植物生態学者の見た「自然と山の幸」

刻々と自然は移り変わり,人工の景観が,自然の植生を破壊する。さあ!大変。せめて食べられる野生植物のすべてを次世代へ残そう

フユイチゴは,11月から実り始める

2008-10-26 10:45:27 | ワイルド・フードなどの料理,その他利用法
フユイチゴ

〔バラ科・キイチゴ属〕

《情景》 冷気が忍び寄る静かな夕暮れに, 京の町から北山を眺めていると,
薄暗い空の下, フユイチゴは今年も赤く熟れたかなあ, 山辺は冷えるから, ぶる ぶる震えているだろう。
明日は見に行こう, カケスに実を啄まれないうちに, などと想う。 暖帯北部の冬は, 冷えこみが厳しい。
ツバキの葉も, カシの葉も, 寒そうに見える。 フユイチゴの葉も赤褐色に染まって, 冬を迎える。

《性状》 つる性の常緑低潅木。 暖地の山地の木かげに多く, ミヤマフユイチゴと
おなじ地域にはえることもあるが, もうすこし南, やや暖かい低山地を好む。
茎は細く, まばらに細い刺があり, 地を這って, ところどころに根をおろし,
殖え広がる。
葉は円心形, 洋紙質, 円頭か, やや鋭頭, 基部は心形, 長さ幅ともに 5~10cm,
ごく浅く3~5裂, 縁に細鋸歯があり, 上面は濃緑色, 下面は短毛におおわれる。
花は8~10月,葉腋からでる短い総状花序に,数個がつき,径 7~10mm,花弁
は白色。 集合果は球形, 径 9~10mm,初冬に紅熟。

《味覚・利用》 やや甘みが少ない。すべてのキイチゴとおなじように,パフェに
盛り入れたり, カナツペのトッピングにつかうと美しく, フレッシュに味わえる。
さらし大根,野菜のサラダに, 散らしたり, 酢のものに盛り入れたり, ジュース
も, さっぱりした味で奇麗。

《分布》 本州(房総半島,新潟県以西),四国,九州。 暖帯の山地にふつうで,
南朝鮮~中国中南部, 台湾にも分布。
《学名》 Rubus buergeri Miquel

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