植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

ヌルデの紅葉真っ盛り

2008-10-29 21:18:40 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
〔ウルシ科・ウルシ属〕
□ヌルデ Rhus javanica L
ヤマウルシ, コハウチワカエデ (イタヤメイゲツ)
の紅葉は,燃える火のようで, ながく見つめるには, 鮮やかすぎるほど強烈だ。
でも,ウリハダカエデや, ヌルデが見せてくれる紅葉は, 黄色みをおびた明赤色で,
近寄って眺めていたいデリケートな美しさがあり, ヌルデモミジとよばれる。

この葉に寄生するヌルデシロアブラムシの虫こぶは,古くから,五倍子(フシ)
という名で,薬や染料にされ, 枝を折ると, 粘った白汁(ヌル)がでる。

《性状》 高さ4~6mの落葉小高木。互生する羽状複葉が, 枝先に広がって, 柄と
ともに長さ25~40cm,葉軸の両縁には翼があるので,ヤマウルシなどの他種とは
明らかに区別できる。 小葉は 9~13個, 長楕円形, 短鋭尖頭, 基部は鋭形, 長さ
5~12cm,幅 2.5~6cm,縁に多数の鋸歯があり,下面は軟毛が密生して黄褐色。
花は夏,雌雄異株,枝先に多数の小花をつけ,花弁は5個,楕円形,黄白色,
長さ約 2mm。秋の核果は,扁球形,径約3~4mm,黄赤色, 熟すと白粉でおおわれ,
なめると酸っぱく, 塩からく, シオノミ, ショッパミ,シオカラの方言もある。

《味覚・利用》 ウルシの仲間だが, どうしたことか, ヌルデだけは, どこに触れ
ても, かぶれることが, ほとんどなく, 安心して若芽を食べられる。
春の新芽が, 葉を展開しはじめたときに, 摘みとって, 天ぷらにする。 熱湯に
ひとつまみ塩を入れてゆで, しばらく冷水にさらし, ゴマあえ, 辛子酢みそなど
で少量を味わう。 ◎塩っぱい実を,摘みとり,少量を野菜サラダに散らす。

《分布》 北海道,本州,四国,九州,琉球の平地から低山帯にはえ,台湾,
朝鮮~中国~インドシナ~ヒマラヤなどに分布。

《類種》Rhus trichocarpa Miq. ヤマウルシ:北海道,本州,四国,九州の山地
林内にはえる落葉低木。 南千島,朝鮮~中国に分布。ウルシアレルギーには免疫
がないので, かぶれる体質の人は, 注意が必要。

春の若芽を,熱湯に塩を入れてゆで,水にさらし, おひたしにすると美味だ,
と聞いたことがある。


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