ウィーンわが夢の街

ウィーンに魅せられてはや30年、ウィーンとその周辺のこと、あれこれを気ままに綴ってまいります

バート・イシュルからのハイキング (2) ― フォイアーコーゲル

2012-10-29 00:13:16 | バート・イシュル
第2日目 フォイアーコーゲル  Feuerkogel

フォイアーコーゲルについて事前の知識は皆無でした。
ただORFが朝流しているオーストリア各地の山からのライブ映像に取り上げられているので、名前だけは記憶に残っていたのです。
2009年バート・イシュルを訪れていた私たちは8月19日この山に登ってみようと出発しました。




http://www.feuerkogel.net/uploads/media/Panorama_Feuerkogel_sommer_01.pdf

フォイアーコーゲル・ロープウェイのホームページにはいろいろなハイキングルートと所要時間が載っています。これは全体のパノラマ地図です (右端下がロープウェイの谷側駅。山頂駅から先はアップダウンの少ない快適なプラトーがひろがり、ハイキングにもそれぞれのプランでおもいのまま一日を過ごすことができます。もちろん冬は格好のスキー場となります。「売り」は雪崩 Lawine の危険がない安全なスキー場)

http://www.feuerkogel.net/


場所はエーベンゼー。
バート・イシュルからはÖBBで数駅、ほんの20分ばかりのところです。
ところが事前調査をおこたったため、エーベンゼーの駅としては、Ebensee Landungsplatz に降りなくてはならないことを知らず、一つ手前の Ebensee で下車してしまいました。次の列車を待つほど本数は多くはないし、まあ、初めての町だし、見物がてらと次の駅まで歩くことにしました。道はイシュラーシュトラーセをずっと湖方向に歩くので迷うことはありませんでしたが、出鼻をくじかれた感じ。30分以上は歩く羽目になったでしょうか。

Ebensee Landungsplatz からは、バーンホーフ通りに出て、トラウン川を渡ります。ここでハウプトシュトラーセ Hauptstraße に出ます (私たちが一つ手前の Ebensee 駅から歩いてきたイシュラーシュトラーセもここで名前をハウプトシュトラーセと変えます)。直ぐ次の角を左に曲がると Langbathstraße (L1297) になります。あとは再び道なりに歩いて行くだけです。

ロープウェイに乗ろうと知らない土地を歩いて行くときも、だいたいすでに遠くからロープウェイが山の腹を登って行くのが見えているので、ここまで時間のロスはしましたが、まったく迷いはありませんでした。



2009年8月19日撮影 フォイアーコーゲル・ロープウェイ谷側駅 (475m)

ようやくたどり着いたフォイアーコーゲル・ロープウェイの谷側駅。このロープウェイは1927年に出来ました。全長2,693メートル。山頂駅は標高1,584メートルで、1,109メートルのぼります。

ちなみに会社のホームページを見ると、2012年の営業は5月17日~10月28日、始発8:30~最終17:00の営業です。
シーズンオフにメンテナンスに入ると書かれていましたので、来年のシーズンについては、あらためて来年事前に確認されることをお勧めしておきます。



2009年8月19日撮影

山頂駅を出るとそこは山の上とは思えないアルムの光景で、牛がたくさん草を食んでいました。



2009年8月19日撮影 ハイキングコース

いろいろなコースがありますが、ここが初めてであれば、なにはさておき、アードラーフェルト・コーゲル山頂を目指します。異様な岩山で遠くからもその姿は目を引きます。山頂駅からおよそ小一時間の気持ちのいいプラトーのハイキングです。




2009年8月19日撮影 コース途中からアードラーフェルト・コーゲル Adlerfeldkogel を望む




2009年8月19日撮影 コース途中からロープウェイ山頂駅方面を振り返る
画像中央左より奥に見えているのが Traunstein トラウンシュタイン


歩くほどにまわりの山々の景色が姿、表情を変え、途中で何度もその光景に見とれては足が止まります。

ロープウェイ山頂駅から一時間ほどでアードラーフェルト・コーゲル山頂に到着


2009年8月19日撮影 Adlerfeldkogel アードラーフェルトコーゲル山頂 Europakreuz (1,707m)



2009年8月19日撮影 これは Adler ではございません

Europakreuz オイロ―パ・クロイツ
2006年にオーストリアがEU議会の議長国をつとめた(1月1日~6月30日)ことを記念して計画され同年6月23日に完成、設置されました。
アイデアを出したのは Höhere Technische Bundeslehranstalt Wels 州立ヴェルス工業高校で、生徒たちが作成しました。
十字架の高さは5メートル。ひとつひとつがサイコロ状の立方体を組み合わされてあります。各サイコロはEU参加国を象徴し、すべてが同じ形で同じ大きさです。中にはそれぞれの国の石がおさめられていてその国の独自性を示しています。
ドイツの石はベルリンの壁に使われていたもの、オーストリアの石はブルゲンラント州のものです。
オーストリアのサイコロが十字の中央に配置され、他の国々はアドラーフェルト・コーゲル山頂から、その国の首都までの直線距離にしたがって時計の文字盤状に配置されています。


さて、このあたりにはもちろんレストランはありませんから、そろそろお昼という方は今来た道をもう一度ロープウェイ乗り場の方に向かって帰ることになります。
したがって往復で2時間半くらいは見ておいた方がよいかと思われます。



