訴人の業績の推移(ア) 平成8年当時,我が国は,所謂バブル経済崩壊後の日本経済の長期低迷状態による影響下にあった。そして,被控訴人の属する電器製品業界において,中国を中心としたアジア諸国の台頭が著しく,例えば,ノートPCの世界生産に占める中国の比率は,平成12年は,殆どなかったのが,平成16年は,80%に,DVDのそれは,平成11年が15%であったのが,平成16年に66%に増大している。これら中国を中心としたアジア諸国の台頭の結果,製造原価の安い電器製品が日本市場に流通し,日本国内における主要商品の単価を年ごとに下落させる要因の一つとなっていった。また,このことは,被控訴人を含む国内の電子工業生産額の減少をもたらした。その生産額は,平成8年には約25兆円であり,その後一進一退を繰返し,平成12年には約26兆円であったが,平成13年には19兆円に,平成14年には約18兆円に減少している。(乙70ないし乙72)(イ) 上記の電器製品業界の状況に呼応するように,被控訴人の業績が悪化し,スタンダード&プアーズは,平成14年3月,被控訴人の格付を,前回「A+」であったのを「A」に格下げした。この格下げは,国内の家電製品需要が低迷する中,同社の高コスト構造,成長戦略の不透明さにより,同社が期待する収益力とキャッシュフロー創出力の回復が,同社の予想を上回る時間を要するであろうとの見解や,キャッシュフローで裏付けられる債務返済能力や事業への継続的な投資力が,以前の格付け水準に見合わなくなろうだろうとの見通しも反映された結果であった。(乙79)(ウ) 被控訴人の営業利益等は次のとおり推移していった。a売上高は,平成元年3月期の決算で4兆0746億円と4兆円台を超え,その後,年間4兆円台を上下し,平成13年3月期に4兆

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8318億円であったのが,平成14年3月期には3兆9007億
円と激減し,平成15年3月期には4兆2378億円となった。b営業利益率(売上高に占める営業利益の占める割合)は,昭和41年11月期に10.1%だったのが,平成元年3月期には3.5%,平成13年3月期には1.6%,平成14年3月期にはマイナス2.4%,平成15年3月期には1.2%となり,次第に低下してきている。(乙10の1,2)c平成14年3月期の決算において,約1324億円の赤字を計上した。なお,その前後の被控訴人の純利益は,平成12年3月期が約423億円,平成13年3月期が約637億円,平成15年3月期が約288億円であった。(乙10の1)d株主資本利益率は,昭和41年11月期に10.8%だったのが,平成元年3月期には8.0%,平成13年3月期には2.4%,平成14年3月期にはマイナス5.1%,平成15年3月期には1.1%となり,次第に低下してきている。(乙10の1)ケ括弧内に記載の書証及び弁論の全趣旨によると,上記のような経済状態の中で,被控訴人が,雇用,賃金,退職金,年金等の各種制度について以下のとおりの見直しを行ったことが認められる。(ア) 地域限定社員制度の導入被控訴人は,高コスト体質の改善を掲げ,平成11年,春季労使交渉において,K労組に対し,貸金,賞与,福祉退職金,年金制度などの全面的な見直しを提案し,交渉を重ね,平成12年8月,地域限定社員制度(転居を伴う異動がない代わりに本給水準を1割ないし2割引き下げる制度)が導入され,被控訴人,主要分社,関係会社の従業員約7万8000人を対象に募集が行われ,約2万5000人がこれを選択し,該当者については約3万円から5万円,本給が引き下げられた。

