自称・他称デブさんからのリクエストです。
『奇跡の ぎっくりデブ』
主人公は今年で青年団を抜けるM君である。
つまり、彼は団長と同級生となる。
青年団最年長は この2名で、何が起ころうが今年で青年団としてのお祭りは最後となる。
他の区に比べれば比較的 西区はデブと呼ばれる体型の人が少ない。
そんな中、西区の横綱ツバサを猛烈な勢いで追い掛ける男がいる。
それが、このM君だ。
音頭取りをやっても、お箱をやっても、横綱ツバサと見間違うくらいに成長した。
このままいけば、保存会に入る頃には東西両横綱揃い踏みになりそうだ。
夜勤持ちのM君は、他の人より練習時間が少ないが上手く時間を作り 最後のお祭りに向け頑張っていた。
そして、稽古上げ
まさかの悲劇が彼を襲う。
突然のギックリ腰で、神明神社中央で倒れるM君。
まったく動かない。
これは救急車を呼んで病院に行く事になる。
偉い人や酔っ払い達が大騒ぎする中、それと違う選択をする人がいた。
魔法使いのスナオさんだ。
この超人ユージさんもスナオさんの魔法で幾度となく助けられてきた。
数年前、お祭り当日の腰イタ病ですら魔法でチチンプイプイと何とかしてくれた。
そして次の日、この超人ユージさんは、お箱をブリブリ振っていた。
だから、青年団顧問としての選択はチチンプイプイしてもらう事だ。
救急車なんか、その後で良い。
~という、少ないであろう お祭りに出れる可能性を信じてスナオさんにチチンプイプイしてもらい、M君は救急車で運ばれて行った。
25日(土)朝
団長に『M君から連絡あった?』と聞くが、まだ無いらしい。
少し心配だが、M君本人に任せるしかない。
そして
残念だがそのまま26日(日)になってしまう。
無理かと思ったが
普通にM君がいた。
魔法のおかげだろう。
『大丈夫か?』
『はい、何とか。』
『やれる事は全部やれ。』
『はい、ごっつぁんです!』
それくらいの会話をしてお祭り2日目が始まる。
以前、お祭り本番にしか発動しないパワーがあると話した事があるんだが、M君はその『ハイパー』と呼ばれるパワーの片鱗が出ていたのであろう。
しかし、最後の最後まで
『ごっつぁんです、お箱やります。』とは言わなかった。
晩宮、宮入り前
団長は、M君と同級生お箱をやるはずが、変更も仕方なく副団長と準備をしだす。
この超人ユージさんは衣装を着た団長に
『まぁ、残念だが仕方無いね、とにかく頑張れ。』的な会話をしたと思う。
『奇跡のデブ』はそんな残念な話で幕を下ろ…す…
……わけがない!
M君、まさかの復活です。
副団長の衣装を脱がし、M君が着る。
『出来る?大丈夫?』
『はい、出来ます、ごっつぁんです!』
そして、同級生コンビで今年の西区の最後のお箱を見事に振り切った。
諦めていたから、団長もビックリしたらしい。
とにかく良かった!
共に練習をしてきた同級生と最後に振れるって、素晴らしいし羨ましい。
実は、この超人ユージさんは青年時代に同級生とペアを組んでお箱をやった事がないんだ。
波乱万丈なM君だったが、本当に良かった。
ちなみに、稽古上げの時
倒れたまま動けず涙を流していたM君だが
あれは、悔しさからでなく、ただ痛くて泣いていたらしい。
大人のくせに、痛くて泣いてたらしい…
大人のくせに…