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明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

日曜日の女子ツアー「エリエール」は、久々に緊張感溢れるいい試合だったし、とても面白かった

2016-11-21 21:00:02 | スポーツ・ゴルフ
面白さその(1)シード権争い

賞金ランク50位の茂木が予選を通り、51位の香妻琴乃は予選を通らなかったが、52位の藤本麻子は予選を通っている。ここで茂木は藤本麻子を突き放さなくてはならないのだが、藤本麻子はど根性を発揮して17番でイーグル、18番でバーディと逆転、茂木を抜きさって来年のシード権を勝ち取った。凄まじい執念である。この畳み掛けるような追走劇の圧巻は、17番のイーグル奪取に現れた。10mのロングパットを祈るような気持ちの中で打ったボールは、長い長い時間をかけてカップに転がり込んだ。その瞬間、藤本麻子の見せた笑顔は間違いなくこの放送のハイライトの一つである。18番をバーディで終えてロッカーに戻る通路の入り口で、誰か知人と抱き合って、熾烈なシード権獲得の戦いを「勝って」終わった喜びを噛み締めていたが、それが5~6分もずっと続いたのを見て、「一つのゴルフという賭け」に全力を尽くして戦った者にしか分からない、深い満足感を私は感じた。これはスポーツの持つ達成感と一種不思議な爽快感との重なりあった、スポーツでしか得られない満足である。これだけでもチャンネルを合わせた価値があった。一方、カメラは無言で立ち去る茂木の姿を映し出すことはしなかった。それは茂木にわずかでも残されたプライドへの、武士の情けである。非常識と言われるテレビマンにも、配慮はあるのだなと思った。

面白さその(2)比嘉の追走は、恐ろしくハイレベルなマッチレースに突入した

朝一番からバーディで発進した比嘉に対して、テレサも4連続バーディで押し返す。しかし奇跡の復活は新しいヒロインを生んだ。抜群の飛距離と神がかったパッティングの上手さを合わせ持つ比嘉は、同時に精神的な面でどの様な場面でも動じない「ウォーリアー=戦闘者」なのだ。アニカソレンスタムが作ったLPGA記録の21アンダーを破るテレサの前に立ちはだかるのは、ひたひたと差を縮めてくる無言の刺客ではなかったか。20m以上あったかと思うカラーからのロングパットを、当たり前のように決めてテレサを慌てさせ、最後の18番、バーディを取って5打差あったテレサに1打差に追いついた瞬間は、誰しも「とうとうやってくれた!」と大興奮し、歓声と拍手はしばらく鳴り止まなかった。比嘉は間違いなく「持っている選手」である。ドラマのお膳立ては整った。比嘉の横顔には、非常に困難な、やるべきことを殆ど奇跡のようにやってのけた満足感が現れていた。試合は結局、テレサがバーパットを決めて決着がついたが、それはこの際関係がない。テレサが優勝して比嘉のもとに挨拶に来た時の比嘉の笑顔が「実に素敵だった」、それに私は感動したのだ。

比嘉は澄みきった眼でしっかりと勝者テレサルーを見つめ、純真な笑顔で優勝を祝った。その眼には、真剣勝負を真っ向から戦った者への敬意が込められていたように私は感じた。正に剣豪の眼である。そうだ、比嘉真美子は今日から「武芸者」と呼ぶことにしたい。剣聖或いは剣の達人を目指す修練の者という意味である。来年彼女がいつ頃勝利の美酒を味わせてくれるか、来シーズンの楽しみがまた一つ増えた。

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