過激な描写になっています。苦手な方はスルーして下さい。 . . . 本文を読む
棹の先の欲情が解きほぐされると文治は小枝を見つめなおした。
裸身の下の敷物に鮮やかな血溜りがある。小枝の目が見えぬことがこの場合幸いというべきかも知れない。
女に仕立て上げられた小枝の悲しい痛みがそこで、はっきりと男をいとうている。
「小枝。お前は女になったんじゃぞ」とおりいっぺんの言葉でしか、小枝をなぐさめることができないまま、文治は小枝に着物をまといつかせ、小さな巾着袋をひろいあげた。
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文治はこれから、仕掛けたわなをみにまわると、小枝を炭焼き小屋におくりとどけた。「また、親父さんがでかけたら・・・」と、次の逢瀬を約束した文治に小枝ははいと、小さく答えた。。
これが、最初で最後になるかもしれない。その不安を不安でしかなくさせることは、文治が約束どおりに小枝をむかえにくることでしか、果たされない。いずれにせよ、三度か五度か。幾たびかの逢瀬の後に文治の「また、こんど」が未来永劫にはた . . . 本文を読む
小枝の変化にきがつかぬまま、幸太はいつものように焼き上げた炭を町の問屋に運ぶ。
幸太が炭焼き小屋をでてゆくと、それをどこでみていたか、待っていたかのように、文治が現れると小枝を抱き上げ、この前と同じように文治のねぐらに小枝をつれてゆく。それは、まるで、小枝の『女』を導き出してゆく道程そのもののように、荒々しく、せかれるものだった。
短い時の中で恋を燃焼させるしかない女は文治に息をのませるほどあ . . . 本文を読む
目覚めるといやな気分にとらまえられている自分がいる。文治は両手で顔をこすり上げ、その「いやな気分」を追い払う。
だが・・・。いやな気分・・・・。それがどこから、わいてくるものなのか、文治には、その答えは分かっている。
小枝を抱いてから・・・・。
朝はいつも、こんな調子で目が覚める。
小枝の境遇と初さにつけいって、文治がしでかしたことにせめぎをかんじている。
己のよくをはらすためだけに、小 . . . 本文を読む
そぞろ。小枝に出会ってからの文治の様子といっていいか。朝一番に罠を見回ると、小枝の炭焼き小屋が見渡せる尾根に戻る。尾根に戻って荷車がないと分かると小枝を連れ出し半日は小枝をかまう。
そうなると、罠に捕らえた小さな獲物は他の獣に食い荒らされる。小さな獣が血の匂いを恐れるためわな場を変え、改めて、わなを仕掛けなおさなければならない。少し、大きい獲物がかかっても、ときに罠を壊して無理やりに逃げることも . . . 本文を読む
「八たびになります」と、即座に答えをかえしてくる、小枝は文治との逢瀬を宝物をようにかぞえているのだろうとおもう。小枝のいじらしさに文治がかえせることは、己の欲情をたたきつけることでしかない。小枝の足を開き、小枝の鋭い場所に顔をうずめ文字通り甘い汁をすすりあげると、小枝のわななきがいっそう甘くなる。女である場所に男である物をおさめつくしてくれと小枝の声が文治を促す。おもえば、八たび。小枝を貫いたもの . . . 本文を読む
とたび・・・。十度。つごもりの音がなくなる十の字は男の縦糸と女の横糸がまっすぐに交わり恋をあけそめる最後の契りになる。
言い出しかねる別れを胸のうちに秘めた男の雁が、最後の小枝を抱くために衣を解き放させる。
小枝をはなしたくないといくどとなく、そそり立ってくる物ではてどなく、小枝を求める文治に小枝は終わりを見せ付けられる。
文治さんは・・・。もう・・・。
もう、小枝を迎えに来ない。
韋駄 . . . 本文を読む
それから、文治はもう、小枝の元に現れることがなくなった。小枝の確信はうつつのものになり、ただ、もと通りのめしいの小枝に戻るしかなくなった。
けれど、小枝は今までの小枝ではない。心にともされた明かりは今も小枝を照らしつづけている。
そんな小枝が身ごもっていることに気がつかされた。小枝の変調を懐妊だと解き明かしたのはほかならぬ幸太であった。
「いつ頃からかの・・・気がついておった・・・」幸太はそ . . . 本文を読む
しばしの、沈黙のあと、幸太は辛い宣告をつげる臍を固めるしかなくなる。「小枝・・・おまえ・・・はらんでおろう?」言葉はたずねているが、幸太にはひとつの確信がある。
それは、外の厠である。便壷から、肥えをくみ、わずかの畑にまきあげる。これは、幸太の仕事である。
そのときにも、きがついていたといっていい。
ここ、しばらく、小枝のさわりの痕をみていない。
そして、マタギ・・・。
幸太とて、男であ . . . 本文を読む
「小枝・・・・」一言声をかけたもののやはり、言葉はとまる。小枝がめしいでなければ、簡単に言える慰めが本当と言える言葉がのどの奥に止まる。
『なにも、おまえを弄んだ男なぞに、執心しておらずとも、ほんに、おまえを大切にしてくれる男は他におるわい』
身勝手な男を慕うのさえ、きにいらぬ腹立ちでしかないが、その男にいいように、なぶられ、犬、猫のように、子をはらまされ、あげく、まだ、そんなことに感謝しなけ . . . 本文を読む
板の間に頭を擦り付けていた小枝が顔をあげると、幸太に尋ねた。「おとっつあん?おとっつあんは、小枝が生まれてこなかったほうがよかったのでしょうか?」小枝が言おうとしていることは幸太にもわかる。
ここで、うかつに生まれてよかった。と、いえば、小枝は腹の子もそうであるというだろう。その言葉を吐き出させないために、生まれてこないほうが良かったといえば、小枝自身の命が否定される。親にうとまれる。いらないと . . . 本文を読む