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憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

竈の神・・・7

2022-11-12 19:16:56 | 竈の神  白蛇抄第18話

はやも、たちあがり、

それぞれのめどうに向かおうとする

二人に法祥は、遅れを取った。

当然、口入屋の男の顔も判らぬ白銅を

あないせねばならぬと、判っている。

「あ、私は・・」

おずおずと言葉を継なぐ法祥に

二人が動きを止めた。

「あ、私には、なぜ、銀狼は、塞ぎをしなかったのかと・・

竈の神は、法力もあり、銀狼は塞ぐことが出来なかったのだろうと

思うのですが・・・

お話を伺ってみれば、銀狼は、あなた方に自分の存在を知られたくない。

だのに、私がここにきて、銀狼と男のことを話すことができる」

法祥が腑に落ちないのは、判らぬでもない。

「それも、さっきの因があるということではないでしょうか?

憑りつく者 憑りつかれる者 正しくは憑りつかれたですが・・

同じ色のものは、見えない。気にならない、と、考えれば・・・」

「それは、例えば 私も一族であり、たまたま

憑りつかれずに済んでいただけで、

憑りつける相手でしかない・・と

銀狼に識別されたというような意味合いですか」

「そうですね。私たちは、次の銀狼がとってかわらないのであれば

銀狼を調伏することは出来るのです。

おそらく、その力だけを、感じ取って

恐れている、と、おもうのです」

「それで、あなた方に塞ぎをかけ

調伏できないのは、むろんですが

その力が無い者のうえに

憑りつかれたものだった存在は

他の憑りつく者によって干からびた蜘蛛の餌食のようなもので

歯牙にもかけない・・なるほど」

まるで、関藤兵馬のごときである。

八十姫は干からびた木乃伊に、もう見向きもしなかった。

「だからこそ、あなたは口入屋の男に近づけるのでは?」

それは・・・また、銀狼を成仏させるということであるのだろうかと、

法祥は、怖気を覚えた。

「犬神といえど、神。神殺しは出来ません」

いつのまにか、心の内に返答されていると、気が付かぬまま

法祥は、ほっと胸をなでおろした。

「だから、打つ手がないのですよ」

と、澄明がうすく笑った。

ーこの人は、どうしようもなく成ったら

神殺しさえ、辞さないー

法祥はきがついた事実に、もっと、恐ろしさを感じた。

命がけでことにあたる。

その覚悟の深さは、法祥には

恐ろしく思えた。



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