『ベースボール不要論』

[副題]~大マスゴミと野球(よきょう)/現代日本の致命傷~
[副々題]~がんばれ日本! なくなれ読売!!~

第4章 ちょこっと脱線 なぜ世界は野球をしないのか?[2]

2005年04月13日 | 第4章
[2]

〈ベースボールは走らないっ!〉

 ベースボールというボールゲームが世界の人々のハートをつかむには、あるいは世界の人々の尊敬を集めるには、やはり、あまりにも大きな「欠陥」があると言わざるを得ません。「欠陥」というのは少々言い過ぎかもしれませんね。でも、欠落しているとても大きなもの、決定的なもの──。それは長い距離を走る力、つまり選手たちの心肺機能や有酸素運動能力といったものがまったく問われないことです。

 野球選手のなかにも、きっと中長距離を走る能力に長けた人物がいるでしょう。1500mとか10kmとか20kmとか、長い距離を走るのが得意な人です。でも、野球にはその能力を発揮するところがまったくない(もったいない!)。

 サッカーやアイスホッケーのように繰り返し繰り返し疾走する能力、つまり選手たちの心肺能力が問われることが野球というボールゲームにはないのです。この意味においては、野球選手よりも、アイスホッケーやサッカーの「審判」のほうがはるかにスポーツマン? そんな気もしてきます。

 余談ですが、以前、健康をテーマにしたテレビのバラエティ番組に、日本プロ野球のOBらしき人物が出ていました。その人は番組中終始、他の出演者から「○○さんはスポーツマンでいらっしゃるから……」などとおだてられていたのですが、どうなんでしょうか? 私思うに、野球選手の肉体なんてたいしたものではないと思います。

 ましてOBなんて、血糖値が気になるそこらへんの中年サラリーマンとそれほど変わらないのではないでしょうか? 筋力と瞬発力、そして動体視力? このあたりの力は並外れているのかもしれませんが、「スポーツマン」と呼べるほど全体的にバランスのとれた肉体を持っている人は少ないと私は思います。

 世界の大多数の人々も、おそらくそのあたりのことを感じ取っているのではないでしょうか? ベースボールは、「走る」というとても大きな要素が欠落した、スポーツのなかでもかなり不活発なほうに分類されるもので、著しくバランスを欠いた例外的なボールゲーム。だから、そんなたいした競技ではない! ベースボールなんかで熱狂している人たちの気が知れない!

 おそらくそんな感じの認識が世界の「相場」「客観」なのではないでしょうか? だから、世界の多くの人々はベースボールを「熱烈に」取り組もうとはしないのですね、私たち「日米人」のようには。

  × × × × ×

 きわめて不活発、ろくすっぽ走らない、ピッチャーの肩以外は運動量がきわめて少ない、ということはすなわち、選手たちはあまり疲労しないということになります。疲労しませんから、たとえばプロの世界では、一チームあたり年間百数十試合もの公式戦をこなします。

 百数十試合もするわけですから、人々に繰り返し繰り返し見せることになります。当然、メディアへの露出も大きくなります。これです。毎日のように見せることで、人々をなかば中毒のようにして人気を獲得していったボールゲーム、それがベースボールでしょう。

 じつは相当の時間の無駄遣いで、見るべきものはきわめて少ない。「スポーツ観戦」というよりはむしろ「ひまつぶし」。実際、この国ではそんな感じでしょう?

 もし仮に、野球のルールが大幅に改正されたとしましょう。世界的な人気を得るためにです。9回の攻防を7回にし、そして3アウトを2アウトに、三振を二振に、フォアボールをスリーボールにというふうに、ゲームのスピードアップのための思い切ったルール改正です。

 それでも、おそらく世界の人々はこのボールゲームに食いつくことはないでしょう。ゲームのスピードアップがなされたとしても、野球があまりにも散漫で、ろくすっぽ走らないボールゲームには変わりありませんから。(つづく)

  × × × × ×