英国の中央銀行であるイングランド銀行は6日の金融政策決定会合で、金融市場に大量のお金を流し込んで景気を下支えする「量的緩和」の拡大を決めた。拡大は2009年11月以来約2年ぶりで、欧州の政府債務(借金)問題が深刻化した今夏以降では初めて。
この日の決定で、市場に流すお金の量を現在の2千億ポンド(24兆4千億円)から750億ポンド(9兆1500億円)上乗せして2750億ポンド(33兆5500億円)に引き上げた。政策金利の年0.5%は据え置いた。
イングランド銀は声明で量的緩和を拡大した理由として「世界的に景気拡大が減速している。ユーロ圏の一部の国の財政問題や金融問題に伴い、金融市場に問題が広がっている。こうした世界経済の緊張感が英国経済への脅威になっている」と説明。ユーロ圏の債務問題が、貿易で結びつきの強い英国経済に悪影響を与えるおそれを指摘した。
英国は4~6月期の経済成長率が0.1%とほぼ横ばいで、景気の減速感が強まっている。足元のインフレ率は前年比4.5%とイングランド銀が目標としている2%を大きく上回るものの、景気刺激策を優先すべきだと判断した。
イングランド銀の決定を受け、オズボーン英財務相は「中小企業の資金繰り問題に関連して追加策を検討する」と述べ、量的緩和を側面支援する姿勢を示した。
08年の金融危機後、イングランド銀は量的緩和に突入。09年3月の750億ポンドから始め、段階的に積み上げてきた。
一方、欧州中央銀行(ECB)は6日の理事会で、主に欧州の銀行が発行する担保つき債券「カバードボンド」を400億ユーロ(4兆800億円)まで買い入れる方針を決めた。銀行への資金供給を増やす手法の一つで、09年にも実施したことがある。政策金利は現行の年1.5%で据え置いた。(ロンドン=有田哲文)
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