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(イ) 特別ライフプラン等の実施
平成13年度に入って,新商品の開発増販を目指しながら,在庫削減,材料のコストダウン等のコスト削減の取組みを進め,更に,雇用構造改革の一環として早期退職者優遇施策(特別ライフプラン支援)が実施され,被控訴人,主要分社,関係会社の従業員約9万2500人を対象に募集が行われ,最終的に翌年3月末までに約1万1000人が退職した。同施策の実施に際し,被控訴人は退職者に対し,退職金に上乗せして,最大で年収の2.5年分相当(基準内賃金の40か月分)を支給した。また,同年末には,課長職以上の管理職の賞与について,同年の夏季賞与に比して15%の減額支給も行われた。(乙63ないし乙65)(ウ) 全社特別緊急経営施策の実施上記のとおり,平成14年3月期決算において,被控訴人が上場以来初の最終赤字を計上したことを受けて,同年には,全社特別緊急経営施策として,出張手当削減,超過勤務手当の割増率引下げ等が行われた。また,役員賞与ゼロ,役員年俸の30%以上のカット(役員の月次報酬は既に平成13年7月から20%カットされていた。),課長以上の管理職の年俸の10%ないし25%のカット,さらに労働組合員の賃金増額を凍結し半年の延期が実施されるなどした。(エ) 退職金制度,本件制度の抜本的見直し上記のとおり,被控訴人は,平成12年4月,被控訴人厚生年金基金の加算年金の給付利率を年7.5%から年5.5%に引き下げた。また,被控訴人は,平成14年4月,現役従業員に対する関係で本件制度を廃止し,同月1日付の退職者から,被控訴人厚生年金基金の加算年金の代わりに厚生年金基金第一加算年金(給付利率年5.5%,20年保証の終身年金)を,本件制度の代わりに厚生年金基金第二加

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算年金として市場金利連動型のキャッシュバランスプラン(終身年金
制度は採用されておらず,変動利率型で最長20年の確定年金であり,平成14年4月から当面年3.5%の給付利率で支給を開始している。)をそれぞれ導入した。その後,平成15年10月には,老齢厚生年金の代行返上に伴って,被控訴人厚生年金基金はK電器企業年金基金に組織変更され,厚生年金基金第一加算年金は企業年金基金第1年金(国債の利回りに連動する変動利率型の終身年金で,当面年2%の給付利率で支給を開始している。)に,厚生年金基金第二加算年金は企業年金基金第2年金に,それぞれ変更された。(乙68)(2)上記のとおり,被控訴人が,既受給者に対し,本件基本年金の利息相当分及び本件終身年金として支給する金額は年々増加している。そして,市場の貸出金利についてみると,長期プライムレートが,昭和41年に8.4%であったのに対し,昭和56年からほぼ一貫して低下を続けて,平成14年には1.94%となり,公定歩合も,昭和41年に5.48%であったのに対し,同じく昭和61年から低下を続けて,平成14年には0.1%と低下しており,本件基本年金の利息相当分に対する本件給付利率との間に大きい乖離が生じており,本件制度に関する被控訴人の負担は年々増大してきていると認めるのが相当である。また,市場での運用利回りについてみると,上記のとおり,貸付信託(5年)が,昭和41年に7.32%であったのに対し,昭和56年から低下を続けて平成14年には0.05%となり,定期預金(1年)が,昭和41年に5.5%であったのに対し,昭和52年から低下を続けて,平成14年には0.04%となり,新発10年国債についても,昭和47年に6.91%であったのに対し,昭和60年以降はほぼ一貫して低下を続けて,平成14年には1.27%となったというのであるから,控訴人らにとって,本件給付利率は,昭和41年当時であれば,市場での運用利回

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りより2.68%ないし4.5%高い運用利回りであったのが,平成14
年には市場での運用利回りより8.73%ないし9.96%高い利回りで運用していることになり,自分で退職金を運用した場合には到底得ることのできないような高利率での利息を取得しているということになる。他方,被控訴人の営業利益率についてみると,上記のとおり,本件制度の開始時には10.1%であったのに対し,平成13年3月期には1.6%に低下し,平成14年3月期にはマイナスとなったのであり,株主利益率についても,同様に大幅な減少がみられ,このような経済情勢の中で,被控訴人は,現役従業員の労働条件の低下を余儀なくされ,さらには,現役従業員との関係で本件制度を廃止し,本件給付利率よりはるかに低い利率での年金給付制度を導入したのであるから,本件福祉年金の既受給者と被控訴人ら会社の現役従業員との間には,年金の受給額等につき極めて大きな格差が生じていると判断される。従来と比較して市場での運用利回りが大幅に低下しているにもかかわらず,控訴人ら既受給者が何ら変わることなく上記のとおり極めて高利率での利息を取得することができるのは,被控訴人の存続と被控訴人ら会社の現役従業員の労務提供があってのことであり,そうであるとすると,上記のとおり,被控訴人の営業利益率が低下し,被控訴人ら会社の現役従業員の年金受給額との大幅な格差が生じている状況のもとで,控訴人ら既受給者の利益のみを維持し続けるということは,公平の観点からみても妥当な結論であるとはいい難い。また,これらの被控訴人をとりまく経済情勢,社会保障制度は,被控訴人に特有なものではなく,貸付信託等の運用利回りの低下を受けて,上記のとおり,年金資金運用基金や厚生年金基金連合会の運用利回りも大幅に低下しており,給付利率の引下げや解散をする厚生年金基金が急増しているというのである。そして,以上のことに,本件制度は,未だ公的な社会保障制度の整備が

