切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

<訃報> 映画監督 テオ・アンゲロプロス

2012-01-27 19:30:00 | アメリカの夜(映画日記)
正直、唖然。というか、情報を知ったのが遅かったので、ビックリというか・・・。ギリシアが生んだ世界的巨匠テオ・アンゲロプロスが、こともあろうに交通事故で事故死!それも、新作映画のオープンセット付近でバイクにはねられたって・・・。この唐突さも、アンゲロプロスっぽいと言ったら怒られるのかな?とにかく、ご冥福をお祈りいたします。

・“ギリシャの黒澤明”アンゲロプロス監督が事故死…新作撮影中、バイクにはねられる 
→ このスポーツ報知の見出しは抵抗ありますね。「ギリシアの黒澤」はアンゲロプロスに失礼ですよ!


この監督って、なぜか日本とは縁が深くて、溝口健二に影響を受けた独特の長回しショットの多用から、黒澤明や大島渚との交流!特に大島渚が意外なんですよね。以前も来日したとき、大島作品について語っていたような気が・・・。それになんといっても、作家の池澤夏樹さんがアンゲロプロス作品の紹介者兼翻訳者だったってことも大きいんじゃないですかね?

個人的には、『シテール島の船出』と『霧の中の風景』なんですが、近年の作品は見逃しているんですよね~。まとめて見直してみようかな~。ただ、この人の映画は全般的に長いので、観始めるとすぐに一日が終わっちゃうんですよね~(そういいえば『永遠と一日』という作品もありました。)。逆に、時間のある人がじっくり時間をかけて見直すと、ずっぽりはまり込んじゃうんでしょうけれど。

なにしろ、昨今いい話題の無いギリシアだけど、そんな今だからこそ、ギリシアの現実を描いてほしい監督でした。

ところで、事故現場のピレウスはアテナ郊外の港町で、わたしも行ったことがあります。アテネからちっちゃい電車で行くんですよね。そこから、アンゲロプロスの映画に出てくるような大きな船に乗って、エーゲ海の島々へ旅ができます。『日曜日はダメよ』とか『その男ゾルバ』なんかにも出てくる場所です。

なお、わたしが旅した土地で、土地の人びとに好感が持てたのは、ギリシア、キューバ、ドイツ。逆に最低だと思ったのは、インド、フランス、イタリアの一部かな~(要するに、身勝手な人が多い土地)。

最近の日本のメディアは、ギリシアやギリシア人を非難したりするけど、わたしはここの人たちが結構好きです。おだやかな暮らしぶりも含めて。日本人なんかよりずっと好感が持てるんですから!

ま、最後は蛇足でしたかネ。

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2 コメント

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 (蝙蝠お高)
2012-01-29 22:04:33
知りませんでした。旅芸人の記録がベストワンだと言い切れる私にとっては余りに事が大きすぎて…20代の頃ギリシャはフロリナやらエギオンやら映画に登場するひなびた土地を彷徨いた過去…有楽シネマにシネ・シャンテ…アンゲロプロスって銀座なんだよね…とか下らないことしか浮かんでこない…志ん朝といい忌野清志郎といい私のアイドルが次々にいなくなる…相米だってねぇ…旅芸人は何度見ても凄いよ!あんなミュージカル見たことある?古いけどビョーク出たヤツなんて小便臭くってね…霧の中の風景…お富さんらしいですね。私も実はそこが入り口なんですけどね。あと黒澤?なんて言うけれどカサヴェテスとの接触とか成瀬にシンパシーを感じていたりとか結構目利きというか好みと質は…やりたい事とできる事は違うというか。とりとめない書き込みですいません。余りに個人的な存在な人なんで。いづれにせよ私の中で映画はこれで終演です。
コメントありがとうございます。 (切られお富)
2012-03-31 10:56:55
大幅にご返事が遅れて今更ですが…。

アンゲロプロスが死んで、ああいう撮り方の映画はなくなるかもしれませんね。

映画の撮影メディアがフィルムじゃなくなって、フィルム缶の容量の制約なく、長回しができるようになった今の映画界。

でも、そのかわり起きているのは、マルチカメラで映像撮りっぱなしの撮影方法で、同じ長回しとはいえ、演出術としては全然違うと思いますよ。

ということで、確かに一つの時代が終わったなと思います。

日経の新聞記事の画像をアップしたのでどうかご参考に。もっとも、その筋から怒られたら画像降ろしちゃいますけど。

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