資料写真 Berggasthof Edelweiss 
山頂駅に近いホテル・エーデルワイスのテラスは食事時のせいもあって人であふれかえっていました

Fam. Neubacher  Feuerkogel 13、4802 Ebensee
Tel.: +43 (0) 6133 5490  Fax: +43 (0) 6133 5490–30
edelweiss(at)feuerkogel.at
www.feuerkogel.at

このホテルもホームページを見ることができます。
フォイアーコーゲルが日帰りのハイキングとして人気があるのみならず、こうして設備の整ったホテルに宿泊して、冬ならもちろんスキーでしょうが、夏も何日も過ごして長時間のトレッキングに挑戦することも可能なくらいバリエーションが豊富な場所だと分かります。
フォイアーコーゲルは最初に掲げたパノラマ地図で分かるように、広大な Höllengebirge ヘレンゲビルゲ (地獄の山という意味です) 山塊の端っこに位置します。ラックスと同じように Kalkalpen (石灰岩からなるアルプスという意味です) なので、余り木々も生育しない、白い岩肌の山々です。このヘレンゲビルゲの東にトラウン湖、西に Attersee アッターゼーの湖が位置しているので、そちらの方まで歩いていくルートもあるようです。




2009年8月19日撮影 Berggasthof Edelweiss、右端にロープウェイ山頂駅、背後に Traunstein


食事のあと、私たちはもう一度、今度はこの山からダハシュタインを眺望する良い場所をもとめて歩きだしました。
3年前のことですから記憶の限り思い出すと、確かにそれらしい山を遠望することは可能でしたが、当時の写真を整理しても、ダハシュタインのここからの画像は残っていないので、シャッターを押すほどではなかったのかも知れません。

小一時間歩いて、そろそろ帰宅モードに入るかとなったころ、トラウン湖に近い山小屋レストランを見つけましたので、そこでコーヒータイムをすることにしました。



2009年8月19日撮影 Kranabeth Hütte



資料写真 Kranabeth Hütte
ロープウェイの山頂駅から10分ほどの山小屋クラーナベト
上の実際の写真と撮影方角が変わるだけでずいぶん見た目の印象が変わりますね
こちらの資料写真で見ると建物の後ろ側、上の写真で建物の左側にテラスがあり、眼下にトラウン湖を眺めながらコーヒータイムをいたしました

Kranabeth Hütte  Feuerkogel 9、 4802 Ebensee
Tel.: +43 (0) 6133 40 519
kranabethhuette(at)traunseehotels.at
www.kranabethhuette-feuerkogel.at



2009年8月19日撮影 フォイアーコーゲルから眼下に見えるトラウン湖


補足

Rieder-Hütte (資料写真) まではロープウェイ山頂駅から片道2時間ほど

Riederhütte
Tel. +43 (0) 676 73 60 535
4802 Ebensee
riederhuette(at)googlemail.com
www.riederhütte.eu

また Höllengebirge を縦走するコースは所要時間7時間だそうです




私たちはロープウェイでフォイアーコーゲルを降り、今度は少しエーベンゼーの町を散歩することにしました。




2009年8月19日撮影 Traunsee トラウン湖と Traunstein トラウンシュタイン (1,691m)

その特異な形から写真撮影の格好のモチーフにされるこのトラウン湖東岸の1,691メートルのトラウンシュタインは、空気が澄んでいるときには150km離れたところからでも見分けられ、ザルツカマーグートのランドマーク、番人と呼ばれます。






資料写真 エーベンゼー強制収容所跡

オーストリアが1938年ドイツに併合されてエーベンゼーはオーバードーナウ・ガウ (Gau はナチスの行政区画で大管区などと訳されます) に編入されました。
戦争末期の1943年11月エーベンゼーに強制収容所 ( Konzentrationslager ) がマウトハウゼン強制収容所の付属収容所として建てられましたが、名前はプロジェクト・セメントと偽装されていました。建設の目的はドイツ北部ペーネミュンデにあったロケット実験施設を敵の空爆から安全な地方に移すことでした。
1943年5月6日から1945年5月までの間にエーベンゼー強制収容所で死亡した囚人は8,745人にのぼりました。1945年5月6日に収容所はアメリカ軍によって解放されました。
 (注) Mauthausen マウトハウゼン強制収容所はリンツの東15kmにあり、今日のオーストリア国内に存在したナチスの強制収容所としては最大規模でした。1938年8月8日からアメリカ軍によって解放される1945年5月5日まで存続しました。


私たちは最初に書きましたように何の事前知識もなくフォイアーコーゲルに出かけたので、このナチス時代の強制収容所の存在についても全く知りませんでした。次回あらためて訪れようと思います。

歴史記念館のホームページ
http://www.memorial-ebensee.at/

Beachten Sie die unterschiedlichen Öffnungszeiten vom Museum im Ortszentrum (Kirchengasse 5) und der Stollenanlage bei der KZ-Gedenkstätte. Die Entfernung zwischen den beiden Orten beträgt 3 km. Der KZ-Friedhof ist ganzjährig zu besichtigen!
「町の中心 Kirchengasse 5 の資料館、ならびにKZ(強制収容所)記念施設の坑道施設の開館時間については各自でご確認ください。二つの場所は3kmほど離れています。KZ墓地はいつでも訪れることが可能です。


ヨハン 2012/10/18


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