明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

引っ越しする前に考える事(10)まず京都と奈良、住むならどちらが良い?・・・徹底比較 ⑨ その6 奈良(後編)

2024-03-13 22:16:00 | 歴史・旅行

長い事色々考えて来たが、年を取ると引っ越しするのは段々と億劫になるものです。今更住み慣れた街を離れて見知らぬ新天地へ引っ越そうという勇気も根性も無いと言えばもっともらしいが、早い話が「面倒」な割に「大して変わらない」というのが私がぐずぐずしている一番の理由でした。実際殆ど外出しなくて部屋にこもりっきりの「引き籠もり独居老人」と化してしまった私にとっては、京都だろうが奈良だろうが別にどこだって「同じじゃん」とも言える訳ですね。外に出る機会がなければ引っ越しする意味もないのは当然です。まず外に出て、そこで「何か楽しい経験をする」ことが今私には必要なことなんじゃないか・・・そう思いませんか?

今の私は読書とブログ書きとテレビの「動かない」毎日です。買物はコンビニとスーパーで服はユニクロ、昔は週1通っていた本屋も今は Amazon の読み放題で用は足りている始末です。唯一出かける用事と言えばゴルフパートナーへ練習に行くだけというのが悲しい。これ、何という「社会性の無い生活」であろうか(無人島にいるようなもの?)。つまり、京都とか奈良とかどっちが良いかを比べている場合「じゃあ無い」のです!。何とかして終生飽きずに外に出掛ける「外出理由」を見つけないと、まじヤバイのだ。ではどうしても外出したくなるような対象とは何だろうか?・・・それはなんと言っても「現地に行かないと見られないイベント」を見に行くことしかないでしょう!。出かけて何か記憶に残るような面白いことに出会うとなれば、それはもう柏辺りでは見ることが出来ない「京都・奈良の専売特許」です。これです!、私が探し求めていたのは!

と言うわけで最終回の今回は、京都と奈良の「是非観ておきたいイベント」対決!と洒落てみることにしました。

まず京都の行事と言えば、① 祇園祭などの三大祭り、② 大文字などの五山送り火、③ 北野天満宮梅祭りなどの神社仏閣の例大祭、それに東寺のバーゲンとか嵯峨野のトロッコとか哲学の道の桜とかの名所旧跡ほか、見るべき所は数え上げたらキリがないくらい目白押しです。そのほか歌枕を巡ったり有名喫茶店でグルメをハシゴしたりしても飽きないから、京都なら毎日出掛けたとしても1年ぐらいでは困るという事は無いだろうと思いますねぇ。それに比べて奈良の行事の方は東大寺二月堂のお水取り(修二会)以外はこれと言って見ておきたいイベントがなさそうなので、これはやっぱり京都に軍配が上がりそう。やっぱ京都になっちゃうのか・・・。

いやいやちょっと待てよ?。何もイベントに名所旧跡巡りだけじゃ、オジサンオバサンが大好きな温泉旅行と一つも変わんないじゃないかぁ。・・・そうなんです。旅行と変わらない、ただ現地に住んでいるから「お金が節約出来る」と言うだけの違いなのです。私が終の棲家に選ぶというのは、そんな通り一遍の理由じゃなかった筈だった(どこでボタンを掛け間違ったんだろか)。終の棲家というからにはそこに住み、そこで地域のコミュニティと一緒に暮らすということ「そのもの」に意味がある筈ではないですか。外に出るということも「普段の生活の中に」なければ意味がないと思います。例えて言うならば奈良・平安の貴族が、住居として日々暮らしている家の辺りに訪れる「季節の変わり目」ごとの小さな変化を感じ取って歌を詠んだように、私も古の時代の「和歌の世界」に遊び、人生最後の限られた時間を優雅な精神世界に生きてみたい、そう思うようになったのです。そういう眼で今一度京都・奈良を見なおして、最終回に相応しい場所を探してみることにします。

例えば天気の良い日には景色や風物を眺めながら自転車でのんびり田園風景の中を走ったり、また用もなくブラブラ歩きをして季節の草花や美しい自然の風情に驚ろかされたり、また少し疲れたら行きつけの喫茶店に入って「コーヒーを飲み」本を読んで一日をゆったりと過ごす。そんな生活に相応しい土地柄とか歴史は京都と奈良のどちらに多いだろうかと考えると、京都はやっぱり「旅行先」なんだな、と思わずにはいられないのです。見所もイベントも奈良に比べたら段違いに豊富ですが、しかし奈良は普段の生活の場というのが強みなんですね。寝て起きて軽く食事をし、日々の買物に出かける生活拠点、それが奈良だと思います。そこには何の変哲もない日常が、昨日と変わらない今日があります。そして、静かで落ち着いた明日があり、さらには希望に満ちた未来があるんじゃないでしょうか。・・・結論が出たようです。引っ越しするなら「奈良」に決定でしたぁ!(ようやく最終回に相応しく結論が出たようで)。

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では具体的に住むにはどの辺がいいでしょうか。実は京都の魅力は旅行先だと言ったわけで、何時でもイベントなど思いついたらちょっと電車に乗って、フラッと見に行ける距離に自宅があると言うのは非常に便利なわけです。普段は奈良に住んでいて自転車なら「明日香巡り」でも気軽に行けて、日常生活にも全然困らない場所に拠点を構えていたとしましょう。そして何か特別な催し物とかイベントとかがあると分かったら即1000円位払って、電車で1時間ほどすれば「清水寺や嵯峨野」に行ける・・・そんな場所が多分「引越し先には最適解」ではありませんか?。それは地図を広げて見ると近くに自然豊かな佐保川が流れていて、王朝の和歌の雰囲気にも恵まれ、また生活に必要なものも充実していて東大寺や薬師寺や大極殿跡にも至近距離の「新大宮」しかないと言えます。幸い京都に比べて家賃もそれ程高くなく、風紀紊乱の原因である不良外国人旅行者もまだまだ少ないというのも好印象ですねぇ。新大宮、ほぼこれで私の引越しプランは決まりだろうと思いました。色々条件をとっかえひっかえ考えては来ましたが、もうそろそろ結論を出してもいい頃です。そう、引越し先は「新大宮地区」で決定です〜!(パチパチパチパチ)。

