玉川上水の木漏れ日

 ワヤン・トゥンジュク梅田一座のブログ

■工場なホテル

2015年11月07日 | 出張
今日は神戸でジャウクの講座、行けなかったけど、どうなっただろうか・・・?

今週はまた上海だった。
先日、ある読者とおぼしき人に、頼むからシリーズはやめてくれ、飽きるし、とか言われてしまったので、そうかあ、とおもい、今回から一話完結にすることにします・・・。

テーマを絞るのはそれなりに難しいけれど、今回の上海で一番ユニークだったのは、ホテルである。
以前から機会があれば一度泊まろうとおもっていたホテルだけれど、世界のデザインホテルのベスト200に選ばれてもいる。
ホテル内には、一応、No Photoの表示はあったけど、みんなそれなりに撮っているし、最低限撮っておくか、という感じ。
ブランドを気にしているのか、ゲストのプライバシーを気にしているのか、たぶん両方かもしれない。こういうのも次第に常識になっていくことだろう。常識は通信メディア等の発達によって、だんだん変わっていくのだ。
なので、文字で検索されて追求されるものなんなので、ホテル名は明かさない。


ともあれ、これが外観です。
どうみても古い工場風の建物にしか見えない。実際、古い工場の構造を補強し、内装と設備だけ新規に改修したらしい。リノベーションを隠すのではなく、売りにしているところが、エラい。その方が経費もかからないしユニークなのだ。


ボロい。最初、入口がわからず、不覚にも一周してしまった。
窓やガラスは後からはめられたとおもわれる。


そのエントランス。自動ドアはどこにもない。すべて手動。


2階の踊り場から見たフロントカウンター。
柱を鉄骨で補強してある。日本の耐震だとこういうのは無理だ。



ライブラリーバーから見たフロント。柱とかむき出しだ。


部屋の前の廊下と階段。怪しい雰囲気だ。


で、部屋はこれ。衛生的だし、不備はない。水もダーターだった。
いろんなタイプがあるけど、僕の部屋はケチったせいか一番小さい部屋だった。



シャワーブース。無造作だけど、別段問題ない。


部屋以外は、ライブラリーのあるバーとカフェレストランのみ。
レストランは、どうも名のあるシェフの監修らしい。たしかに美味しかった。そう、今回も中華はなし。なので、胃はもたれずに済んだ。
レストランは、大きなガラスで通りに面している。日本のホテルならこういうのを嫌ってすぐにアイレベルに目隠しを入れたりするが、その必要は全然ない。これで十分開放的だ。
で、一方は中庭にも面していて、テラスのようになっている。不幸にも雨でなければ、人気の席だろう。

そして、いまどきお決まりのルーフバー。雨ではしょうがないにしても、これはテッパンだ。プードンの高層ビルも近くに見えている。
それにしても、ここは本当に上海だろうかとおもってしまう。


カジュアルな雰囲気で、朝食など、余計な中華などない。
コーヒーとクロワッサンは申し分ない。これでいいのだ。



上の窓は、客室の雨戸。向かいの部屋が見えてもおかまいなしの設定だ。
そういうのが気になる人は泊まれない。



滞在中は雨で営業していなかったけれど、晴れていれば気持ちいい環境だ。


緑に囲まれた席も珍しい。昼でも使えそうだ。


最近は東京でもホテルが足りず、ほとんどはインバウンドの増加の影響だが、それによって料金も高くなっているし、出張のサラリーマンや東京観光に来る地方の人などが泊まるところがなく困ったことになっている。
この調子では、オリンピックまでにますます不足になる勢いだ。

実際、64年のオリンピックのときも、ホテルが足りず、簡易民宿、いまでいう「民泊」のようなものも導入された。要するに、法律で認められた宿泊施設ではなく、民家に泊まる式のお目こぼし脱法的宿泊なのだ。
当時、それに立候補した豆腐屋や大工の家など、英語もできないのに、いきなり外国人が来たりしてたいへんだったらしい。これも異文化交流というものだろうか。当時は儲けというより、困っているお国のために、という意識だったろう。
今回も似たようなことが起きる可能性がある。

その前に、ということで、バックパッカー用の安宿も出来ていて、本郷辺りでがんばっている小さな宿を喰い始めている。「エコノミーホテル」というらしいが、ただ英語にしただけじゃないか、ともおもうけど、違うものに聞こえてくるから不思議だね。そういえば、那覇の牧志裏には「高級安宿」という看板があったっけ。

で、それに加えて、こういうリノベーションやいまは世代交代で下火のユースホステルのようなものが復興する可能性があるのだ。法律の整備も必要だけれど、それを越えて進むのが民活というやつだ。
そう、だから、リノベーションこそ、その考え方やデザインの方向性が大切になるのだ。そういう意味では、今回のホテルはある種の参考にはなった。
いま、ひとつ頼まれている企画がそういうタイプのもので、単純なそれらの延長では面白くないので、そこに加えた新しい企画を提案した。詳細はまだ開かせない。そのうちね。

これからもいろんな微調整が進むことだろう。まだまだ日本と東京の観光立国はままならない。(は/177)

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