植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

やや時期遅れのサルナシの実が採れた

2008-10-28 15:38:24 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
サルナシ (コクワ・シラクチヅル)

〔マタタビ科・マタタビ属〕

《味覚・利用》 野山のサルナシ(猿梨)の実には, おなじ属のキウイ・フルーツ
と共通する味覚があり, 果実は小さいが,果肉は質が緻密で, 味が濃厚。 果物と
しては, ボリュームがなく, キウイにおよばないが, リキュールの味は数段上。

◎春の新芽を, 葉をつけたまま摘みとって, あえもの, 煮びたし, きんぴらに。
新芽,新葉をてんぷらに。
◎果実は初秋から熟しはじめる。 タイミングを逃さず, 9~10月に摘みとり,
生食,砂糖煮,料理の付け合わせ,デザートなどにする。
マタタビのように果実のリキュールをつくる。 あわいオリーブ・グリーンから,
淡橙黄色などに色づき, かるいマタタビ臭と,酸味に,やや渋みのまじった甘口。

《性状》 落葉性木質のつる植物。 樹木や岩などにからんで昇り, 大きいものでは,
径10~15cm,高さ 30㍍mに達するという。葉柄は長さ 2~8cm,しばしば
淡紅色をおび, 葉は楕円形~広楕円形か,広卵形。短鋭尖頭,基部は円形か
浅心形,長さ6~10cm,幅 4~7cm,細鋸歯縁, 厚質, 上面は緑色, 光沢があり,
下面は淡緑色。

花は5~7月,白色5弁,径10~15mm,雄花の雄しべは, 葯が暗紫色。 両性花と,
雄花と雌花があり, 単性花と両性花が雑居する雌雄混株, 雌雄異株がある。
液果は広楕円形, 長さ 2~2.5cm,緑色→帯黄緑色。

北海道, 本州,四国,九州で,低山帯の林縁にはえ,南千島,サハリン,ウスリー
~中国~朝鮮に分布。
Actinidia arguta (Sieb. et Zucc.)Planch. ex Miq.

《類種》 Actinidia hypoleuca Nakai;A.arguta var.hypoleuca(Nakai)Kitam.
ウラジロマタタビは, 葉の下面が粉白色, 萼片がほぼ無毛の型。 本州(関東以西),
四国,九州に分布。 和歌山県・根来寺近辺で観察(1994年.4月.18日.)。

シマサルナシ (ナシカズラ) Actinidia rufa (Sieb. et Zucc.) Planch. ex
Miq.:本州 (紀伊半島,山口県),四国,九州,琉球の海岸近くの林縁にはえる
落葉性木質のつる植物。 サルナシに似るが, 花序や萼片に赤褐色の綿毛が密生し,
子房に毛があり, 葯が黄色い点で明らかに区別できる。

1994年.4月.22日. 山口県・萩市・虎ヶ崎で, 若芽を, 1994年.7月.12日. 奄美
大島・住用村で, 果実を採取。

最新の画像もっと見る