明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

木曜日は歴史の日:奈良に引っ越したらやってみたいなと思ってたが・・・

2021-01-14 21:09:13 | 歴史・旅行

まだコロナのコの字も知られていない頃、奈良に引っ越しする日が近づいて来るに従いそろそろ現実にアパートを探さなきゃ、と思い始めていた。それで引っ越すに当たり、必要なスペックを書き出して見る。

アパート探しの条件

1、場所
奈良と言っても南北に広い。引っ越す目的が「歴史に包まれて暮らしたい」だから、吉野の山奥に住むのは元々論外である。京都や大阪へのアクセスを視野に入れると奈良市・新大宮市・大和西大寺あたり、飛鳥の古跡にどっぷり浸かって花鳥風月を愛でるなら橿原神宮前・大和八木・岡寺あたりが候補になる。私は年金暮らしなので駅に近い必要はまるで無いが、病院やスーパーや家電店などが集まっている所となると自然と駅近に限られてくる。引っ越した最初の数ヶ月は周囲の歴史散歩に熱中するかも知れないが、1年も経てば頻度は落ちて「家とスーパー・コンビニ」との往復しか出歩かなくなるのは必至だ。やはり住環境第一に選ぶとなれば、いっそ京都のほうに住むのもいいかな、とか思う。京都は小洒落た喫茶店も多そうだし、平安文学を研究するなら断然京都がいいだろう。どうせ住むなら少しは美しく綺羅びやかな都のほうが、気持ちもワクワクして楽しそうではないのか?。いや待て、引っ越しをする本当の理由は、「田舎暮らしと古代史三昧」の筈である。だから奈良に引っ越せば、「一歩歩けば古代史」の環境が待っている、と考えたのだ。

2、物件
住む家は一応アパートを予定しているが、その中でもいくつかポイントを考えてある。

a. 間取りは2部屋欲しい
柏に引っ越してからかれこれ5年目に入った。部屋は8畳の洋室に台所2畳でバス・トイレ別、家賃3万9千円である。一人暮らしの私にはこの広さで十分だが、難点はテレビと寝る場所が同じなので「ホコリが舞って」部屋が汚れてしまうことである。やはり普段いる部屋と寝室は別が良い。まあ言うならば「書斎」があると読書が進むかも。いまは食事もテレビも布団も全部一緒だから「切り替え」が出来なくて悩んでいる。自分の意思が弱いというのもあるが、やはりリビング以外に書斎があると全然違う。奈良なら2DKでも十分安いしね。

b. 風通しと布団干し
今のアパートは風通しが悪く、窓と玄関を開けても「全然風が入って来なく」て、しょっちゅう空気が淀んでいる。おまけに日当たりが悪くて朝の1時間ぐらいしか直射日光が来ないので、「布団が乾せない」から衛生上も気になる。まあ布団乾燥機という手もあるのだが、出来れば太陽光が良いと思う。いずれ布団は「空気で膨らますマットレス」に変えようと思っているので、今のような状態にはならないと思うけど、清潔な暮らしの基本である。

c. トイレ
温水洗浄便座は必須である。私は元々便通に困ったことはなかったが、脳梗塞で入院した時に「点滴で4日ほど寝たきり」になった。その間、食事は点滴だけだったのでトイレには行かなかったのだが、そのせいで腸の押し出す力が弱くなってしまったらしい。だから水分を取る量が十分でないと、便が固くなって「詰まってしまう」のだ。一度などは詰まって出なくて死にそうになったので、看護婦さんに助けて貰ったことがあった。トイレに行きたいのに便が出ない、というのが「あれほど苦しい」とは知らなかった。それで、退院して一人で暮らすようになってからは毎日、必ず一回の便通というのを「重要なリハビリ」の基本にしている。これは病院で教わったのだが、温水洗浄便座で肛門を刺激すると便が出やすくなるのだ。私も「ひよわ」な身体になったものである。あゝ、悲しい・・・!。

3、環境
日常生活で必要なのがスーパーとコンビニである。しかしこれは引っ越したら自転車を買うつもりなので、家から1、2kmぐらいなら問題ない。重要なのは「コインランドリー」である。私は週に一度、大きな袋一杯に入れた洗い物をコインランドリーで洗濯・乾燥させている。家で洗濯機を回すのは、わざわざ遠いところまで荷物を抱えて往復しなくていいので楽なように思えるが、私は一人暮らしを始めてからずっとコインランドリー派である。自分で洗うよりなにより「乾す作業」が嫌なのだ。それにあの「生乾きの嫌な臭い」も大嫌いである。実は私は、洗濯機すらも持っていない。まあ体力が落ちて荷物を持って歩けなくなるまでは、ずっとコインランドリーを使い続けるつもりだ(自慢か?)。だからコインランドリーが歩15分以内、というのが条件である。

