切られお富!

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2013年に観た映画。

2014-01-05 14:19:33 | アメリカの夜(映画日記)
この二年間は、物心ついてから一番映画を観なかった二年ということになりますかね~。だから、こんな記事をアップするのはおこがましいんだけど、今年からは改心するということを前提に、映画館で観た映画から2013年のベストを発表します。では…。

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①かぐや姫の物語 高畑勲監督
①ペコロスの母に会いに行く 森崎東監督
③地獄でなぜ悪い 園子温監督
③愛しのフリーダ ライアン・ホワイト監督 

(次点)
・風立ちぬ 宮崎駿監督
・ホーリーモーターズ  レオス・カラックス監督

(番外編)
・書くことの重さ 作家佐藤泰志  稲塚秀孝監督
・リブ&イングマール ディーラージ・アコルカール監督

(演技賞)
・リリー・フランキー(『凶悪』『そして父になる』)

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1位と3位が同点ということで…。

『かぐや姫の物語』はその実験性に驚きました。いっても、あのかぐや姫の話ですよ。それをああいう映画に出来るんだから、やっぱり高畑勲は凄い!『おもいでポロポロ』や『平成狸合戦ぽんぽこ』も凄かったけど、まだまだ次回作に期待したい。アニメーション作家としてまったく独創的な人だと思う。『風立ちぬ』は戦前の東京の風景が素晴らしい代わりに、菜穂子のキャラが平板だったけど、かぐや姫は生きていましたね。本当は、大傑作『母を訪ねて三千里』みたいに、演出・高畑勲、作画・宮崎駿で作品を作って欲しいんだけど。

同点1位の『ペコロスの母に会いに行く』は、わたしが森崎東ファンだということを差し引いても、多少ギャグの感覚が古くなっていることを考慮しても、素晴らしい一本だったことには変わりない。森崎組常連俳優を使わず、かつてほどの躍動感は失われていても、飄々とした新境地を開いたというか、安易なお涙映画を作らなかった森崎東は今尚冴えている。年末に放送されたNHKのドキュメンタリー番組といい、昨年出版された『森崎東党宣言』といい、2014年は森崎東の年にしたいですね、東京の映画館主の方々!

で、1位の2本に共通するのが「記憶」の問題だというあたりが、このブログを始めて今年で10年目を迎えるわたしの心境とどこかシンクロしているのかもしれないですね。

3位の『地獄でなぜ悪い』は、はっきり言って映画としての完成度は高くない。でも、かつての大島渚の映画にあったような、映画青年やクリエイター志望者の心を揺さぶる感覚があったのが妙に嬉しくって、あげました。今、一番作られないタイプの映画かもしれないけど、これを作った園子温はテーマ主義でやってる作品より好感が持てる。主演の長谷川博己が疾走するラストシーンにはかなりやられました。初心を思い出させてくれたというか、ネ。なお、長谷川博己は『八重の桜』といい、この映画といい、2013年は個人的にあたりでした。『八重の桜』なんて、ハセヒロと西島秀俊を観るために観てたようなもんだしね。

同点3位の『愛しのフリーダ』は、ビートルズの秘書をやっていた女性のドキュメンタリー。暴露話的なものを期待すると外されますが、ビートルズを前にしても自然体すぎるフリーダの魅力に心をやられてしまったってところかな。この映画、若い人より、ちょっと年をとった人の方がグッとくるんじゃないですか、時間の経過なんて、案外ドラマチックじゃないというところがリアルで…。結局、これも「記憶」をテーマにした作品といえるかもしれない。

次点の『ホーリー・モーターズ』はカイリー・ミノーグが歌いだすところの空気感が素晴らしくて、しかもあの歌が同録撮影だったということに驚いた!それと、ミッシェル・ピコリの特殊メイクは見破れなかったなあ~。

そして番外編。『海炭市叙景』の作者で知られる佐藤泰志を追ったドキュメンタリー『書くことの重さ』は、たまたま観に行った日が、監督と書評家岡崎武志氏の舞台挨拶のあった日で、埋もれた作家をすくいあげる読者と評論家の関係について考えさせられたので一票。(なお、小説『海炭市叙景』の一篇「まだ若い廃墟」はあとで読んで感動したな~。)

監督ベルイマンと女優リヴ・ウルマンのドキュメンタリーは、神の問題を扱い続けた監督の肉食系な私生活に驚かされたので一票。

なお、本当のことを言うと、2013年は映画館で観た映画以上に家でDVDで観た映画、見直した映画に忘がたい作品が多くて、備忘録的によかった作品をあげておきます。

・拳銃魔 
・ジュニア・ボナー
・バイオレント・サタデー
・ハロルドとモード
・砂漠の流れ者
・愛のメモリー
・ウェスタン
・ニューヨーク・ニューヨーク
・ゴングなき戦い
・チャオパンタン
・神の道化師フランチェスコ
・たまの映画
・新幹線大爆破
・タクシードライバー(ブルーレイ特典のスコセッシのオーディオコメンタリー)

ということで、2014年は「NO MOVIE、NO LIFE」でいきたいなあ~。
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