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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

脱出したくても脱出できないという想像力(映画『皆殺しの天使』を題材に)

2016-04-04 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
朝霞の中学生監禁事件をめぐって、なぜ中学生は逃げなかったのかみたいなことを言いだす連中って、想像力が足りないと思います。ましてや、ストックホルム症候群をもちだして、犯人に共感したみたいな話は、まったくのナンセンス。ストックホルム症候群自体がトンデモ学説としか思えない!ということで、冷徹な目で人間を見つめたスペインの巨匠ルイス・ブニュエル監督に学べというわけで、映画『皆殺しの天使』を推薦!

ある邸宅のパーティーで集まった客たちが、わけのわからない不安に駆られて、邸宅から出られなくなってしまう・・・。

こんな神経症的シチュエーションを見事に描き切った傑作だけど、ヒッチコックなら、『逃走迷路』に出てくるパーティ会場の脱出劇も、ちょっとシチュエーション似てたかな?あれも、人目にはわからないながら、脱出できない!

しかし、ヒッチコックが陰謀を前提にしているのに、ブニュエルの方は、前提のない空虚が原因だけに、むしろ恐ろしいというか、頭の中こそが迷路であり謎であることを教えてくれるんですよね。

ところで、わたしがストックホルム症候群を批判する理由は、想像力が欠如しているから。誘拐被害者が誘拐加害者に協力するのは、抵抗を続けたら危害を加えられるリスクがあるからで、これは日常のイジメレベルだって同じですよね。共感なんかしてなくても、同調したふりをしてへらへらしてみせるって、全然不思議じゃない行動ですよ。アメリカなんかで、長年の監禁状態から脱出する女性の事例がよく出てくるけど、最後に脱出できたり、最後に加害者を殺害できたりするのは、反骨の自我の火がなかなか消えないということの証左なんじゃないのかな。もっと卑近にいえば、熟年離婚みたいなパターン。

というようなわけで、机上で空論をもてあそぶ犯罪心理学者より、ブニュエルみたいな、フランコ独裁政権下で指名手配を受け迫害され、長年母国に帰れなかった人の方が、よっぽど人間を解かっているってことなんじゃないでしょうか!

ま、少女の共感なんてファンタジーを夢見るより、ブニュエルの毒にでも当たってください!以上。


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INTERVIEWルイス・ブニュエル―公開禁止令
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