周回遅れで話題のJamie GoodeとSam Harropが著した「Authentic Wine」を読みはじめ始めたのですが、話が深いですね。ビオワイン全般に対しては好意的ながら、ビオデナミ農法については中立的な立場が貫かれ、インタビュー記事を掲載するにとどめています。
まず、興味を惹くのが、DRCのAubert de VillaneとDomaine LeflaiveのAnne-Claude Leflaiveへのインタビュー結果が対照的なこと。
前者は長く有機農法(ビオ)を採用してきて、近年ビオデナミ農法に切り替えましたが、その前後で大きな変化を感じていません。銅(硫酸銅?)の使用を許容する点について永続性(sustainability)があるか疑問を呈しています。作業ごとにビオデナミにするか否かを判断する意味はなく、やるのであれば全て行おうとの判断でビオデナミを採択しているとのことです。
後者は積極性があります。こちらも当初は有機農法だったものを近年ビオデナミ農法に切り替えましたが、その違いは対照的であったと明言しています。有機を採択した時までよりも、ビオデナミに切り替えてから顕著な違いが生じたと語られています。
Jamie Goodeは、ビオデナミ農法の問題点として科学的裏付けがないことを挙げています。このため、大学などで栽培・醸造をきちんと学んだ人にとって取り組むことには抵抗があり、普及が妨げられていると考えています。その問題点を鑑みて発展したものとしてsustainable 農法を挙げています。この農法は科学的な根拠に基づき構築された概念で、環境的・社会的・経済的な側面において継続可能なスタイルを求めています。両者は必ずしも相容れないものではありませんが、一部の散布物、作業タイミングの判断基準などでは相反する事項があることに加え、ベースとなる思想は異なっています。