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切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『真夜中の弥次さん喜多さん』 宮藤官九郎 監督

2009-03-05 19:30:00 | アメリカの夜(映画日記)
『少年メリケンサック』公開中のクドカン。見逃していた初監督作品を観てみました。簡単に感想っ。

原作が極めてシュールな作品なので、実写化はどうなのかな~なんて思ったのですが、いやはや、これはよくできている。

というか、大人計画の芝居を見たことのある人ならよくわかるでしょうが、これはクドカンの芝居のセンスそのまんまです。(たとえば、音楽の使い方とか。)

しかも、クドカンの芝居を生で観たときは「学芸会的内輪受け」だと感じた手法が、映画になると妙に普遍性があるように思える。まあ、原作の普遍性をうまく利用しているともいえますが、これは脚本家クドカンのうまさでもあるのでしょう。

・以前書いた芝居のクドカンの感想

たぶん、時代劇らしからぬオチャラケ手法に顔をしかめる映画ファンも多いとは思いますが、フェリーニがやった幻想空間だって、イタリア人からしたら同じことかもしれないでしょ!

むしろ、クドカンの手法全般にあるオチャラケは、狙い済ました<アンチ・リアル>的な手法であって、それを通して現代に生きるわたしたちの嘘のない皮膚感覚を表現しようとしてるんじゃないか、そんな気が、今回初めてしましたよ。

それに、幻想性ということでいえば、寺山修司の映画より断然テクニック的にうまかったりもするんですよね、この映画。それに寺山修司みたいに深刻ぶってないところがいいし!

というわけで、わたしはこの映画、断然支持派ですかね~。特に、脚本家だけに構成力が凄い。相当緻密に考えていないとこういう映画は撮れないですよ。セリフのセンスがクドカンの最大の特徴だと思っていましたが、ある種の数学的なセンスがあるのかもしれないですね。

歌舞伎ファンには、中村七之助だけでなく勘三郎があっと驚く役で出演しているので笑えます。

万人には勧めないけど、煮詰まっている人にはオススメ。

なお、小池栄子はよい役者ですね!

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