Vino Masa's Wine Blog

Weekly notable wine update.
毎週、気になったワインをアップデートします。

グランクリュ相当を愉しむ会

2014-06-29 | Tasting Note

Y氏のご厚意で、昨年暮れに発行された拙訳ワイン本の記念ブラインドパーティーを開いていただきました。しかも簡単には入れない場所で。

一応の縛りは、レミントン・ノーマンがグラン・クリュ相当と認めたワインです。1973のポール・ロジェとクロ・ド・ラ・ボールは特別参加です。レミントン・ノーマンがグラン・クリュ相当とするプルミエ・クリュがあるおかげで、かなり選択肢が広がり楽しめます。

まさかのモンラシェは、素晴らしくまだまだ行けそうな力強さを感じました。

痛恨の失態は、持参した私がワイン名を取り違えていたこと。しかも一部の人に対して2度目の失敗。「レ・ザムルーズ」と言ってくるんで来た新聞紙を開けると「クロ・サン・ジャック」が現れました。(汗)

 

ワイン本の売れ行きが低迷中です。売上を伸ばすためにも、声が掛かれば「レミントン・ノーマンがグラン・クリュと認めるワイン会」、企画します。

http://www.hakusuisha.co.jp/detail/index.php?pro_id=08338

 

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ボルドー1934

2014-06-29 | Tasting Note

ボルドーの1934を並べて飲む機会に恵まれました。ワインは、次の通り。

  • モンローズ
  • ラトゥール
  • ラフィット
  • ラミッション・オーブリオン

8人が出席する会で、人気ワインは割れたものの、一番人気はラトゥール、個人的には重厚感と若さが残るラミッションがダントツと感じました。どれも華やかで、熟成した芳香に溢れ、のど越しはビロードと形容されるタンニンの心地よさを感じました。4本の特徴となる香りが大きく異なることは驚きです。熟成しても香りや味わいが集約されていくことはない証なのでしょうか。

この会に合わせて、イギリスの著名評論家のマイケル・ブロードベントの1934のテイスティングコメントが配られました。ラトゥールにはセロリ―、ボイルしたフェンネルなどと形容され、ラミッションは、濃くリッチで黒スグリ、ヒマラヤスギの香りなどが記載されています。これらの記載がテーブルのワインと一致し、改めてマイケル・ブロードベントの評価が高いことが裏付けられた形となりました。

 

 

 

おまけ(とは言いつつおまけにおさめることはできない)のカルボーニュ(白)1983

 

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ワインが熟成するとタンニンは?

2014-06-29 | Wine Making

赤ワインは、熟成を重ねるほどに舌触りは滑らかになり、秀逸なものは「ビロード」とさえ形容されます。これはタンニンが鎖状に長く連なり、滑らかが生じると聞かされたことがありますが、ここ数年間の研究でこれらの説明は覆されつつあるようです。UC Davis のクラスでの説明をもとに解説します。

タンニンは、フェノール類、フラボノール、カテキン、アントシアニンなどが重合したものです。アントシアニンは色素となることでも有名ですが、重合すると色素は安定します。これらの重合体は、その大きさに応じてSPP(short-chain polymerc pigment)とLPP(long-chain polymeric pigment)に分けられます。LPPは熟成とともに澱となって沈降しますが、SPPはワイン中に残りビロードを演じるようです。

なぜ若い赤ワインは渋く、粗さがあるのか?LPPは、唾液中の蛋白質と結合するので渋さが生まれる、というのが最近の説明だそうです。

2006年にAJEVに発表されたUC DavisのDouglas Adams等の研究により、タンニンの重合体中のLPPとSPPの含有率が計測可能となり、近年のタンニンなどに関わる研究がめざましく発展を遂げたとのことです。

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ポストモダン・ワインメイキング (postmodern winemaking ‐ Clark Smith)

2014-06-29 | Essay

挑発的なタイトルに負けない重量感のある内容で、ワインメイカー、ワインメイカーを目指す人のための本です。Jamie GoodeのAuthentic Wineも専門性の高い本でしたが、その数段上を行く濃さがあります。UC Davis  Extention Program (Quality Control for Wine Making)のチャットで取り上げられていた本で、ワインメーカーを目指す受講生の間で話題の的となっていました。まだ、完読できていませんが、内容が素晴らしいので、ここで紹介します

ポストモダンとは、思想、建築、自然科学などの幅広い分野で1960年代頃から唱えられたパラダイムを指します。それまでの考えが絶対的真理を求めたものに対し、全てのことは相対的であると捉え、各分野のパラダイムの変革へとつながりました。

著者のClark Smithは、ワインにおいてもこのパラダイムの変革の波が押し寄せていることを唱え、それをバックボーンにワイン造りの科学的解説を説いています。昨今のテロワール、地場品種を重視する流れを重視するとともに、研究者からは批判されがちなバイオダイナミックス農法やホメオパシーにも一定の理解を示すところは、まさにポストモダンが拠りどころとする相対的な枠組みに沿った内容です。

