切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

谷崎潤一郎設計の旧邸・鎖瀾閣 復元にめど

2006-05-29 23:19:52 | 超読書日記
以前、「『痴人の愛』生んだ家解体へ 谷崎潤一郎旧邸」という記事を書いたんだけど、この家とはまた別の旧谷崎邸の移築が先日決まったそうだ。(ちょっと、ややこしいね!) ここは、わたしの好きな作品「卍」も執筆された家だというし、まずは、めでたし、めでたし。

          ☆       ☆        ☆

「谷崎潤一郎設計の旧邸・鎖瀾閣 復元にめど」(神戸新聞)

>阪神・淡路大震災で全壊した谷崎潤一郎の旧邸・鎖瀾閣(さらんかく)(神戸市東灘区岡本七)の復元を目指すNPO法人「谷崎文学友の会」(たつみ都志理事長)は二十日、地元で開いた説明会で、資金面のめどが立ったことや、別の谷崎旧宅を併せて移築する考えを伝えた。(平松正子)

>鎖瀾閣は一九二八年、谷崎自身の設計で建設。「卍(まんじ)」などが執筆された。九五年に全壊して間もなく復元運動が始まったが、資金難で難航していた。だが先月、取り壊されることになった同区内の別の谷崎旧宅を同会が借りて公開すると、伊丹市の建設業者・則岡工業(則岡宏牟代表取締役)が移築保存を提案。鎖瀾閣の協力も申し出た。

>鎖瀾閣の建設費は約五千六百万円だが、同社は半額で工事を請け負う。同会などが集めた募金は約千五百万円。今後も寄付を募り不足分は銀行から借り入れる。用地は跡地に近い岡本梅林公園内の一画を市から借り受けることになっており、整地費は市の二〇〇六年度予算に計上されている。

>同会は市に整地を依頼、谷崎の生誕から百二十年となる七月にも着手し、来年三月の完成を目指す。別の旧宅の移築先は未定だが、鎖瀾閣に併設し、展示・管理棟にしたい考えだ。

>たつみさんは「地域の文化財として有効活用されるよう、市民と連携して維持管理の方途を固めたい」としている。募金の問い合わせは同会TEL072・754・2116


          ☆       ☆        ☆

前の記事でも書いた、4月の1、2日の「痴人の愛」の家(?)の最後の一般公開は、当然のことながら行くことが出来なかったので、見れなくて残念って思っていたんだけど、「卍」の家(!)と併設されるかもしれないというし、これでいつか行けるかもしれないな~。

小説「卍」の最後の50ページくらいの畳み掛けるようなグルーブ感は日本近代文学のひとつのクライマックスかな、なんて思っているわたしだけど、増村保造監督の映画も結構悪くなかった。

映画版「卍」では、若尾文子と岸田今日子のコンビで、ビジュアル的にもなかなかいいんですよね。

原作でも映画でも、キーパーソンは綿貫という嫌みったらしい男なんだけど、映画では川津祐介が好演、なかなかの嫌な奴ぶりを見せてくれます。

谷崎の小説だと、作品的にはいまいちなんだけど、「蓼喰う虫」という作品を最近見直していて、夫婦の不和というのが話の縦糸である一方、主人公の義理の父親の文楽好きがアクセントになって、作中、谷崎の文楽論が随所に散りばめられているんですよね。なにしろ、今月上演されている朝顔日記も出てくるくらいだし…。

とまあ、話は脱線したけれど、「蓼喰う虫」の主人公さながらに、わたしのこころも文楽や上方文化に傾斜しているってことで、いつか、復元された旧W谷崎邸のあたりをフラフラしてるかもしれないな~。

なお、「蓼喰う虫」は小出楢重の有名な挿絵が見たい場合は岩波文庫、文楽の注解が詳しいのは新潮文庫、どっちも持ってて損はありません!

<オマケ>
・春 千本桜 谷崎潤一郎
・岩波文庫って立派! 『文楽の研究』(三宅周太郎・著) 文庫化!


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2 コメント

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谷崎潤一郎邸:「石村亭」が11月に公開 (papageno)
2006-09-22 21:54:21
お富さん、こんばんは、下記の記事を読みましたので

お知らせします。招待客は50名ですから、

応募して、当選するとお富さんにお会いできるかしら。



谷崎潤一郎邸:「石村亭」が11月に公開 京都・左京区photoジャーナル:MSN毎日

石村亭の母屋。谷崎は縁側からの眺めを好んだ=京都市左京区で 文豪、谷崎潤一郎(1886~1965)が49年から8年近く住んだ京都市左京区の邸宅「石村(せきそん)亭」が11月18、19日の2日間、計50人限定で初公開される。引っ越し好きの谷崎が特に愛し、「夢の浮橋」のモデルにした空間だ。

熱海へ去る谷崎から56年に購入した重電機器メーカー「日新電機」(同市右京区)が所有。谷崎から「また来たい。なるべく現状のまま使って」と頼まれ、購入後、役員が接待に使うにとどめ、半世紀にわたり建物や庭園を手入れしてきた。

両日とも3班に分け、母屋や離れの書斎、滝が落ちる回遊式庭園を1時間半で巡る。寒がりの谷崎が使った火鉢もある。申し込みは往復はがきのみで受け付ける。詳細は同社ホームページ(http://nissin.jp/)。10月10日当日消印有効。問い合わせは同社(075・864・8849)へ。【鶴谷真】 http://www.mainichi-msn.co.jp/photo/news/20060923k0000m040101000c.html
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コメントありがとうございます。  (切られお富 )
2006-10-07 17:20:20
遅くなりましたが、ご情報頂きありがとうございます。



締め切り間近ですよね。でも11月18、19日の2日間ってあたりがスケジュール的にわたしは微妙なんですよね。もっとも当選するか分かりませんが。



もし、いらっしゃれたなら、中の様子などお教えください!!

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