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国立劇場に行ってきました!

2019-01-06 01:43:18 | 私の写メ日記(観劇版)
歌舞伎座に続いて、国立劇場の初春公演に行ってきました。菊五郎の孫二人の共演でしたが、ロビーの富司純子さんは満面の笑みでしたね~。というわけで、簡単な感想のみ。(観劇日1/5)

外題は「姫路城音菊礎石(ひめじじょうおとにきくそのいしずえ)」ですが、並木五瓶の「袖薄播州廻」を基にしているとのこと。といっても、わたしは初めて観た芝居でした。

ストレートにいってしまうと、台本は大した事なくて、行間を芸達者な役者たちが自在に埋めているという感じ。特に今回はベテランから若手まで巧い人ばかりということもあって、話のコクのなさを補って、まったく違和感がありませんでした。もっとも、このメンバーだったら、もっと重厚な古典を観たかったなとも思いますけどね。

で、この芝居としての眼目としては四幕目でしょう。「葛の葉」と「寺子屋」と「四の切」を足したような設定が面白かったです。ここで、菊之助の長男(和史くん)と寺嶋しのぶの長男(眞秀くん)が登場するんだけど、たぶん眞秀くんの方が年嵩なんでしょう。芝居がしっかりしていて感心しました。お母さんのスパルタ特訓でもあったんじゃないかと思ったくらい、台詞なんかもよい。以前、菊五郎がどこかで言ってたと思うんだけど、「眞秀が梅幸を継いだらいい」というのも満更じゃない気がしました。横顔も十五代目市村羽左衛門みたいにすっとした感じですしね。といっても、その頃にはわたしも生きてなさそうだけど…。

で、序幕から印象だけ拾っていくと、梅枝の若殿二役が雰囲気があってよく、先月阿古屋をやった人とは思えませんでした。時蔵は珍しく立ち役一本で上使役でしたけど、この人の立ち役は割りと好きなんですよね、先代萩の身持ち放埓な殿様とか。でも、雀右衛門とこの人は女形の大役をどんどんやってほしい人なんで、立ち役はほどほどにという気もしますが…。で、忠臣だと思ったら悪いやつだった菊五郎の悪役はこの人らしくて花道から貫禄がありました。序盤からのスピーディーな展開で悪の華を感じたものの、後半が台本的にいまいちで、立ち回りになってしまうのがわたし的には物足りなかったですね。なので、御大菊五郎の役としてはもったいない。

菊之助は弓矢太郎という若者と女房役二種の早変わり。すっきりして安定感ありましたね。でも、「下町ロケット」しか知らない人には意外なのかも。ただ、これが本来の姿です。松緑の役は槍の名手という役だったので、船弁慶やってる人らしく形がよかったし、後半の展開も「四の切」やっている人なので危なげなし。でも、この二人の役は危なげなさすぎるのが、中堅実力者の役としてはもったいないというところか。

最後は年初恒例の手拭いばら撒くコーナーでしたけど、團蔵が眞秀くんを連れて花道から登場。舞台では和史くんが手拭を投げていたので、平等にっていう配慮なんでしょう。みんな優しいですね。

ということで、初春のエンタメ的歌舞伎舞台としてはよかったんじゃないでしょうか。でも、五月の團菊祭はこのメンバーでジワっとした古典をやってもらいたいです。

PS:名作歌舞伎全集の第8巻 並木五瓶をちゃんと読み直そうかと思いました。並木五瓶ってこうだっけという気がしたので。そういえば、浅草の雷門で風邪薬を売ってたのって、この人じゃなかっけ?










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