明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

(火)文化:天才・尾崎豊の美しさ

2021-03-16 21:31:02 | 芸術・読書・外国語

私が尾崎の歌の中で最も好きな曲は「傷つけた人々へ」だ。これは1983年リリースの「十七歳の地図」というファーストアルバムの中の一曲である。最初 Sptify で聞いた時に「すごくノリの良い曲」だなという印象だった。リズムセクション、特にシンプルな8ビートで刻むドラムとベースの上に、尾崎の独特の「素直で優しい歌声」が乗っかって、私の All Time Best の一曲になってしまった。

この曲は(私は尾崎の曲を全部聞いたわけではないが)彼の一面をストレートに表現していて、誰にも分かる平易な言葉を連ねながら、心に思った通りのことを「誠実に、素直に」相手に伝えている、と思った。なのに、その言葉の一つひとつがキラキラと輝いていて、過去の色々なことをサラリと踏まえて、ようやく真実の光が見えた時の「許し・悔悟」の気持ちを、晴れやかな愛と感謝で綴っている。更に言えば、類まれな素晴らしいメロディーと極上のサビが一体になって、グイグイ心に刺さってくる名曲である。10代の鬱屈した感情を抱えた当て所ない孤独を叫ぶ彼の姿の裏には、ふと無邪気で無防備な笑顔が顔を出すのだ。そんな時、彼こそ正に「天性の詩人」だという思いがしみじみ込み上げてくる。それは荒井由実の「ひこうき雲」やオフ・コースの「秋の気配」などと同じ部類の、人生最高の歌である。もちろん言葉だけでなく、作曲家としても素晴らしいと思う。と言うことでこの歌は、私にとっての「超ベスト10」に挙げてもいいなと思っている名曲である。ついでに私の個人的好みを言わせてもらうならば、テレサ・テンの「別れの予感」や松山千春の「長い夜」や岡村孝子の「夢をあきらめないで」など、ビートの頭を重めなベースが淡々と刻むリズムが大のお気に入りである。

ちなみに私は幼少期を「手回しプレーヤー」でシューベルトを聞き、小学校ではバイオリンとピアノを習った「音楽一家」のワガママ息子だった。結局その後小学校2年には早々と音楽の才能なしと断罪され、すっかり音楽からは離れてしまったが中学3年で再びベンチャーズに目覚め、高校に入った頃は一端の「ベンチャーズ・コピーバンド」の仲間入りをして、あちこちチマチマと演奏活動などをしていたっけ。だから基本的には、ロックにフォークにポピュラーそれに歌謡曲から映画音楽まで「なんでもござれの、黄金時代の真っ只中」を歩いてきた人間である(と密かに自負している)。つまり、青春の思い出の詰まった曲から、社会人になってスナックでカラオケに血道を上げた頃の懐かしい女子受けするヒット曲まで、名曲という昭和の名曲が「綺羅星のように」並んでいる時代なのである。ああ、唯一無二の時代よ!(ちょい自慢です)

というわけで音楽としては「洋楽」も勿論素晴らしい。だが残念ながら言葉が分からないから、イマイチ心に染み入るまでは行ってないのだ(外国語だから意味は伝わっても、感情を揺り動かすまでは無理なんじゃないかな)。若いうちはダンサブルなサウンドや反抗的なロックとかにあこがれて洋楽を無我夢中に聴き漁ったが、歳を取るにつれていっちょ前に人生の悲哀を酒に紛らわしたりするようになると、何故か日本の歌謡曲が「ジワーッと泣けて」くるようになる。最近のサブスクで流行ってる曲は若者に向けて作られていて、正直どうにも馴染めないのである。まあ、若い時は皆んなそうなのだが、エネルギーの出しどころが分からなくて「ただ怒鳴っているだけ」のような曲が余りにも多い。ちょっと辟易である。自分の悩みや苦しみを歌にすることに熱中しすぎて、メロディも言葉も外に出しっぱなしで単調なのだ。だから最近はふと夜中に音楽が聞きたくなった時など、キリッと味わい深い日本酒を片手に Spotify の「私のプレイリスト」を流して昔を懐かしんでいる。そう言えば尾崎豊も好きになったのは「つい最近」だったと記憶している。彼のことは麻薬中毒の若者の教祖ぐらいにしか思っていなかったのだ。本当は違うのにね。

皆さんも興味があったら Spotify の検索欄に「WATAPPON」と入力し、私のプレイリストを探して見て下さい。リストは「WATAKAYO」が歌謡曲、「WATADJ」が洋楽のプレイリストです。一番のお気に入りは「WATAGOOD」に入れる予定ですがまだ数が少なくて未完成ですので、これは将来のお楽しみにしてください。では極上の音楽と共に「天才・尾崎豊」に乾杯!


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