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不十分であった時代に,従業員の退職後の生活の安定を図り,退職金の運
用先を提供する趣旨も含め,市場金利よりも若干有利な給付利率による年金を長期間に渡って継続的に支給し続けるということを目的とするものであり,現に,昭和41年に本件制度が発足した際の給付利率10%は,当時の長期プライムレート年8.4%よりも若干高めの利率であったことを総合すると,被控訴人において,控訴人らを含む既受給者に対し,従来と同率の本件給付利率を維持しながら本件福祉年金の給付を行うことが困難となるような経済情勢の変動があったと認めるのが相当である。また,被控訴人ら会社の現役従業員に対して予定されている年金の受給額は,本件福祉年金の既受給者との間で大きな格差が生じているというのであるから,そのことからすると,社会保障制度についても,被控訴人ら会社の現役従業員との関係で大幅な変動が生じていると認めるのが相当である。なお,平成16年度以降は,受給者の減少により,被控訴人が填補すべき額も年々減少することが予測されるのであるが(乙45),受給者の減少が生じるのは,被控訴人が現役従業員に対する関係で本件制度を廃止したことが原因であり,しかも本件制度を廃止した結果,現役従業員と既受給者との間に,年金原資を超えて受給できる金額について著しい格差が生じることが上記のとおりであるとすると,このことは,経済情勢,社会保障制度に大幅な変動があったという結論に影響を及ぼすものではないというべきである。(3)この点に関する控訴人らの主張について検討する。ア控訴人らは,本件規程が平成8年に改定され,その後に退職する従業員については本件給付利率が変更されたことから,それ以前に退職した従業員については本件給付利率を変更しないという決定がされたとして,そのような退職者については平成8年を比較の基準時とすべきであり,平成8年より後に退職した従業員についてはその退職時である本件契約

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締結時を比較の基準時とすべきであると主張する。
しかし,平成8年にされた本件規程の改定は,その時点における経済情勢の変動に鑑み,その後に退職する従業員については,本件給付利率を引き下げるということを内容とするものであったにとどまると考えられるのであり,それ以前に退職した従業員の本件給付利率が相当であるからこれを変更する必要性はないとの積極的判断がされたことを認めるに足りる証拠はない。また,上記改定により,平成9年3月21日以降の退職者については年9.5%,平成10年3月21日以降の退職者については年8.5%,平成11年3月21日以降の退職者については年7.5%と給付利率が改定されたのも,その当時の客観的情勢から適切と判断される給付利率を決定した訳ではなく,本件制度をできる限り従来と同一内容で維持するという方針,退職時期のわずかな違いで年金額が大幅に変更されるのも相当でないとの判断のもとに,段階的に給付利率を減らしていったににすぎないと認めることができる。したがって,上記控訴人らの主張は採用することができない。さらに,上記(1)(2)認定事実によれば,平成8年以降の出来事だけをとってみても,本件改廃規定が定める経済情勢,社会保障制度に大幅な変動があったということができる。イ控訴人らは,経済情勢,社会保障制度の大幅な変動には,被控訴人に関する経済情勢等の変動は含まれない旨主張するが,上記認定の被控訴人の営業状態の悪化等は,被控訴人固有の原因で発生したわけではなく,国内及び国際情勢の影響もその大きい原因を与えていたのであるから,この点に関する控訴人らの主張は採用できない。また,控訴人らは,被控訴人の平成14年3月期の赤字決算は,事業構造改革費用や保有株式の評価損の計上という特別な要因によるものであり,被控訴人は,その後V次的な大幅回復をし,豊富な余剰金を有し