著者は大学でワイン造りの教授を務めるとともに、ワインメーカーであり、数々のコンサルティングを務めるプロ中のプロ。2000年頃は、UC DavisのExtention Programもしばらく担当していたそうです。ポストモダンと関連付けられるか不明な箇所もありますが、最先端の研究成果や栽培・醸造方法が取り上げられ勉強になります。有機化学や微生物学をベースとしているため、化学的性質をもとに説明が展開されるので、慣れていないと辞書やWikiを頻繁に検索しないと理解できない場所が随処に見られます。最初の思想についても、哲学用語が頻出しています。それらを理解する苦労を乗り越えると、大いにうなずかされ、考えさせられ、まさに良書と思います。

http://www.amazon.co.jp/Postmodern-Winemaking-Rethinking-Science-Ancient/dp/0520282590

 

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UC Davis - Quality Control and Analysis in Winemaking

2014-06-23 | Wine Making

先週、期末テストのレポートを提出して品質管理コースは終了。成績結果待ちです。第7週~第10週は以下の内容でした。

  • 第7週:二酸化イオウの添加
  • 第8週:糖度と残糖度
  • 第9週:色素
  • 第10週:その他の事項 

この講座の前のwine making講座で履修済であることが条件となっています。wine makingでは、膨大な資料の購読に眠る時間もない毎日でしたが、quality control講座は、繰り返し登場するpHとベンゼン環に慣れたためか、wine makingほど過酷な内容はありませんでした。ただし、滴定や添加方法については、細かいステップが示され、誤差の発生要因などテクニカルかつ専門的なことが議論されます。

二酸化イオウの添加は、19世紀から実践されていますが、添加量が同じでもpHが異なればその効果が異なることが20世紀後半に確立されました。においや健康に影響を及ぼしかねない問題を持つ一方、殺菌などの効果がある二酸化イオウをコントロールすることは、ワインメーカーの仕事の要ともなっています。

真っ当なワインのほとんどは、辛口です。残糖があることは、多くの場合発酵に問題(スタック・ファーメンテーション)が発生したことを示唆します。舌で確かめる方法はあるものの、正確な残糖度の計測は発酵管理において重要です。また、ほのかな甘口ワインの製法についても、問題をもたらすバクテリアをコントロールする観点から、発酵を最終段階直前で止めるよりも完了させて、甘みをもたらす発酵前の甘い果汁を添加する方(ドイツで多く用いられるズース・レゼルバ)が衛生的とのコメントはうなずける内容でした。

色素は、最近流行りのトピックスなのでしょうか。アントシアニンの化学変化に応じて色が変わるところなど、興味深い内容です。アントシアニンの分子構造などは「へー」という内容が多く、余裕ができれば別途投稿します。

コメント (3)
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ノン・フィルター/フィルター

2014-06-22 | Wine Making

パーカーをはじめとする評論家の指摘を受けて、瓶詰前の濾過(フィルタ処理)を行わないワインが流行っている。ノン・フィルターは、カリフォルニア・カルト(添付のキスラーなど)を標榜するためには不可欠な施術となっている。

果たして、瓶詰前にワインの濾過をすることによって、芳香や味わいは失われるのであろうか?フィルターの目の細かさと芳香物質分子の大きさなどが議論されて来たが、UC DavisのQuality Controlコースにて紹介された下記のテイスティング結果は興味深い。

フィルタ処理をしないことで有名なジンファンデル、ピノ・ノワール、カベルネの1990年と1992年のワインについて、その半分にsterile filterにて濾過を行い、12人のテイスターが濾過したものとしないものを識別できるか否かをテストした。結果、識別できると看做せる人はおらず、フィルタ処理は嗅覚・味覚上識別可能な効果をもたらさないとの結論に到達している。むろん、このティスティングでは、熟成におけるフィルタ処理の効果については不明であり、この記事においてもその点について言及されている。

http://www.napavalley.edu/people/gvierra/Documents/Fundamentals_of_Enology_Class/FF.pdf

 

記事が発表されたのは1994年のことである。結論は、相当程度正しいと思われる。それでもなお、高級ワインを中心にノン・フィルターが選好されているのは何故であろうか。

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ちょっと熟成したカリフォルニア・ワインなど

2014-06-22 | Tasting Note

ちょっと熟成したカリフォルニアワインを飲む会に参加することができた。ラインナップは、次の通り。

  • エグリ・ウーリエVP(デゴルジュ2008)ーーなぜかこれだけフランス
  • キスラー・シャルドネ・ハイド・ヴィンヤード1998
  • キスラー・ピノ・キスラー・ヴィンヤード・キュヴェ・キャサリン1995
  • ジョセフ・フェルプス・インシグニア1997 (パーカー100点)

どれも極めてレベルが高く、芳香に富み、バランスは抜群である。キュヴェ・キャサリンのハーバルな青臭さが多少気になった。ハイドとインシグニアは卓越している。味わいははっきりしていて、良年のフランスに似ている。ブラインドで出されたら、濃く造るフランスものと答えても不思議ではない。ふと気になってカリフォルニアの3本のアルコール度数をチェックした。全てが13.5%~14.0%の間。インシグニアも決してアルコール度数が高いわけではない。80年代のカリフォルニアのアルコール度数が低かったことはよく理解していたが、90年代後半でもそれほど高くはなかったようだ。カリフォルニアワインの14%代後半のアルコール度数は、2000年後半に顕著になったのであろう。

 

 

 

 

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