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『マーラー 君に捧げるアダージョ』 パーシー&フェリックス・アドロン監督

2015-12-27 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
先日、アルマ・マーラーの命日の記事を書いた関係で、見逃していたこの映画を観ました。実をいうと、監督のパーシー・アドロンがあまり好きじゃなくて、期待していなかったんですが、まずまずの映画でしたよ。特にサロネンがサントラやってるって知らなかったなあ~。とにかく、サントラが素晴らしいです!簡単に感想っ。

パーシー・ドロンといえば、ご存じ『バクダット・カフェ』の監督だけど、わたしは癒し系のこの映画がいまいち好きじゃなくて、「主題歌"Calling you"だけの映画でしょ。」なんて思っていたクチでしたが、息子との共同監督がよかったのか、ミュンヘン出身の人だけにドイツ語圏の話が合っていたのか、この作品に関してはまずまずでした。

確かに、「ウィーン一の美女」と言われたアルマ・マーラーの役にしては女優が美人に見えないとか、批判もあるようですが、ヨーロッパの映画らしい陰影のある画面になっていたような気がします。ま、良くも悪くもヨーロッパの演劇風の芝居という気もしなくはなかったけど…。

で、マーラー関連の映画だと、ヴィスコンティの『ベニスに死す』がマラ5、ケン・ラッセルの『マーラー』がマラ6をフューチャーしていたのに対して、この映画は意外性があって未完のマラ10を使っているんですよね。で、サロネンのサントラが弦楽曲風の繊細な演奏でよいんですよ。これがたとえばバーンスタインのマラ10録音だったら、この映画には合わなかったかなと。

マーラーが夫婦関係に悩み、フロイトの診察を受けるという冒頭で始まるこの映画ですが、明かし難い悩みを打ち明ける話としては、繊細な演奏じゃないと、演出的にもうまくないですよね。バーンスタインみたいな、裸の男が駆け寄ってくるみたいな、マラ9の演奏が典型みたいなスタイルだと、さすがに違うかな~ということになりますしね。

なので、サントラが欲しくなるのと同時に、結構来日するサロネンにはマラ10を演奏してほしいなと。サントリーホールで生でマラ10を聴きたいと切に思いました。

ま、個人的にはバルシャイ指揮のマラ10を生で聴いたことがありましたけどね~。ちなみに、ここのところはテンシュテットのマーラー全集のマラ10を聴いてます。

というわけで、クラシックファンにはサロネンのサントラ目当てでも観る価値あります。

(過去の関連記事)
・アルマ・マーラーの命日(12月11日)

・バルシャイ指揮マーラー交響曲10番を聴きに行った!前編
・バルシャイ指揮マーラー交響曲10番を聴きに行った!後編
・『マーラー』  ケン・ラッセル 監督

(サロネン関連の過去記事)
・本日、サントリーホールにおりました。
・本日、東京芸術劇場におりました。(サロネン指揮フィルハーモニア、Vn=諏訪内晶子)

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