明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

現金の無い社会

2015-08-23 11:10:22 | 今日の話題
今現在日常的に使っている現金を日本国内から無くしてしまう、という提案である。特に困る事は思いつかないが、メリットは色々と考えられる。では早速試してみよう。

1. 日本国の独立機関として日本国税庁銀行を設立する。未来銀行でも何でも名前はOKだが、一般銀行との混同をさけるため明確にした。監督官庁は国税局だ。日本国民全てに口座を一つずつ作成する。加えて企業の登記ごとに一つ作る。法人格を含めて、お金を使う可能性のあるものすべてに口座を振る。いまは海外でもインターネットでモノを買えるので、日本で商売をする企業も口座をもつ。勿論日本企業の海外支店も作る。とにかく出と入りの両方を作る。

2. いままでの銀行はそのまま残す。口座もいくつ作っても構わないが、全ての出入りは国税庁銀行口座に同時に記録するので、結局1つに集まる。いまでも原則使う人1人が誰かということはわかっているのだが、厳密ではない。今回は1人1つなので明確だ。銀行口座を使う人主体の共通口座に集約する。窓口と金庫みたいなもの。

3. 実際にモノを買ったりサービスを受けたりしたら、税金に必要な科目・品名を付加し、企業・店舗の番号を付けたお金の入出金履歴を全部、完全な形で窓口銀行と国税庁銀行口座に送信・記載する。山田さんが住友カードを使って三越で服を買うが自分用である、という具合だ。ローンやクレジットは借入科目であることは従来通り。

4. 入金から出金・送金・利息・ローン・贈与・相続、面倒な青色申告は全部プログラムで計算し、正月のお年玉から年の瀬の社会鍋に至るまで、一点の不明も無く記録する。赤い羽根募金もコンピュータ処理をする。なにもそこまでやらなくてもと仰る人がいると思うが、全部やるから信用できるのであって、中途半端ならやらないほうがいい、面倒なだけで効果がないから。ちなみに企業は1円であっても記帳する、それが義務である。会社の帳簿も大会社から個人商店まで、やることは同じだ。当然、あらゆるお金に関する問題が解決する。使ったお金がどっかへ行ってしまう事が無いので、必ずどこかの誰かの口座に入る。例えば政治家の疑惑の金、なんてものは存在しない。調査も不要だ、つまり、ちゃんとしたお金でなければ「使えない」のである。素晴らしいではないか。

5. つまりもうお判りの通り、脱税が出来ない。会社の経理は帳簿をつける代わりに、相手の登録番号と仕訳の科目の確認だけである。帳簿は国税庁銀行ホームページからダウンロードする。常にお金は相手がなければならないのだから、相手のない入出金はあり得ないのである。個人も番号を持っている。A社から払われたお金はB社の入金になるが、「両社の帳簿」に同時に記帳されて処理が終わる。払っただけ受け取っただけの別々の処理ではなく、両方でワンセットなのだ。漏れもダブりも無い。日本全国が一つの企業のような大帳簿を考えるとわかりやすい。

6. 即ち、何一つ記載漏れがない、ということは、悪い事が出来ないということである。悪いことを考える悪人は浜の真砂ほどにいる、というのは石川五右衛門の説だが、それほどじゃなくても確実にいる。だから何が起きても不思議ではないが、国税庁銀行の自分の口座に正規に入金されてないと「自分のお金にならない」のである。しかも「こっそり」使えないので、これを突破するのは相当難しい。理論的にはコンピュータにスキルがあり、海外から模造美術品を高額で買う、とかしないとムリだろう。何しろ裏金というものがありえないのだから。

7. おまけでいうと、お札を作ら無くて良いので、造幣局はなくて良い。これは結構な経費削減になる。(たいしたことないか)

8. 税金はコンピューターで自動計算するから税務署の事務員は不要だ。税理士も節税対策を教える、何て事はもう流行らないだろう。脱税は基本的に不可能だから、Gメンも不要である。その代り、売買の実物確認が重要であるが、何処から何処へお金が行ったか簡単にわかるので、それほど難しくない。

9. 脱税がなくなる上に、地下マーケットといったダーティーな世界も存在できないから、税収も上がる。脱税だけで100億くらいはあるんじゃないか、わかんないけど。まあ脱税なんだからわかんなくてあたりまえです。とにかく、使えないお金なんて何の意味もない、寄付もできないし。ようするに、まっとうな利益でしか使えないのである。

10. タンス預金など出来なくなる。ヘソクリもなし。愛人にお手当もダメ。呑み屋で奢るのも贈与である。勿論オレオレ詐欺などは送金すら出来ない。少々世知辛いが、悪い事する奴から自分の正当な利益を守るためには、我慢も必要である。

メリットはもっと出てくると思うが、もうお判りのちょっと贅沢をするというお得感が、苦しい生活の合間に手にする庶民のささやかな喜びだとすれば、現金を無くすのはまだまだ遠い未来の夢かも知れない。或いは色々考えた末、少々の悪事には目をつむり、または、自分も少しは悪いことをして良い思いを満喫したいとの人間の欲望が勝って、現金をなくす案はボツになるかも知れない。そうならない事を私は祈るが。

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