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ている旨主張する。そして,甲7の1・2,甲22によれば,被控訴人
の平成14年3月期の決算は,売上高の大幅減少や価格低下の影響を受け,営業損失929億円,経常損失424億円を計上し,特別損失として雇傭構造改革や国内事業・流通部門の再編に伴う事業構造改革の費用1305億円,保有株式の評価損815億円を計上し,その結果当期純損失は,税引前2541億円,税引後(法人税調整額の差引)で1324億円であったこと,平成15年3月期の決算では,営業利益528億円,経常利益801億円,税引前当期純利益885億円,税引後当期純利益288億円を計上し,平成16年3月期の決算では,営業利益469億円,経常利益1052億円(受取配当金が増加した。),税引後当期純利益594億円を計上したことが認められる。ところで,平成14年3月期の決算では,事業構造改革の費用1305億円,保有株式の評価損815億円を計上しているが,平成14年3月期の決算では,既に,営業損失929億円が発生しているのであり,このことに上記(1)ク,ケの認定事実を総合すれば,当時の被控訴人は,高コスト等が原因で,慢性的な赤字体質に陥っていたのであり,本件制度の見直しを含め,被控訴人の構造改革は避けて通れない事柄であったこと,そして,それを実行したこともあって,その後の年度で大幅な回復を示したと認めることができる(乙76)。また,乙77によれば,被控訴人の平成14年3月期の決算では,赤字決算ながら,資本金2587億円に対し,資本合計が2兆5533億円あることが認められるが,乙77,乙78の1・2に弁論の全趣旨を総合すれば,被控訴人の純資産あるいは利益剰余金の大半は事業資産や投資資産に姿を変えており,必ずしもキャッシュが存在するわけではないことが認めらる。したがって,控訴人らの上記主張は採用することができない。控訴人らは,その他,本件利率改定後の事情を種々主張するが,本件利率改定後の事情は,上記経済状況の変動

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に関する認定に影響を及ぼさない。
ウ控訴人らは,本件制度のための被控訴人負担額が今後減少していくのであり,また,本件利率改定をした場合としなかった場合との差額は被控訴人の事業規模からみると大きなものではないのだから,本件利率改定を行う必要性はないと主張する。しかし,上記のとおり,被控訴人の負担額が減少していくのは,本件制度を廃止したためであると考えられるのであるから,今後の被控訴人負担額の減少を本件利率改定の必要性を否定する理由にすることは相当でない。また,被控訴人は,経費の節減のためにさまざまの施策を講じているのであり,その一つ一つによる効果は大きなものではないとしても,それを総合することによって経費節減の効果を生じさせようとしていると考えられるのであるから,本件利率改定による経費節減の効果が被控訴人の事業規模と比較して大きなものでないとしても,そのことは本件利率改定の必要性の程度を減少させるものではないというべきである。エ控訴人らは,現役従業員との間に年金受給額の格差が生じるのは,被控訴人の労務政策の変遷がもたらした結果にすぎず,その格差が何らかの法的効果をもたらすわけではないと主張する。しかし,被控訴人の労務政策に変更があったのは,上記認定事実によると,被控訴人の経済状態を含む経済情勢の大幅な変動があり,また,被控訴人をとりまく社会保障制度に大幅な変動があったことによるものであると認められるのであるから,そのような労務政策の変更があったことこそ,それは本件利率改定の必要性を基礎づけるものというべきである。オ控訴人らは,既受給者もかつては老後の生活保障も励みにして労務を提供し,被控訴人ら会社の利潤蓄積に貢献したところ,本件基本年金の

