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憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

七日七夜・・16    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:59:52 | 七日七夜    白蛇抄第4話
「是紀殿」白夜(はくや)は、首を振った。是紀に呼ばれて来て見ると、是紀は愛娘かなえが鬼に惑わされておるのを如何にかできぬかと言う。鬼に懸けられた妖術を解くのは、流石に、白夜しかおらぬという。「残念ながら。かなえさまは術に懸けられておるのではありませぬ」「な・・・」「本意で御座います」やはり、あの眼は正気であった。「ならば、諦めさせられぬか?」「それよりも、大きな理が動いております」「こ・・と・・わ . . . 本文を読む

七日七夜・・17    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:59:32 | 七日七夜    白蛇抄第4話
「命をかけて・・・・鬼が良いか・・・・・」主膳の元に行かねばならぬなら、童子と生きて行けぬなら死にます。その思い成就さすのはこれしかない。ただ一つの証の為にかなえは飛んだ。へたりと座りこむ是紀が見たものはかなえを受けとめる童子の姿だった。神王の定めがある故、かなえは死ぬ事もままならぬ。否が応でも、その定めの流れに引き戻す者が他ならぬ童子であるというこの皮肉な巡り合わせに是紀は手を合せた。「許しおれ . . . 本文を読む

七日七夜・・18    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:59:16 | 七日七夜    白蛇抄第4話
かなえが光来童子の元に行ったのを知らぬ海老名が朝になると血相を変えて是紀の所へやってきた。「た、た、た、たい、大変で御座います」こうなる事の予測は付いている是紀である。「ああ、何を落ちつき祓うて、大変な事で御座いますに・・・」「かなえが居らぬのじゃろう?」「はい。へっ?」間の抜けた返事が返すと海老名がまじまじと是紀を覗き込む。「どこに行きやったか・・知って・・おらるる・・のですか?」「・・・・」「 . . . 本文を読む

七日七夜・・19    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:58:59 | 七日七夜    白蛇抄第4話
大台ケ原の童子の居室である。擁き逢う二人が成す事はもう決っている。かなえの物をまさぐると童子も高揚した物を我が手でむずと掴んだ。だが・・・「どうなさいましたに」「わしの物は馬ほどの物であるに・・・」「構いませぬ」「かなえ」「女子の物はややを産みまするにそのぐらいのもの・・・」言うもののかなえも恐ろしいのである。「かなえ。やはり、成らぬ事じゃに、成らぬ事ゆえ・・・」童子の側でかなえは乱れた着物を脱ぎ . . . 本文を読む

七日七夜・・20    白蛇抄第4話 (追文)

2022-12-10 10:58:39 | 七日七夜    白蛇抄第4話
是紀は安藤白夜を呼び付けていた。「帰してくれるであろうか?」理が働くと言うもののかなえが約束を守るのであろうか?「光来童子は、判っております」「だろうか?」「で、無ければかなえ様が先に飛び降りいた時にもう、連れて行っておりましょうに」「・・・・」「かなえさまが命をおかけになったのでしょう。で、なければ、光来も諦めて居った筈です」「そう・・・なのか?」「殿がかなえをやらねばならぬかというた時に、青ざ . . . 本文を読む

七日七夜・・21    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:58:19 | 七日七夜    白蛇抄第4話
かなえは小さな小研ぎの刃物を懐に収め主膳の元に嫁いだ。青波・・・光来童子が使って居た小研ぎである。たった一つしかない童子の肌身に触れた物を手放す事は出来なかったのである。嫁いで三月、懐妊の兆候に気がついたのは海老名である。「と・・・まりましたかや?」「はい」嫁いでからあの闊達で海老名を困らせ果てたかなえが嘘の様に変った。 あの日・・・・。光来童子に押しやられるときりりとした顔でかなえは歩んで来た . . . 本文を読む

七日七夜・・終    白蛇抄第4話

2022-12-10 10:58:01 | 七日七夜    白蛇抄第4話
かなえは黙っている。かなえ自身は光来の子である事を願っているのに違いない。光来への恋を諦めた辛さに生きるよりよほど死んで光来への恋を成遂げたいのである。今更ながら命をかけおるといった是紀の言葉が海老名の胸によぎった。「かなえさま。生きて、生きて生きおおさねばなりますまいに」「童子・・・?」かなえはいつか同じ事を童子の口から言われた事がある。「は?どう・・?」童子、そう聞こえた言葉を海老名は口にする . . . 本文を読む

七日七夜・・・序    白蛇抄第4話

2022-11-27 11:02:16 | 七日七夜    白蛇抄第4話
只の死体でなかった。内伏した死体のその髪が金色であった。「面妖な」そう呟いて近づいた如月童子は、死体が女と判ると顔を見たくなった。話しに聞く外っ国の紅毛人である。思いきり蹴繰りその身体を転がした。見れば先程まで生きていたのではないかと思う程真新しい死人であった。大きく見開かれたままの瞳は、空の色に似ていた。「むううう・・」如月童子は死体を担ぎ上げると、森の中に入った。しばらく、歩くと頃合の良い窪地 . . . 本文を読む