4、ゴルフ練習場
これは私にとって「唯一の運動」と言える。ジムに行ったりするのも有効だとは思うが、どうも意思が弱くて出来そうにない。だからゴルフである。私はコースに出るよりも「練習場で打っている」方が好きなのだ。奈良に行ったら田舎でもあるし、夜にジョギングしたり自転車に乗ってツーリングに行ったりと、運動する機会は増えそうだが何よりモチベーションを考えると、「ゴルフの練習」が一番長続きしそうなのだ。だからクラブを4、5本持って、ぶらぶら歩いていける距離に練習場があれば理想である。楽しく運動できればいいので、まあゴルフの腕のほうはソコソコならOKかな、と。

5、喫茶店
これはどこに引っ越しても外せない。ここ柏に来てから4年を過ごしたが、町自体がダサいのだ(なんか炎上しそう・・・)。柏はそこそこ人も多いし、歩いている人も若者が多くて活気がある。しかしどういうのか柏には「文化がない」のだ。どこをどう見ても「風情」が感じられない(あちゃーっ!)。当然、喫茶店も「オシャレ感がゼロ」である。マックとかロッテリアみたいなファミリー系はもとより、ドトールやエクセルシオーネなどのコーヒーショップは、雰囲気が「高校生の自習室」である。これじゃ私の求める喫茶店とはまるで程遠い。理想の喫茶店とは静かな店内で周囲の存在を忘れ、ボーッと外の景色を眺めながらあれこれ思いを馳せて日がな一日を過ごす、というのがベストである。いままでの人生で最高の喫茶店と言えるのは、北松戸の住宅街からちょっと離れた「畑と林」の中にある瀟洒な建物の本格コーヒーの店だった(また行ってみたいな)。日当たりが良くて居心地がよく、藤椅子に座って大きな窓からピサロの絵のような風景を眺めていると、ついつい時間を忘れて長居をしてしまう。私は毎週日曜日にバイクに乗って、そのお気に入りの喫茶店まで通ったものである。アルバイトの女子高校生が上品で可愛かったな、というのはオマケ。

6、風景と古代史
ここまでは別に奈良でなくともどこでもいい。奈良に引っ越す理由はただ「歴史が眠る景色」にあるのだ。日本で最も美しい三重の塔と私が呼ぶ「法起寺」と法隆寺界隈、二上山と大津皇子の悲劇に武内峠、東大寺・浄瑠璃寺・春日神社・不退寺・海龍王寺など王朝貴族の佐保川一帯、甘樫丘と飛鳥板蓋宮の大化の改新古蹟と藤原京跡、天理から三輪までの長閑な万葉の山の辺の道の散策、などなど。まさに角を曲がれば古代が見える「まんま古事記の世界」が広がる古の土地である。何てことのない富雄川に架かる小橋ですらも、何か「歴史が刻まれている」気がしてじっと眺めてしまう魔力があるのだ。奈良は自転車で走っていける距離に、ギューッと古代が詰まっている「歴史の箱庭」である。これ以上楽しい所があるだろうか?

というわけで奈良は私にとっては「夢の場所」だった。そう、ついこないだまではそうだったと言える。それが、歴史を勉強していくにつれて壬申の乱は「九州熊本」だと言われ、この前は大化の改新でさえ「伯耆・出雲の出来事の剽窃」とまで言われたのだ。最近いろいろと本を読み漁ってみると、奈良が古代史の宝庫だというのは「日本書紀のウソ」だと分かってきた。つまり奈良は東北や山陰地方と同じく「ただの田舎」であり、平城宮以前の聖徳太子や大化の改新や壬申の乱は「なかった」と言うのである。これじゃ奈良に住む「意味」が無いのじゃないか!。あゝ引っ越し、どうしようかな・・・。私の奈良が「崩れて」行くぅ・・・!。

この先、果たして私は奈良に行くべきなのだろうか?。これが現在の悩みである。歴史のない見すぼらしい小川の飛鳥川を、ただ眺めるために奈良に引っ越すのはどうなのか。しばらくは考え続けることになりそうだ。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