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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

海老蔵の「切られ与三郎」 七月 大阪松竹座

2004-07-30 15:47:28 | かぶき讃(劇評)
7月27日、大阪松竹座三階席で観ました。

海老蔵という役者は、世間的なイメージと違って
かなり勉強熱心というのか、古い役者の台詞回しを
研究しつつ自分流の現代的な台詞回しを模索するという
タイプの役者だ。

そのことの成果が、先日の歌舞伎座での「助六」で、
こんな生き生きとした助六は初めてと感じる程のものだった。

で、今回の「切られ与三郎」。

海老蔵本人は源氏店に、写実味より唄うような調子の気持ち良さ
を目指しているのだと思う。その一方、世話物的な俗っぽい
要素には今の若い観客(例えば『源氏物語』を観に来るような客)
が観ても違和感のない表現法を採用するという方針を採っている
ようにみえる。

今回の海老蔵の与三郎は、まだ流石に完成はされていないとはいえ、
一五代目羽左衛門とも十一代目團十郎とも違う海老蔵調という
べき名セリフの台詞回しと、現在を生きる等身大の青年としての
生々しさを感じる世話物的な俗っぽさ(これは仁左衛門にはできない
要素だ。)を兼ね備えたいい舞台だった。

初役の菊之助のお富は世話物らしい世慣れた感じの色気には
まだまだ乏しいものの、溌剌とした色気が漂い、
いずれは15世羽左衛門・6世梅幸コンビのようになるのでは
と思わせるものだった。

こういう、江戸の世話物が大阪松竹座だけでかかるのも
ちょっと不思議ではあるが、いずれ歌舞伎座の舞台で見れることだろう。

勧進帳については、また後日。
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