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利息相当分の受給は,その労務の提供の成果に対する還元という側面も
有していること等を理由として,現役従業員との格差を問題とするのは不合理であると主張する。しかし,現役従業員も被控訴人の業績に貢献しているうえ,控訴人らは,本件利率改定により利率が低下してもなお,市中金利,特に,長期プライムレートを大きく上回っており,その分,本件制度による恩恵を受けていると考えられるのであり,控訴人らの上記主張は採用できない。カ控訴人らは,経済情勢の変動を示す指標として,消費者物価指数等も重要な指標となるところ,消費者物価指数は平成8年以降極めて安定していると主張する。しかし,このことを考慮にいれても,上記(1)(2)に認定指摘した諸事情が存するのであり,本件改廃規定が規定する経済情勢,社会保障制度に大幅な変動が存するとの認定判断を覆すことができない。(4)以上のとおり,本件改廃規定が規定する経済情勢,社会保障制度に大幅な変動が存することが認められる。もっとも,上記のとおり,被控訴人は,本件改廃規定が規定する要件が認められれば,自由に本件規程を改定できる訳ではなく,本件利率改定内容の必要性,相当性を必要とすることは,事柄の性質上明らかである。また,本件利率改定に当たり,本件制度は退職労働者の福祉政策の一環として労働組合との協議のうえ発足したものであるから労働組合に対し理解を求めることが必要であるし,また,本件年金受給者は退職して労働組合員ではないから,不利益を受ける本件年金受給者に対しても,本件利率改定に対し理解を求める努力をする等手続の相当性が必要である。以下,この利率改定内容の必要性,相当性,本件利率改定手続の相当性につき順次検討することとする。2本件利率改定の内容の必要性,相当性について

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上記1で認定したところによれば,被控訴人は,業績低迷の対応策として,
被控訴人従業員に「キャッシュバランスプラン」を導入し,当面年3.5%の給付利率での支給が開始されており,本件基本年金の既受給者の受給額と現役従業員が退職後に受給しうる年金額との間に大きい格差が生じていること,従業員や取引先にコストダウン施策の協力を要請し,株主に対する配当減少も余儀なくされている一方,本件制度にかかる負担額が増大し,いわば,これら現在の従業員,被控訴人の取引先や株主の犠牲のもと,本件給付利率が高率を維持しているといっても過言でないこと,また,利率引下げ,解散をする厚生年金基金が急増していること,さらに,金融市場における利率,特に,平成14年当時の長期プライムレートと比較すると本件制度の給付利率と大きくかけ離れていること,そもそも,本件制度は,未だ公的な社会保障制度の整備が不十分であった時代に,従業員の退職後の生活の安定を図り,退職金の運用先を提供する趣旨も含め,市場金利よりも若干有利な給付利率による年金を長期間に渡って継続的に支給し続けるということを目的とするものであり,現に,昭和41年に本件制度が発足した際の給付利率10%は,当時の長期プライムレート年8.4%よりも若干高めの利率であったこと等を総合すれば,本件制度による給付利率を一律2%程度引下げる必要性があったこと,そして,引き下げ後の利率は,本件制度への加入時期に応じて,年5.5%ないし8%であり,一般金融市場における利率に比べ,なお相当程度高い利率であること等も考えれば,控訴人らの利益を著しく損なうものではなく,本件利率改定は相当な範囲のものであったと認めることができる。(したがって,将来,市中金利が本件給付利率と同程度かこれより高くなった場合は,本件給付利率も高く改訂されることが予想される。)。3本件利率改定の手続の相当性について(1)本件利率改定に際して労使協議がされたことは当事者間に争いがなく,乙55及び括弧内に記載の書証によると,本件利率改定に対する同意を得

