明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

トランプのイラン核合意離脱と北朝鮮

2018-05-10 15:57:34 | ニュース
トランプがイラン核協定から離脱すると宣言した。途端にイスラエルがシリアにゴラン高原からミサイルを打ち込み、何人もの死者が出たとニュースで報じられている。サウジもイランが核兵器を持てば自国も核武装すると明言した。トランプとキム・ジョンウンが6月に会談する直前になって急にキナ臭くなってきた中東問題、原因はまたしてもトランプである。キム・ジョンウンは習近平と2度目の会談で何を話したか分からないが、そのタイミングで中東の緊張が高まるように仕向けた意図は何なのか。トランプのやり方は「逆の方向へ煽っておいて、最後の土壇場で見事に収める」という、彼一流のビジネスモデルである。北朝鮮はアメリカとの歴史的会談を前にして「一抹の不安」を察知して習近平の援助を求めた、という見方も出来る。とすれば、トランプは北朝鮮を中国の方に押しやって「会談を喧嘩別れ」にする算段なのかも知れない。イラン核合意からアメリカが離脱するということは、国際的合意をアメリカが自ら破るということでもある。アメリカは悪者になるつもりなのだ。

これが会談直前に行われたということは、アメリカ側は本心では北朝鮮とは和解するつもりはない、ということを暴露したとも言える。当然、北朝鮮は核兵器を廃棄せず、拉致問題も解決せず、南北融和だけが進められて「むしろ韓国が北寄り、つまり中国寄り」になってこの騒動はケリが付くのではないか、というのが私の予想である。つまりアメリカは北朝鮮にミサイル攻撃を仕掛けるように部隊を展開するが、中国に「ミサイルを撃ったら中国が相手になる」と威嚇されて睨み合う、という「新段階に入る」ことを意味するのだ。戦いは韓国・北朝鮮からアメリカ対中国へと主役が表に出てきて、緊張感が高いまま「じっと推移する」方向へ行きそうな気がする。そして北朝鮮は核廃棄を「表向き」発表することで「国連とIAEAの承認」を得て、貿易の再開と経済的な南北融和を進めることが出来るというわけである。一方、アメリカと日本は悪役になって「東アジアから弾き飛ばされる」という図式である。

だがトランプは安倍とは違って数段外交能力があるから、中国とは一層「密接にビジネス展開を進める」だろう。戦争と経済は別なのである。仲が悪いのではなく、実際の相手の国力を見て「中国と組むことがアメリカの利益になる」と考えているのだ。そして安全保障を棚上げして緊張状態を維持しながら、自国の経済圏を「自立の方向」に持っていくつもりではないだろうか。それは世界で唯一の「消費大国」から、輸出も輸入もバランスの取れた「お金が上手く循環する国」へと変貌させることがトランプの目標である。アメリカは一部の超金持ちが全体の7割の貧困層を食い物にする「荒れた国」である。金持ちが稼いでいるのは「アメリカ以外」の国家からであり、アメリカは今や諸外国の草刈り場と化している。五大湖周辺のラストベルトから支持されて大統領になったトランプは、アメリカを1950年代の「活力ある裕福な国家」に戻すために頑張っているのだ。それはいま裕福になりつつある中国へ「自国製品をガンガン輸出して儲ける輸出大国」に再び返り咲くことに他ならない。もちろん今でも輸出大国であることには変わりないのだが、Amazonにしてもアップルにしても結局はアメリカを主要な市場とは考えていない。ドルを使って世界から儲けてはいるが、雇用と利益はアメリカ国内には還元されないのである。本当は、「労働者であるアメリカ国民」が儲かるようにしなければいけない。だがそれを大声で言ったら「みんなに警戒されてしまう」ので、目くらましで外交的失敗をして世界から「口出しはするな」というお墨付きを貰って、国内のことに専念出来る体制を取ろうとしているというのが私の見立てである(田中宇の国際ニュースを読みながら私が考えた)。果たして北朝鮮との会談がどうなるか。CVID(不可逆的完全核廃棄)なんて夢物語が「何の意味もない」ことをイランの一件で自ら証明してみせたトランプは、すんなり北朝鮮から信用されるとは考えられないではないか。

私は今度の米朝会談は、結局物別れに終わると考えている。

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