さて場所も決まった事だし、後は引越しを「何時やるか?」ですね(今でしょ?というのは少し前に流行った言葉ですが、ちと早過ぎるかも!)。まあ引越したら真っ先に喫茶店を探しにブラブラするだろうけど、最初の一年位は「旅行先として」今まで考えていた場所を「近場の散歩先」として気儘にあちこち行って時間を過ごすのも悪くはないですね、少々浮かれ気味ですが。まあそのうちに私の「いつもの居場所(喫茶店)」もおいおい決まってくるでしょうから、それからゆっくりと人生の残りを楽しんでも良いかな?って思いました。まあ取りあえず行く場所としては例えばですけど、いくつか挙げるとするなら・・・

1、春の山の辺の道を散歩する
京都で言えば哲学の道になるでしょうか。天理から三輪までの自然遊歩道と言う感じです。途中いくつか古墳があって明治・大正の文学碑なども点在している古道ですが、こういう自然豊かな遊歩道も京都のように観光客などが溢れるようになってしまったら「風情もへったくれも」無い訳で、まあ「大して見るところがない」というのが最大の魅力だとしておきましょう。3、40年ほど昔、まだ今ほどは観光場所も整備されていない頃に会社の同僚と天理に一泊して、山の辺の道をてくてく南下した事がありました。今度行ったらトレイルセンターとか三輪そうめんの店とか、一人前に観光などしてみたいです。喫茶テラスなんか春先には最高じゃないかな。

2、自転車で明日香の歴史巡り
明日香は今でも多くの場所が昔のまま保存されている有難い地区です。甘樫丘から飛鳥川をはさんで飛鳥寺あたりに遊んだり、また板葺の宮から川原寺あたりの民家をつらつら眺めながら自転車でグルグルまわるのも楽しいと思います。この辺りにはいい喫茶店が余り無いようなので、ここは5月頃の清々しい季節に自転車で風を切って走る爽快感を目いっぱい楽しむのが健康的で良いですね。なお、古代の明日香巨石群の一つである酒船石が近くにありますが、まあ一回行けばいいんじゃないかな。要は「旅行先」ではなくて「いつもの景色」を眺めるのが大事ですから。

3、和歌と貴公子の恋
佐保川べり散策と言えばすぐ近くの不退寺に想う「在原業平朝臣」をはずす訳にはいかないでしょう。この辺りは割と下町の繁華街的な雰囲気も感じられて小料理屋や居酒屋なんかもありそうだし、喫茶店なら大きいのからマスターが一人でやっているような小さい店まで、そこそこあると思うので「行きつけの店」を選ぶのにはさして苦労はないんじゃないでしょうか。平安時代初期の和歌には素朴な自然を豊かな感受性・抒情性で歌ったものが多いように感じますが、たまにはこういう華やかな恋愛遍歴の達人がいても面白いですね。伊勢物語は自宅の本棚に置いて何年かに一度は読むのが「古き良きハリウッド名画」を思い起こすみたいで良さそう。ちなみに私の好きな歌は「都鳥の歌」です。こういう歌を詠める貴公子というのは実際憧れますねぇ。

4、長屋王事件の謎を解く
政変陰謀が渦巻く7世紀末の奈良時代。天武天皇の後を継いだのは持統天皇と学校では教えられているが、そこは古代史を専門に本を読み漁っている私の考えは「別の答え」が既に用意されていたりして・・・。では真実はどうなっているのか?と言うと、いつもの喫茶店でコーヒーを飲みながらあれこれ思索に耽るというのがそもそも奈良のような「歴史の宝庫」たる土地に引越ししてきた理由の一つなので、じっくり考えましょう。時間はたっぷりある訳だし。

5、蘇我氏の栄華と一族没落の跡
明日香にある川原寺や橘寺近辺または飛鳥川と甘樫丘・板蓋宮など、意外と狭い地域に密集して当時の遺跡が並んでいることにまず驚きます。これを考えても蘇我氏全盛の時代は案外と「小規模な村落集合体」に近い形だったんじゃないだろうか?というのが私の素直な感想です。つまり「瓦葺の法隆寺」なんか建てられるような財力も技術力もまだ無かった・・・というのが本当のような気がするんですね。まあ長閑な時代の物語を調べるのもまた楽しみではあります。

5、二上山に眠る大津皇子の鎮魂を想う
昔、河内側の古市から竹ノ内街道を歩いて香芝へと旅したことがありました。季節は初夏の暑い盛りで、汗びっしょりになりながら途中の峠の茶屋らしきレストランで一服した思い出があります。唯一、峠の手前の太子町駅前で食べた「ハンバーグ定食」が忘れられない思い出ですが、もうやってないでしょうねぇ、懐かしいけど。

その他にももっと色々とありますが、奈良に住む理由を考えれば2、3箇所「気に入った喫茶店」を見つければそれでいいような気がします。旅行先は京都に限定して足繫く通うとして、奈良はそこに住んでゆっくりする所、そういう場所にしたいと思っています。長い間読んでいただき有難う御座いました。このシリーズはこれで最終回といたします。



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