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るために,被控訴人が既受給者に対して行った説明会等の手続は以下のと
おりであり,これにより,被控訴人は,本件利率改定につき既受給者の94.6%の同意を得たことが認められる。ア書簡の送付被控訴人は,平成14年4月末ころ,既受給者に対し,①被控訴人において本件利率改定をするに至った背景,趣旨を伝えるとともに,既受給者の理解を求める内容の書簡を,被控訴人のL社長(以下「L社長」という。)名で送付した。書簡については,その後も,②本件給付利率を一律2%引き下げることについての既受給者の理解を求める内容の被控訴人のM副社長(以下「M副社長」という。)名の書簡,③本件利率改定後の年金額の試算,及び本件利率改定に対する同意を求める内容が記載され,同意用の葉書が同封された被控訴人の労政グループ名の通知,④本件経過措置についての説明,分社・事業場・地区別説明会(以下「事業場別説明会」という。)の案内等が記載されたM副社長名の書簡,⑤同意した既受給者に対するM副社長名の礼状,⑥不同意者に対して再度同意を求める内容が記載されたM副社長名の書簡が送付された。(乙38ないし乙42,乙55)イN会定期支部総会後の会社説明会被控訴人の人事責任者は,同年5月ころから,全国35地区で行われたN会(被控訴人ら会社の定年退職者(定年扱い退職者を含む。)の親睦団体である。)の定期支部総会後に,本件利率改定について既受給者に対し直接説明し,理解を求めた。(乙8,乙56,乙57)ウフリーダイヤルの設置被控訴人は,同年5月半ばころから,既受給者からの様々な質問や意見に対し個別に直接回答するために,フリーダイヤルを設置した。エ事業場別説明会

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被控訴人は,同年6月末ころから,全国延べ81地区において事業場
別説明会を実施し,本件利率改定について既受給者に対し直接説明し,理解を求めた。(乙58ないし乙62,乙66)(2)括弧内に記載の書証及び弁論の全趣旨によると,本件利率改定に際して,被控訴人が控訴人らに本件規程等を以下のとおり送付したことが認められる。ア本件利率改定に際し,控訴人らをはじめとする本件福祉年金の既受給者から,被控訴人に対し,各人が退職した当時の本件規程を見せて欲しいとの要望が寄せられた。そこで,被控訴人は,原本が現存するものについてはワープロで作成し直し,原本が現存しないものについては現存する本件規程,労使の協定書や答申書,各種の社内通達など現存する他の資料を参考にして原本の内容を再現し,また,復刻版を作成するなどした。この復刻版の作成に際しては,若干の文字や送りがなの変更等を行った。(乙3の1ないし5)イまた,昭和59年10月1日改定の際には,預入限度額が退職金の70%以内から50%以内に変更されたことなどとの関係から,労使協定により経過措置が設けられたところ,本件規程の記載のみからでは経過措置の内容を知ることができないので,経過措置の対象となっていた既受給者に送付されることになる昭和61年10月1日改定及び平成2年4月1日改定に係る本件規程の復刻版には,分かりやすさの観点から第5条に括弧書きで経過措置の内容を付け加えた。同様の取扱いは,平成8年4月1日改定の際の経過措置についても行っている。なお,分かりやすさのため,復刻版の作成に際しては,「昭和65年」などと表記せず,平成の元号を用いた。(乙3の2,4,5,乙19の2,乙20)ウそして,被控訴人は,平成14年9月17日,本件利率改定の対象となった全ての既受給者に対し,前提となる事実3(1)の新年金証書の発送

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の際,各人の退職時に存在していた本件規程の復刻版(本文と別表)と
本件利率改定に伴い改定した新しい本件規程の別表も同封して発送した。(乙3の1ないし5,乙21(枝番も含む。),乙55)(3)上記認定のとおり,被控訴人は,本件利率改定をするにあたり,本件規程の復刻版を作成するなどしてこれを既受給者に送付したうえ,N会定期支部総会後の会社説明会や事業場別説明会で既受給者に対し本件利率改定をするに至った経緯を説明して理解を求め,これにより,被控訴人は,既受給者の94.6%の同意を得たものであり,本件利率改定の手続の相当性も認めることができる。4以上のとおり,本件改廃規定に基づく,本件利率改定は,有効であり,その効力が生じたことが明らかである。第4結論以上の次第で,控訴人らの請求は理由がなく,これを棄却した原判決は相当であるから,本件控訴を棄却し,控訴人らが当審で追加した請求も,理由がないのでこれを棄却し,当審における訴訟費用は,控訴人らの負担とすることとして,主文のとおり判決する。大阪高等裁判所第1民事部裁判長裁判官横田勝年
裁判官東畑良雄
裁判官植屋伸一

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(別紙省略)