和翠塾ブログ

目黒都立大にある書道教室「和翠塾」のブログです。

基本のキ

2014-03-19 07:26:41 | 日記
基本のキである『基』という漢字は、楷書の基本ルールを含む『永』並の漢字です。
『基字八法』と言われてはいませんが(笑)、ビギナーのウォーミングアップに適した漢字だと思います。


和翠塾でご指導させていただいている、文机を使って半紙に書く姿勢をここで再確認してみましょう。

机との距離を整え、足の親指と親指を重ねて正座をし、腰と背骨をスッキリと伸ばし、その上に頭が無理なく乗る様にしましょう。

目の位置は半紙全体を見ることのできる高さにしておく事が肝心です。

文字に集中しすぎて顔が紙に近づき過ぎない様に気をつけましょう。

筆を持つ親指の関節を伸ばしてリラックスすれば、筆を持つ指だけでなく肩や肘の無駄な力もスッとなくなります。

次に筆の持ち方です。

楷書、行書、草書などの書体の違いや、体格(座高差)の違いによって、筆を持つ位置に多少の違いはありますが、ほぼ真ん中ぐらいを持つとよろしいと思います。

肝心なのは、筆筒が紙に対して常に垂直で接している事であります。

それが無理なくできる為の姿勢をとる、と考えたほうがよろしいかもしれません。

つまり、椅子に座っていても、立って書いたとしても、膝ついて床面の紙に書いたとしても、筆筒が紙に対して垂直に接する事ができ、全体が見渡せる目の位置に置くことが大切ということです。


筆を持つ腕は肘を脇から少し張った、懸腕法にします。

手首を蛇が鎌首持ち上げた様な状態にして、筆を浅く軽く人差し指と中指をかける双鉤法で持ちます。

これで自由に筆が動かせる撥鐙法という書法が整います。

文章にするとわかりずらいですね(笑)

撥鐙法について書かれている中国の古い文献も、その文章だけでは撥鐙法を確定できないとの話しもあります。

先ほど述べた撥鐙法の説明も、実は正解ではない可能性もあるのです。

ただし、自由自在に筆を動かし、意図した線をコントロールしながら書ける書法を撥鐙法とするならば、一つの解答と言えると考えます。

撥鐙法を身につければ、書体や書法、文房四宝の違いにかかわらず、常に自らを表現することが可能になります。

問題はここからです。

つまり、文字を書いて表現したい事があのか?
と言う書の根本的な命題です。

書技を磨き身につけていく中で、磨かれる人間性があります。
それとは別に、日々の生活の中で磨かれる人間性もあります。
そこから目を背けず、正面から取り組み悩み考え、答えがでずもやもやとしている日々を送る事が、書のエネルギーになるのとかんがえます。

本や新聞を読み、友と論じ合い、師に教えをこいながら、広い世界を見渡していけば『人はどこからきてどこへいくのか』という人類共通の難題に自然と向かうことになります。

ある人はそれを数学で、ある人は哲学で、またある人は料理で、化学で、音楽や宗教で、茶道や花道、柔道で向かっているのです。

『学』や『道』のつく物はすべからく、道順は違っていても、同じ頂きを目指しているのです。

それを我々は、書道という道をを通って頂きを目指しているのです。

頂きについた時の喜びこそ、人生最大の喜びでしょうね。

頂上で誰が待っているのでしょうか

その楽しみが、今現在最大の楽しみであります。

ただし、途中経過である今を楽しむ事を忘れないようにしましょう。

今が少し苦境にあっても、楽しむ事を忘れてはいけないとおもうのです。